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クズな彼氏

 俺が明石と別れたのはカフェで、ゲームセンターに一人で寄り涼んでから帰宅した。

 帰宅すると、玄関扉は開錠されており、「ただいまー」と上がった俺だった。

 リビングに繋がる扉が締まっていて、リビングから微かに、「おかえりなさい」と縞那賀が返す。

 俺はスリッパを脚に引っ掛け、リビングの扉へと歩み出す。

 リビングに片脚を踏み入れると、縞那賀が涙を流し顔を上げた。

「祐斗ぅぅっっ……ほんとにごめんなさい。何処に——」

 泣きながら深々と頭を下げて謝り、自宅に不在だった理由を訊ねる縞那賀。

「もう謝んないで、沙奈。華菜子ちゃんに呼び出されて、カフェで涼んでただけだよ沙奈」

「明石が祐斗を呼び出したの……?」

「沙奈が心配してるような浮気じゃないよ。浮気を心配って可笑しいか、ははっ。昨日のことを話したら変態って蔑まれたんだよ、彼女に。同類のくせに蔑むなんて……はぁー、嘆かわしいよ。華菜子ちゃんにお似合いだって思われたかな?変態同士ってさぁ。明石に変態として見られる気分ってどうなの?知りたいな〜ぁ沙奈〜ぁ!」

「明石はそんなっ——」

「明石を清楚な女子と認識してる時点で見る目がないよ、沙奈ぁ。明石に蔑まれる筋合いはねぇんだ!あはは、あははははっっ!変態だよ、華菜子ちゃんは紛れもなくねぇ〜〜!俺は華菜子ちゃんをどうしようとか湧くこともねぇから、無事なだけだよ。はぁはぁ……どいつもこいつも変態ばっかだよ、この世界はぁぁあああぁぁぁっっっっっ!」

「どうしたの、祐斗ぅ?変な物でも食べたの、祐斗ぉぅっ?いつもの祐斗に戻ってよ、ねえ祐斗ぉぉおおぅぅぅ!」

 盛大な笑い声をあげたり、他人を口汚く罵ったり声を張り上げ始め咽せて、仕舞いには叫ぶ俺に、蒼ざめた縞那賀がおぼつかない足どりで歩み寄り、肩を掴んで身体を前後に激しく揺する。

「おっ俺は……いっ、いつもぅ……どおりだぁっ、よぅぅ。沙奈はっ……は何いっ……いい、言ってんだ?」

 俺は肩を掴み身体を前後に激しく揺する彼女の金切り声に聞こえる雑音(ノイズ)を煩わしく感じ、突き離そうとするが、彼女の腕を掴むほどの腕力が腕に入らず、持ち上げられない。

「祐斗ぅぅっ!祐斗ぉぉおおおぉぉぉ、落ち着いて!落ち着こう、ねえ祐斗ぅぅ!」

「うっうぅっるさぁああぁ……ぁいよぉぉおおおおぅぅぅ!」

 俺は抵抗を試みたが、縞那賀にフローリングに押し倒され、背中やお尻を打ちつけ、鈍い痛みを感じ短く呻く。

「いい加減にっ……!」

「強がってたんだよね、祐斗……不安だったんだよね、私に裏切られて。祐斗、祐斗、祐斗は今まで押し込め続けてたんだよね……色んな感情を。八佐視祐斗の存在を、私は否定しないよ。悲しいよね、自分を否定されるのは……私は祐斗を否定してないの、祐斗を今まで否定してきた人達とは違うよ。祐斗には祐斗の価値観があって、他人にはその価値観は相入れられなくても私は理解しようとするから。だから、どうか……いつもの祐斗に戻ってぇ!」

 俺の顔に髪を垂らした彼女が暴れた子供を宥めるような優しい声で語りかけてきた。

「何を知った風に……どうかしてた。悪りぃ、沙奈。めちゃくちゃ酷いこと言った。ごめんなさい……沙奈。明石のことも、ごめん」

 俺は素直になれない一言を発して、態度を改め謝る。

「いいよ、祐斗」

 縞那賀は泣き腫らした目のままで、俺の顔を見据えてはにかみ、短い返答をした。

 彼女が立ち上がり、脚を曲げ屈んだ体勢にして片手を俺に差し出した。

「今日は、一緒に居てくれる?」

「あぁ、沙奈と居るよ」

 俺は彼女が差し出した手を取り、ゆっくり立ち上がった。


 俺は自身のことも縞那賀のことも解らずに、彼女に促されるままに側に置かれたダイニングチェアに腰を下ろした。

「いつもの祐斗に戻って、安心したぁー!」

 彼女は普段見せる笑顔で、安堵したように漏らした。

「俺……否定され続けてたのか?俺は……俺ぇ……は……」

「祐斗……そのことは一旦置いておいて、夕飯どうするか話そ」

「えっ……あぁ、それもそうだな」


 俺は自身が縞那賀に着るように指示した衣類を着たままの彼女を見つめながら、会話を交わした。


 俺は彼女に抱いてと誘われたが、抱く気分にもなれずにそのまま翌日を迎えた。


クズな八佐視が出てしまった。

浮気され感傷しての言動か、それとも別な原因でのものか……?

複雑な彼ら…………



おかしな二人。


今までとは異質な人間ばかりが登場します……この作品。


リアルで彼らがいたら、怖いと思いながらやってます……


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