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黒のカサブランカ ――裏切られし女勇者、闇に堕ちて魔王となる――  作者: 小鳥遊 千夜
第一章 最初のメインターゲット 大魔導士、ウィザー=アルヴァレン編

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第19黒 「仲間の技で消えろ」――黒百合の女帝、蒼雷を奪う

 


 崩れた蒼光塔の廊下。


 砕けた石床に、まだ蒼雷の残滓(ざんし)がちらちらと瞬いている。

 魔力の焦げた匂いが漂い、空気は重く沈んでいた。


 その中心で。

 

 カイランは剣を握りしめ、ゆっくりと構え直した。


 視線の先には――リィナ。


「……俺も剣士だ」


 低い声。


「仲間がやられて、引き下がるような真似はしない!」


 蒼光の大剣が構え刃から、淡い青白い魔力が脈打つ。


 リィナの赤い瞳が冷たく光る。


「そう…」


「なら……消えて貰うわ」


 その瞬間、彼女の足元に魔法陣が浮かび上がる。


 蒼い光、見覚えのある紋様にカイランの目が見開かれた。


「おのれ……!」


 怒りが爆発する。


「その魔法は……ルシオのっ!!」


 リィナは淡々と腕を上げ、魔力が指先へと収束する。


「蒼光第七位階」


 低い詠唱。


 天井に巨大な魔法陣が展開される。


「――《蒼雷終焉(グラン・テンペスタ)》」


 雷鳴が轟き蒼い電撃が空間を走り、

 天井の魔法陣が回転する。


「もう私のよ…」


 イィナの赤い瞳が、カイランを射抜く。


「仲間の技で消えなさい」


 カイランの歯が軋む。


「くっ……!」


 剣を握る手に力が入る。


 蒼雷が落ちる――


 その瞬間。


 空間が裂けた。


 ビキリッ――


 空気が歪み、闇の裂け目が開く。


「残念、そこまでだよ、女帝様」


 声は――


 リィナの真後ろ。


 気配は完全に消えていた。


 カイランが叫ぶ。


「――ヴァレン!!」


 裂けた空間から、一人の男が滑り出る。


 黒い外套に軽い身のこなし。

 手には細い短剣。

 

 暗殺者ヴァレン=シャルク。


 王国魔法協会の“暗殺者であり影の処刑人”。


 その短剣が、静かに走る。


 シュッ――


 刃がリィナの首筋を掠め、血が一筋、空中に散る。


 致命ではない。


 だが、完全な不意打ちだった。


 ヴァレンは肩をすくめる。


「本当は手を出すつもりは無かったんだが…」


 軽い口調で笑みを浮かばながら、指先で短剣を回す。


「たまにはお前らに貸しを作るのも悪くないだろ?」


 リィナがすぐに距離を取り黒刃を構える。


 だが――。


 ヴァレンは既に次の手を用意していた。


 パチン。と指を鳴らすと空間に光が走る。


 三方向に魔法陣が浮かび上がった。


「結界、展開完了だ」


 透明な壁が、廊下を覆う。


 完全な封鎖。


 ヴァレンはカイランに視線を送る。


「援軍が来るまで持てば――十分だ。」


 その空気を切り裂くように、柔らかな声が響く。


「ふふ……」


 潜んでいたシルフィの影が床から広がる。


 黒い霧のように。


「嫌な連携ですねぇ」


 彼女の足元から影が伸びる。


「でも……」


 影が広がりヴァレンの足元へ。


 だが――


 キィン!!


 細い光刃。


 影が真っ二つに裂ける。


「おっと、君は後回しだ」


 ヴァレンが笑いながら、短剣をくるりと回す。


「可愛い影さん」


 シルフィの影が、わずかに揺れる。


 「厄介な相手ですねぇ…」



「くく…まずは――主役を削ろう」


 ヴァレンが静かに指を鳴らすと空気が歪み


 魔力の霧が薄く広がり、リィナ達の周囲に人影が滲むように現れた。


 一人、二人、三人…


 そして、十人。


 まるで鏡の中から抜け出してきたように、同じ姿のヴァレンが取り囲む。


「……幻影魔法」


 カイゼルが低く呟く。


「分身体……いや、半実体か」


 刃が触れれば傷も負う。

 だが本体ではない。


 最も厄介な種類の幻術。


「……形勢、逆転だな」


 カイランが低く呟く。


 その声には、先ほどまでの焦燥とは違う冷静さが戻っていた。



 リィナはゆっくりと剣を握り直す。


 静かに息を吐くと、赤い瞳が、周囲の闇を測るように動く。


「いいわ……まとめて相手をする」



 黒い魔力が彼女の足元から静かに立ち昇る。




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