飛鳥の秘密
なんでもやってしまうロボット世界に飽き飽きしていた僕、五月雨 如月はある登校拒否少女、公家 飛鳥に出会った。その少女にはとんでもない秘密があったのだ!
「公家 飛鳥さん?」
「・・・そうだけど、なんで知ってるの?」
いや、君も僕のこと知っていただろう!その方が不思議だ。飛鳥みたいな登校拒否ならまだしも、僕はあくまで、一般の庶民だ。その僕を、17年間会ったことも、顔を見たこともないであろう僕のことをなぜ知っている?だが僕は質問を質問で切り返すのは邪道だと思っているので、とりあえず答えとこう。
「僕は記憶力はいいんだ。それでもって今まで見たことのない奴といったら、登校拒否している奴くらいだろう。」
「でも登校拒否してるの私だけじゃないよ。他にも、1組の山村 草太君もそうだし、6組の葛西 好子さんだって!」
「・・・はああああ。」
「なによ!そのため息!頭にくるなあ!」
「お前はアホか!」
「だから、何でよ!」
「村山は男だし、葛西は自主退学してるだろうが!しかも、僕はほとんどの生徒に会っているし、一回会えば顔くらい覚えられる。そのほとんどに二人とも入っているんだよ!お前くらいだ、入っていないのなんて。」
パチパチパチ!
しけた拍手音が階段に響く。もう皆はとっくに授業中だろう。チャイムはこいつに気を取られているうちに鳴ったのだろう。
そんな僕とは裏腹に飛鳥は興奮している。
「すごい!名推理!これからは探偵如月君って呼ぶね!」
「なんで探偵なんだよ!そこは名探偵にしとけ!じゃない!本当に五月蠅い!頼むからやめてくれ。そして、僕を授業に行かせてくれ・・・。」
正直授業自体にはあんまり出たくはないのだが、こいつといると異様に疲れる。ならまだ授業の方がましだというものだろう。しかし、こいつをここに置いて行ったらいったで、余計めんどくさいことになりそうだしなあ。
そうだ、こいつが邪魔なら家に帰してしまえばいいんだ!その方が、こいつといて丸1日つぶれるよりは、幾分かましというものだろう。
「よし、お前家どこだ?僕が送って行ってやろう!」
すると飛鳥の顔が急に曇った。
家族関係があんまりよろしくない家庭なのか?
「なんだよ。じゃあ、せっかく学校に来たなら授業に出ればいいだろう。」
今度は泣き出してしまった。
おいおい、勘弁してくれよ。まるで僕が泣かしたみたいじゃないか。いや、そうなんだけど・・・。
「どうしたんだ?お前学校で何があったんだよ?」
・・・。
嫌な沈黙だ。
「別に無理に話さなくてもいいけどさ。意外と楽になるもんだぜ?」
・・・。
すっかり黙りこくってしまった。
僕ちょっといいこと言わなかった?キザすぎたかな?
すると、飛鳥の口が少し動いた。
「・・・になちゃったの。」
・・・?
「なにになったって?」
「空気。多分見えるの如月君だけだと思うよ?」
「・・・?あれか?空気みたいに、いないように扱われたということか?そういうイジメよくあるもんな。」
このとき僕はかなり勘違いしていた。ただのイジメだと思っていたのだ。
「違うの!本当に見えないのよ!最初は、高校入学当時はちゃんと学校にも来てたし、私の姿も皆に見えていた。そこに居るって認識してもらえていたのよ!なのに、夏休みを過ぎたら、皆に私を認識してもらえなくなった。友達や先生、家族にまで!それでも、みんなと一緒にいたくて、しばらく登校したけど、耐えられなくなった。そこに私はいるのに、いなかった。でも、家族にも見えていないから、捜索願いまで出されて、結局は行方不明の可哀そうな女の子どまり。仏壇まで作られたわ!」
・・・。言葉が出ない。ただただ信じられなかった。それに、それほどの事件になっているなら、学校は何をしていたんだ?
「でもお前物体はあるんだろ?さっき壁にぶつかっていたし。それなら、望み零というわけじゃないんじゃないのか?」
しかし僕の言葉はすぐに否定された。
「私もそう思ったわ。だから、家族に手紙を書いたの。{私はまだ生きてここに居ます。ただ姿が見えないだけなんです}って!それなのにあの馬鹿家族はろくに力もない霊能力者を幾人も呼んだわ。でも、そこまでしても私は見えなかった。当然よね。どんなに力のある霊能力者を雇ったところで、私は見えない!だって私は生きているもの。でも私も正直期待していたの。少しは感づいてくれる人もいるかと思った。でも全然全くダメダメだった。それでもあきらめたくなくて、物を投げたり、椅子をひっくり返したりした。だけど家族は気味悪がっているだけ。ある霊能力者なんか、ポルターガイストが住み着いているって言ったのよ。呆れを通り越して面白かった。如月君にもあの場所にいてほしかったくらいよ。」
そこまで一気に喋りきると、一旦言葉を切った。
「じゃあ僕がお前の姿を視覚にとらえられる唯一の人物といったところか。今のところは・・・。」
すると飛鳥はこくりと頷いた。
「だから、嬉しかった。如月君と会えて。本当に嬉しかったの!」
そして彼女は笑った。本当に嬉しそうに。
ああ・・・面倒だ。本当に・・・。だが聞いてしまった以上話に乗らなければならない。僕は途中放棄する性分でもないのだ。このつまらない世界に変化を起こしてくれるというのならば、多少の面倒はしょうがないだろう。
さてさてさて!ここまでついてきてくださった読者の皆様!ありがとうございます!感謝感謝感謝×1000000くらいです!