破壊者
記憶を持って生まれ変わって、お姫様に生まれた事に気が付いて、ああ恵まれてるなぁとか呑気に思ってた。
勉強しているうちに何だか既視感のある情報が多いとか思っていたら、ここが俺TUEEEEとかチートとかそっち系の小説の設定で似たようなものがあった事を思い出す。
いや、そもそも主人公が女でも男でも、大体似たような設定ばっかりだった。
最初こそサクサク進んでギャグっぽいノリが好きではあったが、それは小説だったからこそだった。マンガ化はまだ飛ばし読みもできるし許容範囲だったのだが、如何せんアニメは最悪である。見ているこっちが恥ずかしくなるような設定を強制的に見せられて、一話でリタイアした作品が殆どである。こういった作品は総じて異世界人の知能指数が低い。庶民だけが低いのならまだしも、王侯貴族の知能指数もかなり低いのだ。
最初こそその作品も楽しめたものの、ぶっちゃけ似たような展開ばかりで見てるのが辛くなる。プロローグは面白いので結構読むのだが、あとはダイジェストで読めれば十分だった。
勿論そんな作品ばかりではなかったものの、小難し過ぎても途中で飽きるのだ。うん、私は随分と我儘な読者らしい。
まあ長々と話してしまったが、この世界は多分知能指数低い方である。話の展開だとか登場人物は忘れてしまったが、何となく聞き覚えがあるような気がする。
そんな曖昧な記憶でなぜ断言するのかはちょっと察して欲しい。
だってこの世界、トイレ設備の割に文化レベルも低すぎるんですもの。
「このご都合主義感・・」
間違いない。よくある転生ものだ。
でも多分私は主人公じゃない。だって特別な力がある訳でもなく、忌み嫌われている訳でもなく、結構平凡だもの。
見た目は元の基準ではかなり良いと思うけど、それは周りも同じだから所謂平均ってやつね。異世界あるある。不細工が不細工じゃない。
「極めつけは言語よね」
日常会話も文章も日本語なのに、魔法は大体カタカナ英語。まあお陰様で耳がはっきり聞こえるようになってからは言葉で苦労してないけど。
まあ日本語じゃなくて大陸語ってなってるけどね。安直。
でも悪い事ではない。生きるには随分と楽が出来そうだ。
「記憶を手に入れたは良いけど、結構あやふやだわ」
確かにそれぞれの単語や設定には既視感があるのだが、自分の名前に覚えがない。端役だったのかしら。
「でも仮にも一国の姫よ。ただの端役だとも思えないわ」
まあでも舞台となる国ではないという事ね。情報を整理しながら巻き込まれないように対策を取ればいいわ。
「男が主人公だったらハーレムの一員ってとこかしら。王族なのだし、お父様のご命令であれば従うけど・・そうでないことを祈るばかりね」




