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異世界転生課の最終受付ですが、あなたのチート申請は前世の行いにより却下されました

作者: NoNaMe
掲載日:2026/06/04

「王族か領主階級でお願いします。できれば若くて健康な男。魔法は使える前提で、人を従わせるカリスマと、疲れ知らずの肉体と、優秀な部下に恵まれる運も付けてください」


番号札四四七番の男は、椅子に腰を下ろすなり、そう言った。


まだ自分の死亡時刻も確認していない。


受付票の氏名欄には、黒川誠司。四十七歳。前職は株式会社キタミ総合商事、営業三部部長。


死因欄には、駅階段からの転落、とある。


私は端末に表示された情報を確認し、いつものように営業用の笑顔を薄く作った。


「黒川誠司様ですね。異世界転生課、最終受付へようこそ」


「はいはい。そういう前置きは結構です」


黒川様はネクタイを緩める仕草をした。だが、死者の肉体には汗も皺も残らない。彼の指は、生前の癖だけをなぞっていた。


「最近の若い連中はこういうのに詳しいでしょう。異世界転生。チート。ステータス。領地経営。私も多少は知っています。時間が惜しいので、条件面から詰めましょう」


「まず、死亡確認と今後の手続きについてご説明いたします」


「説明は契約書に書いておいてください。私は管理職だったのでね。要点だけでいい」


そう言って、黒川様は申請用紙を手元へ引き寄せた。


「数字で見れば分かる話でしょう。条件と成果を先に揃えるべきです」


最終受付には、いつもこういう方が来る。


死を悲しむより先に、来世の条件を並べる方。自分の人生を、まだ評価面談の途中だと思っている方。


希望欄は、いつでも開いている。


判定欄は、その隣にある。


「では、転生希望内容を確認いたします」


私はペンを取り、申請欄を開いた。


「転生先は、剣と魔法の世界。身分は王族、または領地持ち貴族。能力は、人心掌握、疲労無効、部下運上昇、領地経営補助。追加で、可能なら未来知識活用。以上でよろしいですか」


