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第一章 8

久しぶりの祇園、



昔、羽振りの良くて恐いものが何もなかった強い自分を思い出していた。



「金の無い奴は愚民」 



何だかんだ言っても金の力が一番強い



「金で買えないものは何一つ無い」



金があれば人は寄ってくる 



「女」も関わる「人間」すら違う・・。



成り上がりの人間が大きな金を持つと誤解をする 


いい例であったかのように自分を思い返していた。



だが、後悔はしていなかった。



それも経験、人は常に自分が主役でありたい・・そう思うものだ・・




『なぁ下村・・・ワシがおらんようになってから京都はどうやった?』



『そやな・・・最初の数か月は羽振りのいい人間がいなくなったって話題になったで。』



『そやない・・・もっと本音の話があるやろ?』



『例えば?』



『逃げたとか追われてると?』



『・・・あったな・・でもなぁ・・皆が皆そう思ってた訳ちゃうで』



『(笑)・・そうか?いいんだよ別にどう思われようと現に、ここに居るからな・・・俺は・・』



『そやな・・あと・・あの子、大分堪えたみたいやったで・・』



『あの子?誰や?』



『ほんま冷たい男やのう(笑)覚えてないんか?ほら・・・・』





京介が数年前まで京都に住んでいた時に付き合った女の事だった。



京介自体は特に特別な思い入れなどなかったが相手は相当惚れこんでいた。




『あぁ・・あいつか・・どうせアイツも切欠は金や・・』



『クールやなぁ・・相当好きみたいやったで・・そこ行こうか?今日』



『好きにしろ』




二人は、よく通っていた 『リンドクラブ』に向かった・・。



店に入ると ボーイが現れすぐにVIPルームへと通された。




『下村・・変わってない場所もあるんやな・・』



『あぁ・・』



ママが挨拶に現れた。



『あれ・・京介はん、お久しぶりで御座います。下村はんよう連れてきてくれはったわ』



『へへ、ママ、今日は宴や頼むで!』



下村はとても楽しそうにしていた


ママは懐かしむような顔をし、喜んでいた




京介は遠い記憶を読み返した・・



以前みたいに強引で大威張りした自分を・・・


そう演じるべきか・・


今のままでいるべきか・・




『京介はん、今、梨花ちゃん来はりますから』



『・・・』



『失礼しまーす!』



梨花がテーブルに着いた



『梨花ちゃん、懐かしいお客様よ』


『えっ・・そうな・・』



梨花は驚いた顔をした



『京介さん!!・・心配したんだよ・・急に居なくなるから・・』




梨花は涙目だった




今なら気持ちは分かる・・


その当時の自分には梨花はどうでもいい女だった・・



『そうか・・悪かったな』



『まぁまぁ、長い人生、生きてれば色々あるて!』



下村は場の空気を変えるように乾杯の音頭を取った



『カンパーイ!!』



「チーン」



それぞれに話しをしながら数分が経った



『ねぇ、何で急に居なくなったの?』



梨花は疑問を投げかけてきた




下村、ママも本当の理由を知らない・・


敢えて聞いてこないのだろうと・・思った



素直な梨花の質問に答える事にした




『おられんようになったんや・・・』



『なんで?』



『危険やってん・・関西にいたんでは、いつか殺される・・そんな状況やってんや、それで逃げたんや』



「逃げた」・・そんな言葉が京介の口から出るとは誰も思わなかった・・




『逃げた・・・って・・そんなん違うわ、それは守るためやろさ、なぁ京介はん』


下村は慌てるように言ってきた



『いや・・逃げたんや・・』



『京介はんで逃げるんやったら、そりゃぁワシかて逃げるがな!!なぁ ママ』



『えっ・・ええ、うちかて逃げますわ(笑)』




『もうええって(笑)あの時のワシちゃうねん・・もう・・今だから素直に言える事もあんねん、金も今はもうそれ程ある訳でもない・・なんの魅力もない男や』




『何を言いはるの?魅力的ですよ』



『金が無くてか?』



『お金なんて 関係ありません』



『金が無いとここにも来れん、そのうち忘れられ、色んな噂がたつ・・そんなもんちゃうんか?人なんて』



そんな事を言う京介を見て梨花が言った



『違うと思う・・最初は確かに羽振りがいい、若いのにお金持ち・・そういうイメージで興味がわいた。でも、それは切欠でだんだんに見えてくる本質が心が動いた・・』




『・・梨花・・そうかもしれない、でもな、それすら狙っていた行動なんや。ワシはそんな人間やってん・・どんなに良い女でも金では動かない。そう言う女でも金を使い始めると簡単に落ちた・・そう言う人間の弱き部分に付け込んだゲームをしていたんや・・』



『そんな・・私への気持は嘘やったん?』



『・・・あぁ、偽りや・・』




梨花は絶句した




『だがな・・そう言う代償は必ず返ってくる・・・あの時は悪かった・・今は幸せなんやろ?』





『・・・はい、大事にしてくれる彼氏がいてます。』




『そうか ほんだら 過去なんて振り返るな、今を大事にな・・』



下村が言った



『なんか・・京介はん変わったな・・調子狂うわ・・でも、前より付き合いやすい感じやな』


『そうか・・』



『京都にはいつまで?それともずっとおるんか?』


『明日には出る』


『関東か?』


『いや、探し物があってな・・そこに行けばきっと何かが分かる・・そして変われる・・そう思っているんや・・』



『どこに向かいはるの?』



『・・・夕陽・・それを探しにな・・』



『また、相変わらずキザね~ そう言うところも直しに行くん?(笑)』



ママが笑いながら言った



『・・そやな・・(笑)』



















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