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みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~  作者: 根 九里尾
第3章 あの時の想いに再会(現在の虹ヶ丘)【現在からの意思】
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27 どこまでも吹き抜けて 3(同級生の秘密)

  太郎にとって、昨日は慌ただしい一日だった。メガネ屋の千尋(ちひろ)が、尋ねてきた理由は『不思議なものを見た』だった。

 それを聞いた志津奈は、いつものように真剣に話を聞いて、解決に向け動き出した。


 ところが、いつもだったら真っ先にノリノリで突っ走る三成実は、とても大人しかった。太郎にとって、それだけが違和感だった。


 それでも、志津奈との探偵ごっこは、張り切る太郎だった。

「しーちゃん、まずどうするの?」

 上杉電器のレジ横は、作戦本部になった。


「うーん。千尋さんのメガネ屋へ行ってみましょう」

「えーっと、みよおばあちゃんと私は、本部待機でいいかな?」

 三成実が少し申し訳なさそうに言った。


「店番もあるし、それに……あんまり大勢で行っても……。

 そのかわり、これ作ったから持って行って」


 三成実が、超小型の服に着けるバッジを渡してくれた。

「このボタンでトランシーバーになるし、こっちを押すと記録用のムービーが撮れるんだ。ただし、十秒だけね」


「得意の発明だね」

「ありがとう。大丈夫よ、私と太郎君で行ってくるわ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 メガネ屋の向かいは、公園になっている。結構広い公園だ。

「あれが虹の像だね。本当に大きいな。店の入り口から見て正面に見えるぞ」

 太郎は、初めてみる虹の像を少し詳しく調べてみた。


 それから、2人はメガネ屋を訪問した。


「…ごめんください」


「あら、いらっしゃい。さっそく来てくれたのね。えっと、シズちゃんと太郎君だっけ?」

 千尋が、迎えた。


「はい。なんか、公園も懐かしくて、遊びたいなって思って…」


「ああ、いいわね、その前にうちでおやつでも食べてってよね。…悟、そこのおやつ持ってきて!」


「……おや、かわいいお客さんかい?」

 奥から、若い男の人が出て来た。


「そうよ、昨日、上杉電器で会ったの。……うちの息子の(さとる)よ」

「こんにちは、志津奈です」

「太郎です。そこの公園に遊びに来ました」


「そうなんだ。ところで、上杉電器って三成実ちゃんのところかい?」

「え?お兄さん、ミー姉ちゃんのことを知っているんですか?」


「ミー姉ちゃん?ああ、そう呼ばれているんだ。

三成実ちゃんは、ぼくの同級生なんだよ」

 

「(さすがしーちゃん、ぼくたちがここに来た目的を忘れてはいなかった。何気なく周りの人に話かけ、情報収集をはじめるなんて………)」


「あのう、悟お兄さんは、ミー姉ちゃんとはよく会っているんですか?」


「よくっていうか、去年まで同じ大学へ通っていたんだ。

 彼女の専門は機械工学で、ぼくは映像科学だったから、そんなに一緒になることはなかったけど、同じ町の出身ということで時々会ってはいたよ」


「映像科学って、映画でもつくるんですか?」


「お!太郎君は、映画に興味があるのかな。でもぼくの研究していたのは、映画じゃなくて、立体映像とか、バーチャル映像とか呼ばれるものなんだ」


「私知ってます。映像なのに、実物みたいに見えるものですよね」


「志津奈ちゃんは、物知りだね」


「ほら、あなたたち、お話はそのくらいにして、このおやつ食べなさいね」


「はい、おばさん、ありがとうございます」


「ところで、悟お兄さん…」


「何だい、志津奈ちゃん?」


「千尋おばさんが見たっていう、虹の像に見えた変な色の話は聞きましたか?」


「…ああ、聞いたよ。でもね…。そんなことはきっとないよ。何かの見間違いだよ」


「ふーん、お兄さんはそう思うんだ」


「そうなのよ、しーちゃん。悟ったら、信じてくれないのよねー」

 千尋は、少しふてくされたかっこうを見せて、店の奥へ引っ込んで行った。


「ねえ、おじさんには、話したんですか?」


「父だって、気のせいだって言ってたよ。それに、もうすぐ誕生日だから、お祝いでもしたら機嫌もなおるだろうってね。」


「へー。おばさん、もうすぐ誕生日なんだ」


「さあ、太郎君、おやつもごちそうになったから、今度は公園に遊びに行きましょう」


「う、うん。どうも、ごちそうさまでした」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「へー、虹の像っていうからアメリカの自由の女神みたいなのを想像してたけど、意外と平らだな…」


「そうね。…裏側は、遊具がついているからでこぼこしてるのに、表は大きなスクリーンのような壁に風景と虹が描かれているだけなのね」


「…本部のミーちゃん聞こえますか?」


「わあ、しーちゃん,さっそくバッジで連絡してる!」


『よく聞こえるよ。どうしの?』


「今、公園なの。ここから千尋おばさんのメガネ屋さんがよく見えるわ」


『それで?』


「ミーちゃん、メガネ屋さんのニ階の窓からは、虹の像がよく見えるかしら?」


『うーん、虹の像は正面向きになっていて、よく見えるよ』


「ありがとう。…それから、また後でお願いがあるからよろしくね!」


『……いいよ』


「しーちゃん?…どうして、メガネ屋さんの家のことをミー姉ちゃんに聞いたの?」


「太郎君、この虹の前で撮影しようか」


「え?」


 志津奈は、突然太郎に撮影をお願いした。三成実が作ったバッジ型カメラを使って。

 虹の像の前で、千尋に向けたメッセージだった。


 その後、志津奈は、太郎自信にもメッセージを録画させた。


「じゃ、太郎君、帰ろうか」

「え?事件は?」

「解決したよ」


「…………」


 太郎には、さっぱり意味がわからなかった。


〔つづく〕


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― 新着の感想 ―
あれ? 解決しちゃいました? 私には分からなかったので、次話での答え合わせを楽しみにしておきます〜!
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