猫になりました
朝だと思って目を覚ましたら、私は猫になっていた。
「にゃ?」
夢だと思って二度寝して、今度はスッキリ目が覚めたけど、まだ猫だった。
「んなぁ〜?」
長い夢だなぁと思いながら欠伸をする。
そうだ、せっかく猫になる夢を見ているんだから、散歩しよう。
体をググっと伸ばして、立ち上がる。
「にゃっ」
案外四足歩行も悪くない。というか人の体と違って四足歩行がとってもしやすい。当たり前か。
軽快な足取りでレンガの道を進む。
それにしても随分と古い町並みだ。
ここは何処なのだろうか。
レンガの道は排水のためか、道の真ん中が窪んでいる。その両脇には同じくレンガで出来た建物が高くそびえ立つ。この狭い道は裏路地なのだろう。
少し進むと賑やかな大通りに繋がった。
「うにゃ〜」
その光景につい声が出る。
そこには道行く馬車と、沢山の人。しかしその全てが時代錯誤なものだった。
所謂、中世ヨーロッパ的世界。
恐らく人であったなら、ここから冒険が始まるのであろうが、残念ながら吾輩は猫である。
つまり冒険は始まらない。まあでもこの姿で動き回っているというだけで気分的には冒険だ。
「んにゃっ♪」




