第24黒 蒼光塔の簒奪者――狂気の天才魔導士ウィザー、協会長を粛清する
蒼光本部・最上階。
結界に閉ざされた円形の会議室は、すでに半壊していた。
円卓は砕け、石床には焦げ跡が走り、
壁の魔導結界はひび割れて蒼い火花を散らしている。
その中心で
セラフィナ=ルクレールは膝をついていた。
白い法衣は焼け、胸元から血が流れている。
呼吸は荒い。
だが――瞳はまだ死んでいない。
彼女の前に立つのは、ウィザー=ヴァレンタイン。
蒼い魔力が渦巻き、彼女の周囲を光が螺旋を描いている。
「……意外としぶといわね。」
ウィザーが小さく笑う。
その声には、明確な嘲りが混じっていた。
セラフィナはゆっくり顔を上げる。
「あなたは……本当に愚かですね……」
かすれた声。だが言葉は鋭い。
「天才に逆らうことが、どれ程愚かなことか分かったかしら?」
ウィザーは肩をすくめる。
セラフィナは血を吐きながらも言い返す。
「上司であり、味方のこの私を殺す覚悟があるのですか?」
その問いに。
ウィザーは一瞬だけ目を細めた。
そして――
くすり、と笑う。
「あら、忘れたの?」
蒼い魔力がさらに濃くなる。
「仲間を殺すのに一人も二人も変わらないわ。」
その言葉と同時に魔法陣が輝き、蒼光が収束する。
巨大な槍のような魔力が、ウィザーの掌の上に形成される。
セラフィナの瞳がわずかに揺れた。
それでも、彼女は睨み返す。
「くッ……裏切り者が!!」
セラフィムの血が唇から垂れる。
「ろくな死に方をしませんよ…?」
ウィザーは静かに微笑んだ。
「それはお互い様でしょう?」
次の瞬間――
蒼光の槍が放たれた。
≪蒼光断罪槍≫
光が走り、セラフィナの胸を、蒼い魔力が貫く。
ズン――
重い音と共にセラフィナの身体が揺れる。
黄金の魔力が一瞬だけ輝き――
そして、消えた。
彼女の身体はゆっくりと床へ崩れ落ちる。
静寂。
会議室に残るのは、魔力の焦げた匂いだけ。
しばらくウィザーは動かなかった。
そして。
ふいに肩を震わせる。
フフ……
フフフ……
やがて、堪えきれなくなったように笑い始めた。
「アッハハハ……!」
声が会議室に響く。
狂気に満ちた笑いだった。
「これで協会は私のもの。」
ウィザーはゆっくり両腕を広げる。
まるで王座に立つ王のように。
「私に逆らう者は皆こうなるのよ!」
彼女の笑いがさらに高くなる。
「アハハハハ!!」
魔法陣が蒼く輝き
崩れた会議室の中央で、ウィザーの影が大きく揺れた。
そして。
彼女の瞳が冷たく細くなる。
「次はあなたよ……」
低く囁く。
その名を、まるで獲物のように。
「リィナ。」




