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みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~  作者: 根 九里尾
第3章 あの時の想いに再会(現在の虹ヶ丘)【現在からの意思】
30/91

29 七色の風と共に 1(あの場所へ再び)

 千尋(ちひろ)の誕生日から帰ってきた、その真夜中、太郎は、不意に目を覚ました。


「ん?……何だ?」


 天井に何かが写って光っていた。

 太郎は、寝ぼけたかと思いつつも、目をこすってよ~く見た。暗い部屋の天井は、その部分だけが、妙に明るくはっきりと文字が見えた。


 カードのような形になっていて、日付と時間と場所が書いてあった。


『ご招待 ○月○日(土)午後2時 場所:虹ヶ丘図書館2階 専用閲覧室(せんようえつらんしつ)


 

「今度の土曜日だ……それに、図書館のこの部屋は、確か……あそこじゃないかな……」

 太郎は、おぼろげな記憶をたどりながら、去年の事を思い出していた。


 ぼんやりと天井を眺めながら、その光をたどってみると、机の上に置いたお祝いカードに繋がった。

 そのカードは、今日誕生会の帰りに、悟からもらったお祝いカードであった。




 同じころ、志津奈(しずな)三成実(みなみ)も、お祝いカードから出ている不思議な光のメッセージを見つめていた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 次の日の学校で、太郎は、遠慮がちに話し出した。

「あのー、……しーちゃん聞いてくれる?夜中にね、ぼく……不思議なメッセージを見たんだよ」

 

 すると、志津奈は、声を潜めて太郎に近づき目を見開いて同調した。

「え?太郎君も見たの!私もよ!!……ひょっとして、今度の土曜日でしょ!」


「そうそう!そうなんだ!!」

 太郎は、つい嬉しくなって声も大きくなってしまった。


「しっ!……これは、あんまり他人には言わない方がいいと思うわ。

 …………たぶん、図書館のあの部屋ってさ、………前のあの部屋だよね………?」


「あ!……そっか……だからなんだね、しーちゃん!」


 そんな話をしている2人の傍に、担任の北野先生が、近寄ってきた。

「あ、岡崎と中村は、放課後ちょっと先生のところに寄ってくれないかな。頼みたいことがあるんだ」

「はい、わかりました」

 特に用事は、言わなかった。

 それだけ話すと、北野先生は、また違うところへ行ってしまった。


「何だろうね?

 …………そういえば、去年のあの時、図書館のあの部屋でも北野先生はいたよね……………」

 志津奈は、図書館で眠りに落ちてから、不思議な時間の旅をしたことを考えてしまった。


「うん、不思議な体験だったよね………。あの時、ミー姉ちゃんや北野先生が一緒だったから、すごく心強かったのを覚えてるなあ……」

 太郎が覚えているのは、美代乃お姉さんと飲んだ温かくて甘い牛乳だったかもしれない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 


「北野先生、お話って何ですか?」

「……ん、お前たちのところには、これ、来たか?」

 そう言って、北野先生は、『お祝いカード』と同じようなものを子ども達に見せてた。


 ただ、表面には、『虹の森(にじのもり) 招待状』とだけ書いてあった。


「先生、何ですか?これは」

 太郎は、カードの裏表を確かめながら質問した。


「夜、ここから光が出てな、あそこへ招待されたんだ……」

 北野先生は、たぶんわかると思って、大切なところは、省略して言った。


「あそこって?」

 太郎は、それでも聞いてみた。


「図書館の、あの部屋さ」

 それ以上は、言わなかった。


「……いつですか?」

 志津奈は、すぐに次のことを確かめた。


「今度の土曜日、時間は○○」


「同じです。私達もそうなんです」

 志津奈は、答え合わせを済ませたような表情をした。


「やっぱり、そうか。…去年の夏だったよな。お前たちと……」

 北野先生も、やっぱり去年の事を思い出していた。


「私は、今でも信じられないんです。

 それでも、私はあの時から、人の気持ちをよく考えるようになったと思うんです。

 あの人に会ってから………………。

 …………太郎君なんか、私が探偵になったって言うんですけど………、ちょっとその人になってみるだけなんですよ…………」



「そうだなあ……夢なのか、現実なのかはわからないけど……あれは、あれで大切なものだったと、僕も思うよ

 ………………で、お前たちは、どうするんだい?」


「もちろん、行くに決まっていますよ。先生だって、行くでしょ?」


「ああ、もちろんさ!」



 職員室ではあったが、北野先生と子ども達は、あの貴重な時間旅行を一緒にした「仲間」として、また、冒険を約束したのだった。

 でも、今回は「招待」されている。


 目的は、何なのか?


 悟は、どんな関係があるのか?


「ぼくには、さっぱりわからない。不安の方が大きくて、押しつぶされそうだよ」

「大丈夫よ、太郎君。きっと、美代乃さんが守ってくれるわ……」


 しっかり前を向き、胸を張っている志津奈を、さらに頼もしく感じた太郎だった。


〔つづく〕


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― 新着の感想 ―
招待されたんですね。 また100年前なのか、それとも別の時代の虹が丘なのか。 行ってみないことには分からないですけど、楽しみですし、新たな出会いがありそうでワクワクします!
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