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王女は侍女  作者: 大木鈴
2/3

中編

すみません書いているうちに長くなってしまいました

次が最後です

「えっ?……それ嘘ですよね」


「いえ、残念ながら本当のことよ。私が結婚するにあたってお父様にアルクスの資料を頂いたの、その中に家族構成のことが載ってあったのだけれどそこには第2王女フローラルは6歳の頃盗賊に攫われて死んでしまったと書かれていたわ」


サーシャ王女はフランの問いに答えた。


「ふと、思ったのだけれどフランあなたはどうやってこの国に来たの?あなたは確か…6歳の時にこの国に来たのよね?」


「はい、私はお兄様の指示に従ってこの国に来ました確か…商業用の馬車の荷台に隠れてきた筈です」


フランは当時の事を思い出しサーシャ王女に伝える。


「ふ〜ん、でもそれっておかしく無いかしら?フランがここに来たのはアルクス国の命令なのでしょ、私の調査で来たって事は」


「そうなります」


フランは何がおかしいのかと言いたげな表情で答える。


「だったらそんな事する必要ないんじゃないのかしら、だってアルクスぐらいの大国なら今回みたいに私のお父様に言えば簡単に事が運ぶもの。そんなわざわざ第2王女が直接しかも一般人として潜入させるだなんてリスクが高すぎるわ」


サーシャ王女は冷静に自分の考えをフランに伝えた。


「いやいや姫様、アルクスは大国なんかではありませんよ。国自体小さいですし自慢できるのはそうですね…国民全員が魔法が得意って事ぐらいでしょうか」


「えっ?何を言っているのアルクスは大国じゃないのそれも超がつく程の大国。山向こう一体の領土は全てアルクスの物だと聞いているわ」


フランの言葉にサーシャ王女は驚きで目を丸くしながら答えた。


「そ、そんなはずはないですよ。確か私が居た時は領土だって狭い小国で隣のルーヴァントにいつ侵略されるかヒヤヒヤものでしたもの」


「ああ〜そっかなるほどねぇ、フランは知らないんだ確かにフランが来てからだもんねアルクスが大きくなったの知らなくて当然だわ。確かにアルクスは小国だったみたいだけどそれは10年前までの事よ」


そう言うとサーシャ王女がアルクスの事をフランに説明した。


「私知りませんでしたそんな事が会ったなんて…」


説明を受けたフランは分かり易い程落ち込んでいた。


「あくまで私の予想なんだけど聞いてくれる?これを聞いても落ち込まないでね」


と前置きしたのちサーシャ王女はフランには信じられない事を言った。


「フランがここに潜入してる事知っているの多分…ハロルド殿下だけねそうじゃないと辻褄が合わないもの」


そう言うとサーシャ王女は自分の考え推理をフランに伝えた。


根拠其の一、まずフランがここに潜入しているのが知っているのなら連絡のひとつある筈だ


根拠其の二、フローラル王女が死んでいる事を公式に公表していること、もし知っているのならこんな事する必要はない、病気休養している事にすれば良いだから


根拠其の三、流石に10年も放置しないでしょ。仮にも一国の王女だよとのこと


これらをふまえて名探偵サーシャ王女が出した結論は…


「ハロルド殿下、単独で勝手にフランを潜入させたのは良いけれど途中で引っ込み着かなくなって言い出せなくなったのではないの」


「う…そ…で…しょ」


サーシャ王女の名推理を聞いたフランは驚きのため言葉を失った。


「……でも、明日ハロルド殿下に会ったら解決するからそう落ち込まないで」


と、サーシャ王女は慰める様にフランの頭を優しくなでた。



______



雲一つない青空、太陽がまぶしくて絶好の結婚式日和、誰もがハロルド殿下とサーシャ王女の結婚式を笑顔の中で出迎える中で独りだけ真逆の表情をしている人が居た。


そう、フランだ。


「こらこらフラン、姫様が結婚して寂しくなるのは分かるけれどそう葬式に行くみたいな表情は止めときな姫様に失礼だよ」


そうフランをしかったのは先輩侍女サマンサだった。彼女の言葉にフランは力なく頷いたが一向になおる気配がないサマンサはこの力だけは馬鹿みたいに強い後輩侍女を可愛がっていたがそれとこれとは別仕事と私情ははさまない。


