第26黒 蒼光塔決戦前夜
廃墟となった礼拝堂。
その地下にリィナとレジスタンス達が集まっている。
その中央の机に、蒼光塔の地図。
机を囲むのは――
リィナ、シルフィ、カイゼル、ヴェルミナ。
そしてレジスタンスの面々。
レジスタンスリーダーのライラが口を開いた。
「今朝、確定情報が入った。」
地下空間に静かな緊張が走る。
「魔法協会会長セラフィムが死亡」
誰もが息を呑む。
ライラは続ける。
「そして現在、蒼光塔の頂点に立っているのは――」
視線がリィナへ向く。
「”ウィザー=ヴァレンタイン”」
沈黙。
だが、リィナは驚かない。
赤い瞳が地図の最上層を見つめている。
「まぁ予想通りね」
静かな声。
赤い瞳が、地図の中心――蒼光塔最上層を見つめる。
「協会を乗っ取ったってわけ」
ヴェルミナがくすりと笑い
紫の瞳が楽しげに細まる。
「大胆よねぇ~。上司を殺してトップに立つなんて」
「面白いじゃない。そういう狂気」
シルフィが冷ややかに言う。
「でも放っておけば、この国ごと飲み込まれますねぇ」
リィナが頷く。
「ええ。だから――」
指先が地図を叩く。
「今度こそ終わらせる」
その言葉に、地下の空気が引き締まる。
ライラが腕を組む。
「問題は塔の防衛だ」
地図の中層を指す。
「蒼光騎士カイラン」
その名前にレジスタンス達がざわめく。
「それに…暗殺者ヴァレンですねぇ」
シルフィが続けた。
ヴェルミナが小さく笑う。
「厄介ね、正面突破したら全滅コース…」
リィナは静かに言った。
「だから分断する」
地図の上に三本の侵入ルートが描かれる。
「まず」
指が中層の通路を指す。
「カイラン…」
視線がカイゼルへ向く。
カイゼルは机にもたれながら、面倒そうにため息をついた。
「なるほど、俺の力を借りたいってわけか」
「蒼光剣士の相手とは……まぁ悪くねぇ」
口元が歪み、指先に黒い魔法陣が一瞬浮かぶ。
「魔王に逆らうことがどういう意味か身体に叩き込んでやるよ。」
リィナは次に視線をシルフィへ向けた。
「次にヴァレンだけど、」
シルフィが小さく頷く。
「それなら、私の出番ですよぉ」
「暗殺者は暗殺者同士で、それに
影の中でなら、私の方が有利ですから」
「そして、私とヴェルミナで…」
指が蒼光塔の頂点を指す。
「ウィザーを倒す」
ヴェルミナの瞳が愉しげに光る。
「女帝とラスボス討伐?」
「それが望みでしょう?」
リィナが静かにヴェルミナに応える。
「ふふっ…良く分かってるじゃない。」
その時、ライラが口を開いた。
「我々は何をすればいいのだ?」
リィナは振り向く。
「あなた達には別の役割がある」
地図の下層の警備区画。
「塔の警備を引きつけて、混乱を起こす」
「そして――足止めをお願いするわ」
レジスタンスの何人かが顔を見合わせる。
だが、ライラは迷わなかった。
「なるほど、囮というわけか?」
リィナは首を振る。
「違うわ」
静かな声。
「この作戦を成立させるための鍵よ」
ライラは少しだけリィナを見つめた。
そして笑う。
「いいだろう。レジスタンスメンバー全員で塔をひっくり返す」
周囲から声が上がる。
「やってやる!」
「どうせもう後戻りはないんだ!」
地下の空気が熱を帯び、ヴェルミナが笑った。
「いい作戦じゃない」
指で髪をくるくる回す。
「成功すれば、だけど」
リィナは短く答える。
「いや必ず、成功させるわ…。」
リィナの赤い瞳が静かに燃える。
その視線の先にあるのは――
蒼光塔の頂点で待つ女。
ウィザー=アルヴァレン。