「ええ。ああ、あと、見た目も少し整えてください。前世では仕事に全振りでね。そういうところに構う暇がなかった」


「容姿補正、軽度。記入いたします」


「軽度ではなく、中度以上で」


「希望として記録いたします」


黒川様は満足そうに頷いた。


「いやあ、悪くないですね。死んだのは想定外でしたが、こういう制度があるなら話は別だ。私は人を使うのが得意ですから。領地経営なら向いていると思いますよ」


「人を使うのが得意」


「ええ。部下を動かすのは上司の仕事です。甘いことを言っていては組織は回りません」


「数字で見れば分かります。私の部署は、私が来てから売上を伸ばした」


私は頷き、申請用紙の下にある細い銀色の枠へ指を置いた。


「それでは、前世記録との照合に移ります」


「前世記録?」


「はい。ご本人の希望と、未精算項目を照合します」


「未精算項目というのは?」


「他者に残した負荷です」


黒川様は、鼻で笑った。


「それは困りますね。私は会社員ですよ。組織にいれば、誰だって多少は人に迷惑をかける。細かいことを言い出したら、誰も転生できないでしょう」


「細かいことなら、問題ありません」


「ならいい」


「問題になるのは、繰り返されたことです」


端末が静かに明滅した。


受付机の上に、黒い帳簿が開く。紙ではない。だが紙のように見える。


「黒川誠司様。営業三部在籍期間、十二年。管理職就任後、六年」


「ええ」


「成果横領、十七件」


黒川様の眉が動いた。


「横領とは穏やかじゃない。部下の成果を上司が代表して報告するのは普通です」


「責任転嫁、三十二件」


「部下のミスは部下のミスでしょう」


「業務時間外の強制連絡、四百十六件」


「緊急案件が多かったんです」


「休日出勤の黙示的強制、八十九件」


「社会人なら当然です」


「休職誘発、三件」


黒川様は、そこで初めて黙った。


私は帳簿の行を指で送る。


「二〇二三年六月十二日、佐野亮太様。営業三部。連続勤務十一日目」


私は読み上げた。


「黒川様より、午前一時十三分にメッセージ送信。『明日の朝までに直せ。できないなら帰っていい。ただし評価は覚悟しろ』」


黒川様は椅子の背に身を預けた。


「佐野は要領が悪かったんです。何度言っても同じミスをする。こちらだって上から詰められていた」


「同日午前一時十九分、佐野様より返信。『すみません。少し休ませてください。頭が回りません』」


「甘えですよ。体調管理も仕事のうちです」


「同日午前一時二十一分、黒川様より返信。『お前の代わりはいくらでもいる』」


黒川様は唇を曲げた。


「言葉の一部だけ切り取られても困ります。現場には文脈がある」


「あります」


私は帳簿をもう一行進めた。


「文脈も記録されています」


黒川様の前に、小さな映像が浮かぶ。


蛍光灯の白い事務所。深夜。机に突っ伏す若い男性。パソコンの横には空の栄養ドリンク。未開封の菓子パン。スマートフォンの画面に、黒川様からのメッセージ。


若い男性、佐野様は、画面を見て笑った。


笑ったというより、顔の筋肉がその形になっただけだった。


「こいつ、こんな顔をしていたのか」


黒川様の声は、ほんの少しだけ低くなった。


だが、すぐに持ち直す。


「しかし、佐野は死んでいないでしょう」


「はい。佐野様は生存しています」


「なら、そこまで大げさに言うことではない」


「退職後、二年四か月、就労不能。睡眠障害。外出困難。通知音への過敏反応。駅階段での発作。黒川様への直接謝罪記録はありません」


「謝罪って、私がですか?」


「はい」


「なぜ私が謝るんです。会社のために厳しくしただけだ。最近の若い連中は、少し言うとすぐ潰れる」


帳簿が閉じた。


私は申請用紙の上に、判定欄を開いた。


「黒川誠司様」


「なんです」


「ご希望のチート申請は、前世の行いにより却下されました」


彼の顔から、余裕が消えた。


「は?」


「人心掌握、疲労無効、部下運上昇、王族または領主階級への転生。いずれも却下です」


「人心掌握。恐怖による服従を信頼と誤認していたため、却下」


「おい」


「疲労無効。他者の疲労を継続的に無視していたため、却下」


「待て」