「それ以上そんな顔するのだったら裏方にまわすよ」


と、脅し文句を言ういつもなら「すみません先輩がんばります」と彼女の見た目にそぐわない可愛らしいことを言ってくれるのだが今回は黙って頷きフラフラとこの場を後にした。



「一体何があったのかしら」


と心配になったが今日は結婚式そんなことしている余裕はなかった。



実はこの少し前にフランとハロルドは接触に成功していた。


王女付きの侍女としてだが、花嫁と花婿の初の接触そこで会った出来事はフランにとって衝撃的なものだった。



2時間前



「フランもうすぐバカがくるわ一緒に問いただすわよ」

サーシャ王女の中でのハロルド殿下の好感度は今はもう無きに等しい状態だった。


「はい、早くあのバカに戻して貰わないとですね」


フランの中でも最下層というより10年間も放置正確には7年間(手紙のやり取りは9歳まであった)していたのだ元々それほど高くなかったのだ。

フランは今まで自分がしてきた事を家族に話したかった、確かに今の生活に不満はないでも家族に会いたかったのだ。

それもあと少しでかなえられる自然と笑顔になる。



「も〜,私と離れるのがそんなに嬉しいの?」


サーシャ王女が拗ねたように呟いた。


「そんな事はございません、それに私が戻ったら私達は家族になれるのですよもっと近くなります」


「それもそうね」


と話していた所でハロルド殿下の登場だサーシャ王女は一瞬嫌そうな顔をしたがすぐにもとの淑女の仮面を被る。



「やあ、愛しの姫君初めて見た時から君を愛していたよ」


登場するなり歯の浮くような台詞を言った。


「初めてと言いますと私達が8歳の時の夜会ですね」


サーシャ王女はハロルド殿下に引きながらも言った。確かにサーシャ王女とハロルド殿下が初めて会ったのはサーシャ王女の叔父の夜会だった同い年の二人はそこで話て仲良くなったのが始まりだった。


「僕の事を覚えていてくれたのですね、でもすみません僕はその時の事を覚えていないのです」


ハロルド殿下は悲しげに言った、ハロルドの言葉にフランは嫌な予感がした。


「覚えていらっしゃらないのですか?」


「実は僕は11歳から以前の記憶が無いのです」


フランに衝撃が走る。


「事故で記憶を失いまして、おかげで記憶の失う前の僕は天才魔術師だったらしいのですが今は平凡そのもの何取り柄も無い男です。でも不思議な事で記憶を失った筈の僕ですがあなたが好きだと言う事は覚えていたのです」


とサーシャ王女を口説き始めていたのだが正直サーシャ王女はそれどころではなかった。


(うそでしょ記憶が無いのならどうやってフランを戻すのよ)


と思いフランをちらりと見やったがフランは思考停止状態に陥っていたぴくりとも動かない。


ハロルド殿下の長い恋の演説が終わった時にフランはゆっくりと殿下の所に来て一言だけ喋った。


「ハロルド様、私の事をお忘れですか?」


本来このような事を一介の侍女が言えば不敬罪で即処刑物だが幸いここにはこの3人以外に誰もいなかった。


「すみません、僕は君の事を知らないです昔何処かであったのかな」


柔らかく微笑みながら言うハロルド殿下にフランは本当に記憶が無いのだと実感した。


(兄様は人をコケにした笑いはするけどこんな柔らかく笑う筈が無い) 


フランはすぐにその場を後にした。


「ではサーシャ王女さまゆっくりとなさってください」


「ちょっと、フラン待って!」


フランは王女の言葉を無視してその場を走って逃げた。


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