表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒のカサブランカ ――裏切られし女勇者、闇に堕ちて魔王となる――  作者: 小鳥遊 千夜
第一章 最初のメインターゲット 大魔導士、ウィザー=アルヴァレン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/47

第34黒 理論を壊す――凡才の意地が天才を超えた瞬間

 

 ――蒼光の最深部、ウィザーの秘密の研究室。


 ――瓦礫の中。


「……はぁ……ッ」


 ヴェルミナが膝をつき、視界が揺れる。


(重い……)


 ただの一撃で、内臓まで揺さぶられた。


 アポクリファがゆっくりとこちらへ向き直る。


 ギチ……ギチ……


 肉と骨が擦れるような音。


「……冗談じゃないわね」


 血を拭いながら、吐き捨てる。


「こんなの……魔法の範疇(はんちゅう)じゃないでしょ」



 ウィザーの嘲笑(あざわら)う声。


「当然よ」


 リィナと斬り結びながらも、余裕すら感じさせる。


「既存の理論を超えているんだから」


「……相変わらずね」


 ヴェルミナが苦笑する。


「“理解できないものは排除”だったかしら?」


 ウィザーは淡々と返す。


「ええ。だから作ったの…”理解できない”存在を」


 アポクリファが踏み込み


 ズンッ!!!


 と床が沈む。


 次の瞬間――


虚喰爪撃アビス・クロウ


 空間ごと抉る一撃。


「ッ!!」


 ヴェルミナは影に沈む。


影潜行シャドウ・ダイブ


 だが――


 影ごと“引き裂かれる”。


「なっ……!?」


 地面から引きずり出されるように弾き飛ばされ、

 血塗れで地面を転がる。


「かはぁッ!?」


 受け身を取ったものの、

 肋骨(ろっこつ)が折れ激痛が走る。


「まさか、私が見えてる……?」


 動揺するヴェルミナにウィザーが笑みを浮かべ答える。


「当たり前でしょ?」


「それ、元々“私が編み出した理論”なんだから」


 ウィザーが淡く笑う。


「私の技術を頑張ってアレンジしたみたいだけど、所詮は凡才。」


紛い物(コピー)が“本物(オリジナル)”に勝てると思う?」


 ヴェルミナの表情が歪む。


「…っ!」


「昔も今も、あなたは私の後ろを追いかけることしか出来ないのよ。」


 沈黙。


 そして――


「……はは」


 血を吐きながら、ヴェルミナが笑った。


「やっぱりムカつくわね、あんた」


 杖を構え直し、影が広がる。


「でも…」


 目は鋭い。


「それは“()()”の話。だからそこから”()()”したのよ!」


幻影歪曲シャドウ・ミラージュ


 その瞬間――影が“歪む”。


 不規則に、予測不能に。


「……?」


 ウィザーの眉が僅かに動く。


「何それ……?」


 ヴェルミナが笑う。


()()したと言ったでしょ?”凡才”にだって維持は意地はあるの。」


 アポクリファが再び咆哮。


断罪連撃ジャッジメント・ラッシュ


 連続斬撃。


 だが――


 ヒュンッ!!


 ヴェルミナは“紙一重”で回避する。


「……!」


 さっきより、見えている。


(それも……動きだけじゃない)


 ヴェルミナの視線が走る。


 アポクリファの“胸部”。


 黒い核が一瞬だけ、脈打つのに気付く。


「……あれね」


 次の瞬間。


 ズドォン!!


 再びアポクリファの攻撃で、吹き飛ばされるヴァルミナ。


「ぐっ……!!」


 だが――


 その口元は、笑っている。


「……見えた」


「ヴェルミナ!?」


 離れた場所で戦っていたリィナが叫ぶ。


「聞きなさい!リィナ!!」


 ヴェルミナも血を吐きながら叫ぶ。


「コイツには――“核”がある!!」


 ウィザーの目が細くなる。


「……」

「あの胸の黒い塊!」


 ヴェルミナが指を指しながら続ける。


「あそこが魔力の源よ!!」


 リィナの瞳が鋭くなる。


「……なるほど」


 だが――


 ウィザーが口を開き冷く見下す。


「気付いたところで、

 届かなければ意味がないわ」


 アポクリファが前に立ちはだかる。


「そうね」


 ヴェルミナが笑う。


「だから――」


 影が広がる。


「“届かせる”のよ」


 リィナが構える。


「……やれるの?」


 ヴェルミナが肩をすくめる。


「誰に言ってんのよ」


 一瞬、視線が交わる。


「行くわよ」


「ええ」


 同時に踏み込む。


 ヴェルミナが呪詛結界を展開。


≪影束縛・歪曲展開シャドウ・ディストーション


 影が“空間ごと歪める”。


 アポクリファの動きが一瞬だけズレる。


「今よ!!」


 リィナが加速する。


黒百合斬リリィ・エッジ!!≫


 闇を纏った高速の斬撃を放つ。


 アポクリファも迎撃の構えを見せた。

 

虚喰砲アビス・デヴァウア


 だが――


 軌道が“歪む”。


「なっ……!?」


 ウィザーが初めて声を上げる。


 ヴェルミナが笑う。


「予測できないでしょ?」


「“()()()()()()()()()”よ」


 リィナが懐へ突っ込む。


「終わりよ!!」


 剣が振り抜かれる。


黒龍断閃ヴァル・ノワール!!≫


 ザァァァァッ!!!


 闇の刃がアポクリファの核を、貫く。


 一瞬の静寂。


 そして――


 ビキィッ


 亀裂が全身に走る。


「……!」


 ウィザーの瞳が揺れ


 アポクリファが、崩れていく。


「馬鹿な……ありえない……!」



 ヴェルミナが息を吐き静かに言う。


「あるのよ」


「“あんたの知らない答え”がね」


 アポクリファが完全に崩壊し爆発。


 煙が晴れる。


 そこに残ったのは――


 ウィザーただ1人。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