表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~  作者: 根 九里尾
第6章 ”みょんちゃん”の日常(未来の子ども達へ)【過去】
70/91

69 恋の案内人 3(やっぱりね!)

 一週間後、母さんは大学の講座に行く日になった。なぜだかとても楽しみにしていたことが、ぼくでもわかった。


「みょんちゃん、ぼくも行かなきゃだめなの?」


「何言ってるの!あなたの図書館先生でしょ?あなたが、助けないで、誰が助けるのよ!」


「助ける?図書館先生、何か困ってるの?」


「んー?困っているというか、迷っているというか。

 ……別れ道なのね……。

 迷子にならないように、ダイちゃんが道案内してあげたらどうかな?」


「……………」


 ぼくには、さっぱりわからなかった。今日も町民講座に出かけるんだけど、図書館先生とは、大学で待ち合わせをした。


「あ!あーちゃん、待った?」

「いいえ、私も、今着いたところです」

「じゃあ、行きましょうか」

「行くって、どこへ?」


「決まっているじゃない、あーちゃんの講座よ。今日は、みんなで、あーちゃんの講座に出るのよ」


「私は、別に何の講師もやってませんよ」

 図書館先生は、困ったような表情を浮かべた。


「あー、言い方が違ったかなあー、あーちゃんが通っている講座よ!

 あーちゃんのお目当ての講座とでも言った方がいいかな?」





「……………みょんちゃんは、もう知っているんですね」

 意味ありげに、図書館先生は小声でつぶやいた。


「うん、まあね。

 ……この間、北野(きたの)先生から、名簿を見せてもらったのよ、ごめんなさいね。

 でもね、安心して。

 ……だから、大丈夫だから。

 それで、今日は着いて来たのよ、任せてよ」



「……はい、お願いします…」


 図書館先生は、少し元気を振り絞るように返事をした。


 ぼくには、何のことだかさっぱり分からなかった。

「みょんちゃん、名簿って何?……どこへ行くの?」


「今日の講座はね、“図書館の歴史……”だったかしら?」


「“図書館における世界の歴史と本の有用性”っていうとっても面白いお話ですよ!」


「本当かしら?……そのお話を聞いている人は、何人いるの?」


「……えっと、……1人なんです」


「1人?……ということは、あーちゃんしか聞いてないの?」


「まあ、そうなりますね……」


「その講座にどのくらい通ってるの?」


「もう、半年ぐらいですが」


「はじめは、何人ぐらいいたの?」


「はじめから、1人でした……」



「あははははははは……」


 母さんは、大声で笑い出してしまった。


「やっぱりね

 ……この間、北野先生に聞いたのよ。

 どうして、1人しか受講生がいないのに、講座を続けるの?って。

 北野先生も不思議がって、担当に聞いてみたそうよ。

 そしたら、その担当者は、まじめな顔で『私が続けたいからです!』ときっぱり言ったって言うじゃない。それで、ピン!ときたの。

 これはやっぱりねって」


 図書館先生は、少し顔が赤くなってきた。そのまま下を向いたまま黙ってしまった。


 ますますぼくには意味が分からなかった。


「あれ?ダイちゃんには、まだ無理かな。

 この楽しい状況が理解できるようになるには、あと10年はかかるかな?

 とにかく、みんなで講座に行きますよ」


 母さんは、一人だけとても嬉しそうだった。



〔つづく〕


 ありがとうございます。もし、よろしければ、「ブックマーク」や「いいね」で応援いただけると、励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
不人気講座を続ける理由が分からない大ちゃん。 次話で教えて貰えるのかな? 楽しみです。 (*´ω`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