「部下運上昇。部下を消耗品として扱った記録があるため、却下」


「そんな表現は」


「王族または領主階級。上位権限への希望は、再査定対象です」


「ふざけるな」


黒川様は机に手をついた。死者の手は音を立てない。だが、彼自身は大きな音が鳴ったと思ったようだった。


「私は結果を出してきた。会社にも貢献した。部下が少し辞めたくらいで、どうして私が不利になるんです」


「少し」


「言葉尻を取らないでください」


「数字で見れば分かる、とおっしゃいましたね」


「そうです。事実でしょう」


「ここでは、言葉尻も記録対象です」


「私は管理職だったんだ!」


「はい」


「上に立つ人間には、下の人間には分からない苦労がある!」


「その申告は、再査定対象になりました」


黒川様の動きが止まる。


「再査定?」


「はい。領地経営に関する希望は、条件付きで通過しました」


彼の表情が、怒りから警戒へ、それから期待へと変わる。


「なんだ。そういうことなら早く言ってください」


「転生先は、剣と魔法の世界、リュグナー王国北東辺境、ロウ村」


「村?」


「人口六十二名。冬前の備蓄不足。井戸の老朽化。畑の拡張余地あり。魔物の出没あり。黒川様は、同村の村長として転生します」


「村長……まあ、領主の一種と考えれば」


彼はすぐに計算を始めた顔になった。


「小規模から始めるのも悪くない。前世でも、使えない部署を立て直したことはあります。能力は?」


「共感統治」


「ほう」


「村民の状態を把握し、最適な統治判断を行うための補助能力です」


「いいですね。つまり、部下のコンディションが見える。管理しやすい」


「命令は、届きます」


「当然です。村長ですから」


「必ず」


「それは助かる。指示系統が乱れる組織ほど、立て直しに時間がかかる」


黒川様は、その言葉の意味を気にしなかった。


彼は申請用紙の却下欄ではなく、転生先の村長という文字だけを見ていた。


「では、それで構いません。最初は村長でも、成果を出せば上へ行けるでしょう。要は人を動かせるかどうかです」


私は判を押した。


申請結果、却下。


再査定、実行。


転生補助能力、共感統治。


「それでは、黒川誠司様。よい来世を」


「ええ。今度は、まともな部下に恵まれることを期待しますよ」


白い床が開き、彼の姿が光の中へ沈んでいく。


最後まで、彼は自分が望んだものを受け取ったつもりでいた。


願いというものは、たいてい、本人が思っているより正確に叶う。


   *


黒川誠司が目を覚ましたとき、最初に感じたのは、土の匂いだった。


湿った木の天井。薄い毛布。手の甲に刻まれた皺。前世より少し太い指。窓の外には、見たこともない低い山並みがあった。


「村長! お目覚めですか」


扉が開き、痩せた男が顔を出した。


黒川は身体を起こした。五十代くらいの肉体だろうか。若返りを希望したはずだが、前世とそう変わらない。


軽度どころか、補正されているのかも疑わしい。


「ここは」


「ロウ村です。昨日の倒木で頭を打たれてから、ずっとお眠りで」


なるほど、と黒川は思った。


記憶の継ぎ目を、事故で処理する形か。


「状況を説明しろ」


男はびくりとした。


黒川は、その反応に少しだけ満足した。人の上に立つには、最初の声が重要だ。


村の状況は、受付で聞いた通りだった。


備蓄は少ない。畑は足りない。井戸は古い。秋の終わりには魔物が山から下りてくる。若い働き手は十七人。老人と子どもが多い。


黒川は、村の広場に人を集めさせた。


六十二人。


少ない。


だが、少ない組織ほど管理はしやすい。


「まず、畑を広げる」


黒川は言った。


「冬前に収穫量を増やす。男手だけでは足りない。老人も女も、動ける者は全員出ろ。子どもは水運びだ」


村人たちは顔を見合わせた。


「村長、それは無理です。今の畑を守るだけでも」


「無理という言葉を最初に出すな」


前世と同じ声だった。


「できない理由ではなく、できる方法を考えろ」


村人たちは黙った。


黒川は頷いた。やはり同じだ。


どこの世界でも、人間は強く言えば動く。


動いたなら、それは管理できているということだ。


その日は、全員を畑へ出した。


