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バロット
虚空を切るその手が虚しくて、いつの間にか諦めが癖になっていた。
求めなければ虚しくない。得られなくても何も感じない。
でもそれさえ悟られれば、道場や憐れみを向けられると思うと嫌で、全てを隠すように笑った。
手に入らないのではない。
いらないのだと、自分さえも欺く。
「あなたもう、グチャグチャね。未熟なままで殻に閉じ籠もってる」
哀しそうな優しい笑みを浮かべて、魔女は言葉を続けた。
「その殻を割れなくしてるのはあなた自身」
遠くを見つめるその視線の先に、何かがある訳ではなかった。
「言葉にするのは簡単だけど、得るのは難しい。私には何もしてあげられない。心は、見えないものだから」
魔女が何を伝えたいのか、よく分からない。ただ同情して、哀れんでいる事だけは分かる。
「私には何も出来ない。でももしかしたら、ほんの少しだけ、可能性を広げる事に繋がるかもしれないと思ったの」
遠回しの言葉を紡ぐ声色はとても切実で、苛立ちにささくれ立ちながらも、その言葉を聞くことができた。
「あなたの心は、あなたにしか守れない」




