逢えた幸せ
私は夏季休暇を終えた新学期、美東に関したことで明石に懇願された翌日の放課後に突入した時機に、スマホが一件のメッセージを受信し、教室を飛び出した。
捕まると厄介な人物から逃走するまでもなく、廊下を教師や優等生に説教されない程のスピードで駆けた。
下駄箱で履いていたスリッパを脱ぎ、自身に与えられたスペースに突っ込み、スニーカーをコンクリート造りの地面に落とし、脚を引っ掛け、履いた時機に昇降口へと急ぎ、校門を抜けようとした。
私が校門を抜けた時機にスマホが着信を告げ、三コール目で通話に出る。
『あっ、もしもし、急に紫恵美ちゃんを誘ってごめんね。旦那があの子たちにせがまれて、遊びに行くってことだから……家に一人で、もし紫恵美ちゃんが良かったらと思って——』
「行くよ、千鶴っ!絶対行くからっっ!?」
『わかったよ、待ってる紫恵美ちゃん』
「うんっ!」
私は通話が切れたスマホをスカートのポケットに突っ込み、残る体力を使い切る勢いで両脚に力を込め、陸上部のような走りで緋代家に急いだ。
緋代家の前に到着した私は息を切らし、曲げた膝に掌を乗せ呼吸を整えた。
深呼吸を繰り返し、インターフォンを押し、緋代千鶴を呼び出した。
「いらっしゃい、紫恵美ちゃん!さぁ、上がって上がって」
「はい……お邪魔しまぁす」
私は緋代家に上がり、出されたスリッパに履き替え、彼女の後をついていく。
彼女が階段を上がり、寝室へと向かう。
私は夫婦の寝室に脚を踏み入れ、ひと足先にベッドに上がり私を誘う姿勢で待ち構える彼女に倣い、ベッドに上がる。
「紫恵美ちゃんがシたいようにして」
「うん、そのつもりだよ」
私は抱きしめるには届かない距離を詰め、埋め尽くすようにプリントされた花のシャツを脱がさずに、彼女の背中に両腕を回し、お互いの胸が潰れるほどに抱擁した。
髪の匂いや首から匂う体臭をくんくんと嗅ぎ、堪能して首の下から上へと舌で舐めた。
「ひぃ……ぅう〜っっん、ぁああ"んぅっっ!あぁっ、あんっっはっあぁんっああ"ぁ〜……はぁん……んんぅあ〜あ"あ"っっっ!しぃっ……あぁああ"んっ紫恵美ぃいいっっ……あんあんんっんっぁああ"〜!」
緋代は首を舐められただけで、艶かしい喘ぎ声を漏らした。
私は首を舐めながら、ベッドに押し倒し、喘ぐ彼女の口に口づけをして、舌を挿れていく。
野獣のような勢いで、彼女の舌に自身の舌を絡め、貪っていく。
彼女は既に涙を目許に溜め、気持ちよさそうにしている。
理性が抑えられそうにない私だった。
千鶴が結婚した旦那が羨ましくなる。千鶴の快感に溺れた締まりのない顔をいつでもみれる旦那が羨ましく、疎ましさを覚えてしまいそうだ。
いつまでも彼女の舌を絡め続けていたいが、制限時間は短く、彼女の胸を揉み、下腹部の快感を感じやすいワレメを撫で、膣内に指を挿れたり抜いたりを繰り返し、絶頂かせたい。
私は彼女の腹の上に跨り、胸を揉みながら、乳頭を強く摘んだり引っ張ったりを繰り返す。
顔を彼女の胸に近づけ、乳頭を噛んで赤子のようにしゃぶりつくのも続けた。
私が彼女の感じやすいワレメに指を触れた瞬間に彼女の喘ぎ声が大きくなり、ぐしょぐしょに濡れて、ベッドのシーツに染みをつくっていた。
私が彼女の膣内に指を挿れると彼女が私の名前を呼んで、指を挿れたり抜いたりを繰り返すと、何度も名前を呼んでくれた彼女だった。
「紫恵美、気持ちいい?」
「あんっああん……んあっあぁあん……はぁはぁ……気持ちい……っいいあぁん……千鶴ぅうぅぅゔゔぅぅ〜っっ!」
私の身体が背後から彼女の身体に包まれ——背中に押し当てられた彼女の胸の柔らかさと細くて長い二本の彼女の指が私の膣を這って蠢き、挿れたり抜かれたりを繰り返されて、全身が性感帯になった感覚が湧いてくる。
この快感を毎日味わいたい。
千鶴の手に全身を撫でられ、胸を揉まれ、唇を重ね合わせ、舌を絡ませ、千鶴の手で絶頂かされる時機で私は生を実感する。
20時を過ぎた頃に二人の行為は終わりを迎え、二人並んでベッドに横たわっていた。
「セフレねぇ……私は構わないよ、紫恵美ちゃん。あなたが溜め込んだものを満足に吐けなくて辛くなるなら、それも良いと思う」
「千鶴……本気?」
「憐れんで……私と居てくれてるの?ねぇ、千鶴っ!どういうつもりで」
「そうじゃないっ!紫恵美、そんなふうに思ってないよ。私は、紫恵美のことが大好きだよ。私以外に抱く感情を知ることも大切って意味だよ」
声を荒げた私を緋代が背中に片腕を回し、摩った。
「私は……千鶴とシたい。千鶴以外となんて考えらんないよ。千鶴ぅゔぅっっ、ねぇ千鶴ぅっっ!」
「わかってる……紫恵美のこと、わかってるから。泣かないで……」
20時47分に緋代家を後にして、緋代に自宅付近まで送ってもらい、別れた。
私は緋代千鶴と何十回も重ね合わせた唇に触れながら、明日も逢いたい願望を抱きながら、就寝に就く。
緋代千鶴の腕に抱かれながら寝れるいつかを夢みて——生きていく私だ。