1 小田修二
ちょっと明るめで短いのをひとつ。
「きゃははははっ!!!それは美香が悪いっしょー!」
「えぇ?!あたし悪くなくなぁい?!」
「ぎゃはははっ!!いや、それは美香がワリィよ!!」
「それマジかよぉ!!ウケるんだけど!!」
窓際の後ろの席で騒いでいる4人の中心にいるのは、俺の幼馴染の中里美香。
「何だろね、あのノリ。楽しいのかね?」
「さぁ、…楽しいんじゃないか?」
友人とぼそぼそ話しているのは、俺、小田修二、高校2年生。
別に陰キャってわけじゃないが、美香達のあのノリにはついて行けそうにない。
美香と俺は小学校3年生の時に美香が近所に越してきたときからの付き合いだ。
付き合いだって言っても、中学辺りから殆ど関わりは無くなっている。
小学校の頃は確かにほぼ毎日一緒に遊んでいたが、中学に入ったあたりから美香が派手になり、一緒にいることが無くなった。
小学校の頃から俺は美香の事が好きだった……というわけではなく。
疎遠になった今でも一緒に居たい……というわけでもない。
それに俺は口数が少なく、根暗なので(周りはクールだと言ってくれるが)美香とは話が合わない。
まぁ、今の美香との関係は学校で話すことなどなく、近所で会えば少し話す程度の仲だ。
「小田君、おはよう。何の話をしてるの?」
「あっ、…高山さん、おはよう。いや、あそこ賑やかだねって。」
「…あぁ、何か楽しそうだね?」
「そ、そうだね。」
挨拶がてら話しかけてきたのは、高山華。
勉強はあまり得意ではないみたいだが、スポーツが得意で可愛いのでクラスのマドンナ的存在である。
名前の、高い山の華から「高嶺の花」なんて呼ばれたりしている。
すごく可愛くてちょっと大人しめの性格で俺の好みのドストライクな女の子。
ぶっちゃけ俺は高山さんが好きだ。
しかしライバルが多すぎる。
いつもなぜか朝の挨拶を俺のところにしに来るのだが、他には接点がない。
なかなかお近づきになるチャンスがなく、告白なんて夢のまた夢な状態であることが、俺の悩みだ。
そんな悩みを抱えていたある日、当番だったのでゴミを出しに学校の裏手に来ていた。
たまにこの辺で美香達が駄弁っているというのを聞いたことがあるな。
「っっっっザケんな!!!!!テメェ本気でブッ〇すぞ!!!」
あの高嶺の花の高山さんが美香達にブチ切れていた。