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黒のカサブランカ ――裏切られし女勇者、闇に堕ちて魔王となる――  作者: 小鳥遊 千夜
第一章 最初のメインターゲット 大魔導士、ウィザー=アルヴァレン編

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16/40

第16黒 蒼光塔潜入!――待ち受ける魔導師!!

 

 夜の街路が、爆炎に染まる。

 魔都エルヴァーネ中央区。

 王国魔法協会本部に、レジスタンスの部隊が突撃を開始していた。


「前線突破だ!!」


 怒号と共に剣が交わる。


 魔法が弾け、石畳が砕け、

 一瞬で戦場へと変わる。


 ――その中心。


 ゆっくりと歩く男がいた。


 蒼光剣士(アズール・ナイト)隊長

 カイラン=ブルーム


 長身の体躯。

 肩まで伸びた金髪を後ろで束ね、青白い魔導鎧の隙間から光の魔力が脈打つ。


 背中の大剣を引き抜く。


 刃が抜けた瞬間、剣が眩く輝いた。


「……雑魚が多すぎるな」


 次の瞬間。ドォン!!


 光の斬撃が一直線に走った。



 石畳が裂け、レジスタンス達がまとめて吹き飛ぶ。


 悲鳴と破片が夜に散った。


 カイランは剣を肩に担ぐ。


「フン、ウォーミングアップにもならん」


 だが。


 彼の視線は、戦場ではなく――その奥を探していた。


(……おかしい…)


 眉がわずかに動く。


(”黒のカサブランカ”が姿を見せない)


 本来なら、ここに現れるはずだった。


 レジスタンスがここまで大規模に動けば、彼女が現れないはずがない。


 だが。いない。


(……どういうことだ)


 その瞬間、怒号が響く。


「囲め!!」


 レジスタンスの戦士が一斉に突撃する。


 四方からの同時攻撃。


 カイランは思考を切り替えた。


「ちっ……まあいい」


 剣が光を放つ。


蒼光(セイクリッド・)(ブルーム)!!≫


 衝撃波が広がり、数人が宙を舞う。


 だが――


 一人だけ倒れない。


 レジスタンスのリーダー・ライラ。


 傷だらけの鎧で、一直線に突っ込んでくる。


「はあああああッ!!」


 剣が振り下ろされる。


 ガキィィン!!


 光剣と鉄剣がぶつかり、火花が散る。


 カイランは目を細めた。


「……女か」


 剣を押し返す。


「悪くない。だが俺の求めてる相手はお前ではない。」


 そして次の瞬間。


 カイランの視線が再び戦場を走る。


(何故、姿を現さない。)


 舌打ち。


「チッ……」


 ライラが笑う。


「余所見する暇は与えぬ!」


 剣が横薙ぎに走る。


 カイランはギリギリで受け止めた。


 ガン!!


 衝撃で一歩下がる。


「……妙だな」


 カイランは低く呟く。


「お前ら、わざと派手に暴れてるな…」


 ライラは答えず、ただ剣を構え直す。


 その沈黙が――


 答えだった。


 カイランの目が細くなる。


「なるほど…。」


 剣を肩に担ぎ、空気が変わる。


「……してやられたな」


 次の瞬間。


 剣が強く輝いた。


「だが――お前らごときでこの俺を止められると思うなよ」

 カイランが、殺気を放ちながら答える。



 その頃―― 王国魔法協会本部《(セイクリッド・)(アズライト)》の塔。


 外壁の影を、一つの黒い影が滑っていた。


 リィナ。


 音もなく壁を登り、結界の隙間へ手を触れる。


「……ここですよぉ」


 シルフィが調べた結界周期の

 わずかな歪みに魔力を流す。


 パリンと小さな音立てて結界が静かに開き

 リィナ達が内部を進む。


 青白い魔力灯が照らす長い廊下。

 王国魔法協会の中枢。


(ウィザー……)


 赤い瞳が細くなる。


(もうすぐよ。)


 その時だった。


「……やっぱり来たか“黒のカサブランカ”…」


 リィナが声を振り向くと、廊下の奥に


 壁にもたれかかる男。

 蒼光魔導師”ルシオ=アストレア”が余裕の笑みを浮かべている。


 彼はゆっくりと拍手した。


 パチ……パチ……


「さすが元勇者様だ。正面戦闘を避けて最短侵入…」


 眼鏡を押し上げ薄く笑う。


「実に合理的だね。」


 リィナは剣を構える。


「……どきなさい」


 冷たい声。


「それは困る」

 ルシオは肩をすくめた。


「ウィザーの駒ってわけ?」


 ルシオが鼻で笑う。


「この僕がウィザーの駒?馬鹿にしないでくれたまえ。

 ボクの方がウィザーよりずっと上だ。君を倒してそれを証明してやるよ」


 指先で魔力を弾くと、空間が歪む。


「僕は僕のやり方で“天才”を出し抜く」


 パチン。と指が鳴る。


 その瞬間――


 廊下の壁、床、天井に巨大な魔法陣が展開した。


≪結界魔法、展開!!!≫


「抵抗は無意味だ」


 完全な戦闘空間。


 逃げ道はない。

 ルシオが微笑み、眼鏡が光る。


「功績は全部、僕のものだ。」


 リィナの赤い瞳が冷たく光り

 剣がゆっくりと持ち上がる。


「……邪魔ね」

 

 次に瞬間――


 魔力と殺気が交差し

 黒百合と魔導師が対峙する。







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