黒川自身は広場に残り、木板に作業割りを刻んだ。誰をどこへ配置するか。どの区画を先に開くか。夜までにどれだけ進めるか。


日が落ちる頃、村人たちは泥まみれで戻ってきた。


老人の一人は腰を押さえ、若い女は手のひらから血を滲ませていた。子どもたちは水桶を運ぶ腕をだらりと下げている。


黒川は言った。


「初日としては悪くない。明日は今日の倍を目標にする」


その夜、黒川は激痛で目を覚ました。


腰が砕けるように痛い。肩が燃える。手のひらが裂けているような感覚がある。


「なんだ、これは」


手を見る。傷はない。


だが、指の間に土が入り、爪の奥が剥がれ、掌の皮がめくれた感覚がある。肩は水桶を何度も運んだように重い。腰は畑の土を起こした老人のように曲がらない。


黒川は息を荒くした。


転生直後の不調か。


そう考えるしかなかった。


翌朝、彼は痛みを押して広場に出た。


「今日は夜番を増やす」


山側の柵が弱い。魔物が来るなら、夜だ。


黒川は若い男たちに、二人一組で交代の見張りを命じた。


「夜通しですか」


「村を守るためだ。甘えるな」


その夜、黒川は眠れなかった。


自室の寝台に横たわっているのに、足先が冷たい。夜風が首筋を刺す。暗い山の気配が目の前にある。何かが茂みで動くたび、心臓が跳ねる。


眠りたいのに、眠れない。


まぶたを閉じると、別の誰かの目が開く。


見張りに立つ若者の眠気。寒さ。恐怖。膝の震え。


それらが、黒川の身体に流れ込んでくる。


これが能力なら、便利なはずだった。


部下の状態が分かる。遅れが出る前に手を打てる。無駄を削れる。


だが、分かるのは数字ではなかった。


寒さは寒く、眠気は眠く、恐怖はただ怖かった。


朝、彼は鏡代わりの水桶を覗き込んだ。顔は青白く、目の下には濃い影があった。


「村長、夜番のロムが倒れました」


報告に来た男が言った。


黒川は苛立ちで舌打ちしかけた。


「自己管理が――」


言いかけた瞬間、頭の中に白い事務所が浮かんだ。


深夜一時。蛍光灯。机に突っ伏す佐野。


『体調管理も仕事のうちだ』


自分の声が、別の世界から戻ってきた。


黒川は口を閉じた。


「……水を飲ませろ。寝かせておけ」


村人は意外そうに目を瞬いたが、すぐに走っていった。


黒川はこめかみを押さえた。


気のせいだ。


前世の記録を見せられたせいで、余計なことを思い出しているだけだ。


それでも、仕事は止められない。


黒川は木板を引き寄せ、夜番の穴を別の若者で埋めようとした。


「ロムの分は、ギルとタナに回す。畑の班は一人減らして、井戸の修理を」


そこまで刻んだところで、指が固まった。


眠気が、重く戻ってくる。


ロムだけではない。ギルの喉の奥にある咳。タナの足首の鈍い痛み。畑に出るはずだった女の、誰にも言わずに噛み殺した吐き気。


数字で見れば分かる。


そう思おうとした。


だが、木板の上の名前は数字ではなかった。


ひとつずつ、疲れた身体だった。


黒川は刻みかけた線を消した。


「……今日は、夜番を半分にする。柵の近くに火を増やせ。倒れた者を穴埋めに使うな」


言いながら、それでも胸のどこかが苛立っていた。


こんな調整で村が守れるのか。


甘いことをして、結局、誰が責任を取る。


これは能力ではない。


そこまで考えて、黒川はすぐに打ち消した。


罰などではない。自分は、村長として必要な情報を得ているだけだ。


だが、能力の異常は続いた。


食料配分を決める会議で、黒川は働ける者を優先しようとした。


「畑に出る者、夜番に立つ者に多く回す。老人と病人は少し減らせ」


言った瞬間、腹の底が空になった。


ただの空腹ではない。身体の中に穴がいくつも開くような飢えだった。


老人の細い胃。病人の乾いた口。子どもの、食べたいと言えない沈黙。


それらが重なり、黒川は机に手をついた。


「村長?」


「……なんでもない」


だが、なんでもなくはなかった。


その夜、黒川は食事を前にして、手が震えた。


自分の椀には麦粥が入っている。


しかし、どれだけ口に運んでも、腹の奥は満たされない。自分ではない誰かの空腹が、身体の中で鳴り続けている。


「くそ」


黒川は椀を置いた。


