プロローグ
内容より文章の研究のためのトンデモ小説です。
燦々ときらめく太陽、広大な草原、一陣の爽やかな風が吹き抜けていく。
麻の貫頭衣を着た少女と狐のような獣が面と向かってたたずんでいた。
「ようこそ、でいいのかな。僕は、君の養育係の無限カーバンクル」
眉間にある真紅の大きな宝石が煌めくと少女の反応を待つかのように間をもった。
金髪碧眼の少女は自分の体を確認するようにまさぐると、首を振り周囲の景色を確認する。
「沖胡桃で間違いないよね?」
同意の意志を表すために首を勢いよく縦に振ると、無限カーバンクルは安堵の軽いため息をついた。
「君がいた星は『終末戦争』の末期。そこで戦って散って、ここで再構成した」
無限カーバンクルはクルリときびすを返すと無言で歩きはじめた。数歩進むと、ついてきてと言わんばかりに振り向く。
沖胡桃は水滴をまとった草を裸足で踏みつけながらついていく。
「かなり魂が傷ついてるね。もしかして記憶ない?」
「―っ」
思い出した瞬間に涙がとめどなく溢れ、堪えられない嗚咽感と恐怖に彩られる。暖かい陽射しの中で両腕を抱え込み震えはじめた。膝をついて前のめりになり動かなくなる。
「ここには『まだ』やつらは来ないよ。でも、いずれ、絶対に来る。さあ立って」
淡々と話していた無限カーバンクルはわずかな優しさと強い意志をもって諭すようにつぶやき、その頬を少女の腕にこすりつけた。
「うん」
力強く立ち上がった。
ふたたび歩きはじめるカーバンクルに沖胡桃は幼い声で尋ねた。
「お名前は?」
記憶はあっても精神が退化してしまっているなと心の中で苦笑してしまった。
「ない。好きに呼んでいいよ」
数万年の歴史の中で固有名詞で呼ばれたこともないし、名前が欲しいなどの願望もまったく抱かない。呼び合う必要性がないのだから。
「こよーて!」
「では今からコヨーテとおよび下さ―」
光と音と震動を忘れたような、時を置いてきたような間があった。
―ボドリ、と前触れもなく無限カーバンクルの額の宝石が落ちた。
「!?」
それにとって代わるように額には黄金や太陽を彷彿とさせる宝石が生まれていた。その内部は揺らめきと輝きを絶え間なく繰り返し、同色のオーラがあふれ出ている。
沖胡桃はそれを拾い、コヨーテの額を心配そうに覘くと、手に納まっている宝石とを交互に見比べる。
「大丈夫です。あと、それあげます」
「ありがとう!」
にっこりと満面の笑みを浮かべる少女。
たまに生え変わる宝石はそこいらの草原に大量に眠っている。土中に埋まってしまったものもかなりの数になるだろう。コヨーテにとっての価値はないし、ここを訪れて拾う人間もいない。
だが額の金色の宝石だけはコヨーテにとって衝撃であり価値があった。冷静を装っていたが内心は心臓が口から飛び出そうだった。
かつて一度も黄金の宝石は生えなかった。しかも煌めきのオーラを発するなど前例がない。
―名付けられたから?
おもしろそうだ、と口の端をあげて急ぐようにその歩みを速めた。
つたない構成と文章力の小説を読んでいただき―ありんくす!
私に心の力(評価)を与えてギブミーチョコレィィィトォォ!!