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明石華菜子

 私は八佐視祐斗をカフェに呼び出し、彼の耳を疑うような性癖を聞かされた昨夜の寝付けが悪く、翌日を迎えた起床の際に、頭が重く頭痛も相まい苦しんだ。

 縞那賀沙奈が交際している八佐視祐斗に対して浮気をして、誰とも知らない男性に身体を抱かせたという想像も出来ないことを聞き、動揺せずにはいられなかった昨日だった。

 私は縞那賀を尊敬している。彼女に対して、憧憬の眼差しを向けているほどだ。

 私は彼女への想いが物音をたて崩れさる喪失感を感じた。

 彼女だけは愛してくれる相手を裏切るような行為に及ぶことはないと信じていた。彼女だけは、誠実な女性だと信じていたのに……

 縞那賀の裏切りを聞いたうえに、八佐視の歪んだ性癖を告白され、眩暈がして、見ている景色が歪んでいた。

 現在の私を否定された感覚に陥った半日は、随分と一時間が長く感じた。太陽が沈み、暗闇に呑まれる夜が訪れないことに、恐怖を抱いた私だった。

 私は、空腹感も喉の渇きもどうでもいいと生まれて初めて思えた一日だった。

 両親は娘を置いて、二泊三日の旅行を楽しんでいる最中で居らず叱られることはなかった。


「ねぇ、そんなつまんない、私の話ぃ?」

「つまんなくないよ、アミ。そんなつまんなそうに見える?」

「そうだけど。うわの空って風に、あからさまに態度出されちゃ聞かずにいらんないっしょ。たまには、下ネタ付き合ってもいいんじゃない?」

「あんたのオナニーが気持ちよかったなんて、このオシャレなカフェで聞くことじゃないからね」

「聞いてたんなら相槌ぐらいしなさいよ、華菜子。あんたが付き合い悪くて、たまには外に連れ出して光合成させなきゃじゃん」

「アミの下ネタはえげつなくて、聞くに耐えない。引きこもりみたく言うな、私を!まぁ、ファッションのこと話されてもだけど」

「ひどぅー、華菜子は今日までの夏休みに、どんだけ外出したの?」

「さぁー、忘れた」

 美東のオフショルダーブラウスでは隠せてない肩や鎖骨は剥き出しで、ブラジャーのストラップも見えている。

「出てないじゃん。胸ばっか見るなし!」

「見てない。それでオナニーさせられてからシた。面白いのは、そういうのが好きなやつで——」

「華菜子が逃げる〜!ソッチだから、興味ない感じ?」

「レズってわけでもない。さっさと切り上げない?あんたのせいでそろそろ限界なんだけど」

 左右の席や背後の席から突き刺すような視線を感じ、カフェを出たくて仕方がない。

「んー、そだね。マン喫、行く?」

「行かない。あんた、ロクなこと考えないね」

「えへへぇ〜」

 美東は漫画喫茶で私の発言を確かめようとしたのを認める笑顔を浮かべた。

「彼氏とヤってろ」

 私は呆れ、吐き捨てて、残りのパンケーキを平らげる。


 会計を済ませ、カフェを出て、美東が連れ回そうと行きたいスポットを提案した。

「じゃあ、映画館!映画を一緒に観ようよ!ポップコーンも食べたい気分だしさっ!」

「観たいのがやってないから、行かない。休まる気がしない、アミといると」

「今日は毒舌dayですか、華菜子?何だったら付き合ってくれんの?」

「通常運行だよ。アミの部屋って汚してもいい感じ?」

「汚すっ!?私の部屋を汚すってどうす——」

「そんな構えることでもないよ。私はアミに呼ばれて来た、私もアミに何か叶えてもらう権利はあると思う」

「その主張はおかしくないかも……華菜子、見返りがなきゃだめってことを今まで——」

「アミの喘ぎ声を聴かせてって要求なんだけど、アミは呑んでくれる?」

「喘ぎ声……って言ったの今?」

 三歩も後退りをして震える声で訊いた美東だった。

「そう。聴かしてくれる?聴かしてくれない?」

「えぇっと……それは、どうやってかを聞きたい」

「アミの家に遊びに行けるなら、言う」

「来て……いいから、教えてよ」

「ありがと、アミ。アミが嫌がらずにやれる方法を採るから安心して。変態らしいんだ、私って。じゃ、行こ」

「あぁ……う、うん。」


 私は美東に案内され、美東の自宅に到着した。

「アミの家ってめっちゃ立派じゃん!羨まし〜!」

「そ、そうかな……?上がって、華菜子」

 私は美東家の敷居を跨ぎ、美東の後ろを歩き、上がった。

 階段を上がりだして、会話を始めた。

「アミって彼氏を招いてシてることもあるんだよね」

「そういうこともあるね……それがどうしたの?」

「ううん。アミってどんな風に喘ぐの?どんなことされたら、気持ちよくなれる?アミが気持ちよくなって喘いでくれたら、触らせてあげないこともないよ。アミ、静かだけどどうしたの?」

「えっ、いや……そんなことは」

「彼氏とは楽しいんでしょ。私とだってたいして変わらないよ、感じ方は。アミ、あんな楽しそうに話したんだから大丈夫だって〜」

「……」


 美東がある扉の前で脚を止め、扉のドアノブを下ろし開けた。


 明石華菜子は、昨日の八佐視が憑依したかのような言動をしているのを実感していた。

 美東亜実は、明石が八佐視の告白を聞いていた際の反応をしていた。






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