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みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~  作者: 根 九里尾
第6章 ”みょんちゃん”の日常(未来の子ども達へ)【過去】
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75 健やかな未来を 4(たまご)

 母さんは、やっぱり笑顔だった。

 “とびっきりのバナナメロンプリンのサクランボ付き”をぺろっと平らげた。



 それなのに、食べ終えた母さんは、とぼけた顔で、岡崎(おかざき)先生に失礼な質問をしていた。

「ところで、芯ちゃんの病院は、お客さんが少ないんじゃないの?」


「え?お客さん?……患者さんでしょ……?」


「ああ…まあ、患者さんね。

 あんまり患者さんが少ないと、私が今度来た時、おいしいおやつをごちそうになれないんじゃないかと思ってね……?」


「アハハハハ……大丈夫ですよ。おやつぐらいは、いくらでもごちそうしますよ。

 実は、あんまり忙しくならないように、他の病院を紹介しているんです」


「え?……忙しくって……暇にして……何かやっているの?」


「ええ、今、虹ヶ丘大学でお医者さんを目指している人に、医療のことを教えているんです。僕が東京で教わったみたいにね」


「へー、(しん)ちゃん、すごいねー」


「今度、大学へ来てみませんか?紹介したい学生もいるんですよ」


 岡崎先生は、特に自慢している様子もなく、静かに自分の話をした。

 大学へは、ぼくや和美(なごみ)(はじめ)も一緒にどうかと誘ってくれた。


 ちょうど、来週の金曜日は、午後の予定もなかったので、みんなで大学の見学に行くことにした。

 虹ヶ丘中学校の午後の授業は、すべて自分で決めていいのである。自分がやりたい学びを自分の課題で進めるのが、虹ヶ丘の学習なのだ。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・


大樹(だいき)、何だよ、今日は保護者同伴かよー」

 大学見学の話しをしたら、一緒に行きたいと言った笑太(しょうた)が、ニヤニヤしながら小声でささやいた。


「何言ってんだ、説明しただろう。

 今日の見学は母さんが誘われたんだ。ぼく達は、ついでなの……」


 笑太は知ってて言っているので、ぼくは軽く付き合っておいた。


 すると、母さんが

「あら?(しょう)ちゃん……今日は一人なの?

 笑子(しょうこ)ちゃんがいないと寂しいわね。じゃあ私が手をつないであげるからこっちいらっしゃい……」

と、いたずらっぽく声をかけた。


「……いえ、大丈夫です。妹がいない方が、怒られなくて済むので……」


 なぜか急に笑太が緊張した感じになって、悪ふざけをやめてしまった。

 中学生になると、よその母親と話をすると緊張するようになるのだろうか。





「みんな揃ったかな、ここがこれから僕のお話をする教室だ。

 ここにいる10名の学生は、医者を目指して勉強しているんだ。今日は、君達にもわかる話を少しするから、一緒に聞いていってほしい」


 そう言うと、岡崎医院の岡崎先生は、虹ヶ丘大学の教室で病気の話を始めた。


〔つづく〕


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― 新着の感想 ―
おお、岡崎さんは後進の育成にも積極的なんですね。 こうしてバトンが渡っていき、100年の月日が積み上がるのでしょう。 それに……他の紹介ができるほど、病院が増えたことがまず凄いことですし、最初の頃と比…
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