第28黒 蒼光剣士カイラン VS 元魔王カイゼル ――魔王の力
――踏み込み。
石床が砕け剣が交錯する。
カイランは瞬時に判断し、光魔法を剣に重ねる。
「蒼光剣技・二式――」
剣が光を纏い、魔力が刃へ集中する。
≪蒼天閃刃!!≫
蒼い斬撃が爆発する。
「……遅い」
カイゼルの足元から黒い魔法陣が展開する。
「魔王術式・第一階位」
≪影喰刃≫
闇が刃へと変わり蒼い斬撃を呑み込んだ。
「なっ――」
カイランに一瞬の隙――
そこをカイゼルが踏み込み闇の刃が閃く。
ズバァッ!!
カイランの肩が斬り裂かれる。
カイランは後退し、剣を構え直す。
「ほう、まだやる気があるとは…」
「当たり前だ!!」
カイランが踏み込み巨大な魔法陣が展開。
「俺は蒼光剣士だ!!」
剣を構え、踏み込む。
「フフッ…それでこそ狩りがあるというものだ。」
カイゼルの瞳が愉しげに細くなる。
カイゼルも両手に闇の魔法を宿しながら踏み込む。
次の瞬間――
光と闇が激突する。
≪蒼光剣技・三式!蒼光破衝刃≫
≪魔王術式・第二階位!深淵魔王撃≫
剣と魔法が衝突する。
ドォォォン!!!
――轟音。
光と闇の衝突が回廊を震わせる。
衝撃波が石壁を砕き、魔導灯を吹き飛ばした。
蒼白い破片が宙を舞い、視界が煙に包まれる。
その中心。
カイランは歯を食いしばりながら踏み止まっていた。
「ぐっ……!」
蒼光の剣が軋む。
対するカイゼルは――
一歩も退いていない。
黒い魔力が彼の周囲で渦巻き、まるで生き物のようにうねっていた。
「ほう……」
カイゼルが低く笑う。
「まだ立てるか……」
闇の瞳が愉しげに細まる。
「悪くない。蒼光剣士とやらの名は伊達じゃないらしいな」
カイランは剣を握り直す。
血が肩から流れ、床に滴っていた。
それでも剣先は揺れない。
「……当然だ」
息を整える。
「俺は王都を守る騎士だ」
魔力が再び剣に集まり始め、蒼い光が刃を覆った。
「お前みたいな怪物に――」
踏み込む。
「負けるわけにはいかない!!」
蒼光が爆発した。
≪蒼光剣技・四式!!!蒼光聖十字剣≫
光の斬撃が嵐のように放たれる・
無数の蒼い刃が連続で空間を切り裂いた。
回廊が裂け、床が崩れる。
だが――
カイゼルは笑っていた。
「威勢は良い……」
黒い魔法陣が足元に広がる。
幾何学模様が幾重にも重なり、闇の文字が回転する。
「だが、その程度では俺には勝てない……。
数多の勇者のようにお前も消えるがいい。」
闇が地面から噴き上がった。
黒い炎に深淵の魔力。
「燃え尽きろ……」
カイゼルが手を振る。
「深淵の炎で――」
≪魔王術式・第三階位!!!深淵黒炎≫
轟ッ!!!
黒炎の柱が回廊を呑み込んだ。
「くっ……!!」
カイランが剣を構える。
蒼光の結界が展開される。
≪蒼光防壁!!≫
光の盾が炎を受け止める。
だが――
バキィッとひびが走る。
「な……!?」
カイゼルが笑う。
「防ぐだけか?」
黒炎がさらに膨れ上がる。
「その程度の覚悟で、魔王と戦うつもりだったのか?」
結界が砕けた。
ドガァァァン!!
爆炎が弾ける。
カイランの身体が吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。
「がはっ……!」
血を吐く。
それでも――
カイランは立ち上がる。
剣を支えに。
「……まだだ」
蒼光が再び灯る。
「俺は――」
その瞬間。カイゼルが消えた。
「無駄だ…」
背後。
カイランの瞳が開く。
「なっ――」
闇の鎖が飛び出す。
≪魔王術式・第四階位!!深淵魔鎖≫
黒い鎖が身体を絡め取る。
「ぐっ……!」
完全に拘束された。
カイゼルがゆっくり歩み寄る。
「逃げられると思ったか?」
鎖が締め上げる。
「魂ごと縛り上げてやろう」
カイランは歯を食いしばる。
「まだ……終わって……」
その瞬間――
カイゼルの拳に闇が集まった。
巨大な魔法陣に、重い魔力。
「地獄に堕ちる覚悟はできてるか?」
「残念だが――」
拳が振り抜かれる。
「魔王からは逃げられない」
≪魔王術式・第五階位!!断罪獄炎覇≫
ドォォォォォン!!!
闇の衝撃が爆発し回廊が崩壊する。
煙の中。
カイランの身体が倒れていた。
剣は床に落ちている。
静寂。
カイゼルが歩み寄り、倒れた騎士を見下ろす。
「……ふん」
小さく鼻で笑う。
「少しは期待していたんだがな」
闇の魔力が静かに消えていく。
「まぁ、久しぶりにそこそこ楽しめた。」
背を向ける。
「それに…」
肩越しに呟く。
「その忠誠心……悪くなかったぞ」
歩き出す、その姿はまさに――
戦場を支配する魔王そのものだった。




