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ぼくらの願い
この世界ではごく稀に、生まれ変わりというものがある。それと同時に精霊の取り換え子、というものも実在する。それ故に、生まれ変わりだと言う者は常に精霊の取り換え子である事が疑われてきた。
それらは似て非なるもの。
生まれ変わりは体は紛れもなく両親の血肉を受け継いでいる。しかし取り換え子は多少見目は寄せられているものの、両親の血肉を受け継いでいない、全くの他人である。
しかし生まれ変わりは肉体こそは自分の子供であるものの、中身は他の人生を生きた全くの他人である。大凡が気味悪がり突き放す。取り換え子は肉体は他人であるものの、中身はまっさらなただの赤子。
どちらも確かに我が子だ。しかしどちらも我が子ではないとも言える。
受け入れられる方が稀なのだ。
これは、そんな哀れな子の話。
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