村長の家の外では、誰かが咳をしている。小さな咳だった。


黒川はその咳を、聞かなかったことにした。


翌日、黒川は無理やり自分を立て直した。


ここで弱れば、村は終わる。自分が管理しなければ、誰も動かない。


そう考えた。


考えようとした。


昼過ぎ、子どもが水汲みの途中で転んだ。


小さな膝が石に当たり、皮膚が裂ける。


黒川は広場の反対側にいた。見ていない。なのに、膝に鋭い痛みが走った。


続いて、恐怖。


怒られる。


遅いと言われる。


役に立たないと言われる。


小さな子どもの胸の中で膨らんだ恐怖が、黒川の喉を塞いだ。


彼は膝をついた。


前世の事務所。


佐野が報告書のミスを見つけて、青い顔で立っている。


『どうしてこんな簡単なこともできない?』


自分の声。


『お前、本当に社会人か?』


佐野の指が震えている。彼は謝っている。何度も謝っている。黒川はその震えを、苛立ちとしか見ていなかった。


恐怖。


だったのか。


黒川はその場で吐いた。


胃の中にはほとんど何もなかった。酸っぱい水だけが喉を焼く。


村人たちが遠巻きに見ている。


誰もすぐには近づいてこない。


黒川は口元を拭った。


ここで倒れたら終わりだ。


村はまだ何も立て直せていない。柵も井戸も畑も足りない。責任者が弱れば、全員が困る。


村のためだ。


成果で見れば、そう言えるはずだった。


けれど、膝の痛みが残っている。


子どもの恐怖が、まだ喉に詰まっている。


「村長」


年若い村人が、警戒した声で言った。


「また命令ですか」


黒川は顔を上げた。


口の中に、いつもの言葉があった。


村のためだ。甘えるな。できない理由を言うな。体調管理も仕事のうちだ。


それらの言葉は、全部、前世の自分の声で鳴った。


黒川は、初めてその声を飲み込んだ。


飲み込むのには、ひどく力が要った。


喉に刃物が通るようだった。


「違う」


声は掠れていた。


村人たちが、さらに警戒する。


黒川は立ち上がろうとして、立てなかった。膝が震える。腰が痛い。腹が空いている。眠い。寒い。


それは自分の疲労であり、村人たちの疲労でもあった。


黒川は地面に手をついたまま、頭を下げた。


「命令ではない」


誰も動かない。


「……頼む」


その言葉は、彼の口から出るには不格好だった。


「明日、俺に仕事のやり方を教えてくれ」


広場に沈黙が落ちた。


前世で、黒川は何百回も「頼む」と言った。


断られるかもしれない言葉だった。


相手に選ぶ権利がある言葉だった。


村人たちは、すぐには許さなかった。


当たり前だ。


数日分の痛みで帳消しになるほど、人に与えた負荷は軽くない。


それでも、沈黙の後、一人の老婆が家の中へ戻った。


初日に腰を痛めた老人の妻だった。


黒川は、拒絶されたのだと思った。


だが老婆は、木椀を持って戻ってきた。


中には水が入っていた。


彼女は何も言わず、黒川の前に置いた。


黒川はそれを見た。


水面が少し揺れている。自分の手も揺れている。


木椀を持ち上げ、飲む。


冷たい水が喉を通った。


そのとき、痛みは返ってこなかった。


誰かに無理をさせた痛みも、命令した恐怖も、空腹も、不眠も返ってこない。


ただ、水の冷たさだけが、自分の身体に落ちた。


黒川は、木椀を両手で持ったまま、長く息を吐いた。


「……ありがとう」


老婆は返事をしなかった。


村人たちも、まだ距離を置いている。


許されたわけではない。


それでいいのかどうかも、黒川には分からなかった。


ただ、水だけが冷たかった。


   *


異世界転生課、最終受付。


四四七番の転生後記録が、私の端末に戻ってきた。


私は判定欄を開き、短く入力した。


申請結果: 却下。


再査定: 保留。


備考: 水の提供あり。


帳簿を閉じると、待合室に新しい番号が表示された。


四四八番。


扉の向こうで、次の声が荒れている。


私は受付印を整え、次の申請用紙を引き寄せた。


「次の方、どうぞ」


最終受付の列は、今日も途切れない。

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