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みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~  作者: 根 九里尾
第6章 ”みょんちゃん”の日常(未来の子ども達へ)【過去】
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72 健やかな未来を 1(毎月の行事?)

「ダイちゃん……」

「…………………」

「ダイちゃん……」

「…………………」


「ダイちゃんってばー……」

「……あー、もうーそろそろ、誕生日も近いんだからさー、……その“ダイちゃん”ってのは、やめて欲しいんだけどなあ~」


「ええ?何がいけないの?……ダイちゃんは、ダイちゃんで、いいじゃないの?」


「だって、ぼくは、中学生なんだよー」

「また、始まった。中学生だって、ダイちゃんは、おんなじなのよー」


 飛行場が完成して、早いもので1年が過ぎた。ぼくは中学生になったんだけど、母さんの前では、相変わらずだった。





「ダイちゃん、今度の日曜日はお願いね。けんちゃんがお仕事で一緒に行けないよねー」


 ちょっとつまらなそうな声を出して、母さんがいつものお願いをしてきた。


 母さんは、月1回、和美(なごみ)の家に行くのだが、その日だけはあまり機嫌がよくない。

 別に、怒ったりするわけではないが、どことなく気持ちが暗くなっているような気がする。


 話しかけても、生返事だったり、いつもはあんなにニコニコしているに、この日だけはニコリともししなかったりと、何となくこっちの調子も狂うのだ。


 おまけに、決して一人では行きたがらないのだ。父さんがいれば、必ず父さんと行くし、いなければぼくについて来てと言う。




 この日に、母さんと二人だけで和美の家に行くようになったのは、ぼくが小学生になった頃からだったと思う。

 それまでは、父さんとぼくと母さんで、必ず三人で行っていた。

 ぼくには、あんまり覚えがないんだけど、普段は和美と一緒に遊んでいる家と同じはずなのに、この日だけは違う部屋で待たされるんだ。

 ちょっと、何だかドキドキしたことを覚えてるだけで、後は忘れてしまった。


「母さん、行くのはいいけど、待ってる間、和美ちゃんの弟の(はじめ)君の勉強をみてあげる約束になってるんだけど、いいよね」


「あ!また、母さんって、言ってる。“みょんちゃん”でしょ!」


「ああ、はいはい。みょんちゃん……」


「もちろんいいけど、私の検査が終わるまで、待合室で待っててね。勉強はそれまで、待合室でみててあげて欲しいなあ。

 午後は、自由にしていいからさ、お願いよ!」







 和美の家は岡崎医院(おかざきいいん)で、月1回母さんは、健康診断に通っている。


 ぼくは、この岡崎医院で生まれたそうなんだけど、母さんは心臓に持病があってとっても大変だったって聞いた。

 でも、和美のお父さんが、すごい手術をして母さんとぼくを助けてくれたらしい。


 その後、母さんの健康を守るために、毎月、ここに来て健康診断を受けているんだ。


 もちろん、母さんは健康診断がいやなんじゃないんだ。ただ、健康診断が半日もかかって、とっても退屈だからつまらないと言っていた。



〔つづく〕


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― 新着の感想 ―
どうして、みょんちゃんが一人で行きたがらないのか気になりますね〜。 完治したんですよね? とても心配です。 (。ŏ﹏ŏ)
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