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短編集/feat.AI  作者: トミタミト/feat.AI
12/26

神神神神神神神

ふと目を覚ますと、何もない空間にいた。

目の前には女性の姿が見える。


「おめでとうございます! 貴方はたった今からこの世界の”神”となりました!」


なるほど、分かった。

俺は現実で死んで、この世界に新しい生を宿したんだ。

今の状況を高速で理解した俺は、恐らく女神らしき人物に話しかける。


「任せてください!」


「では、ここに”世界の素”がありますので、ここにアクセスして、好きな世界を作ってください!」

女神らしき人物がそう言うと、俺の目の前に真っ青な球体が置かれ、女神は消えていった。


……さて、どうしたものか。

当然ながら全く要領は分からない。

だが、思いつくままに色々やってみることにした。


※※※※※※※※


一日目。


この青い球体は恐らく”惑星”だろう。

俺は目をこらしてじっとそれを覗いてみる。


……!


なんと、綺麗な海が見える。

そして神になった事で、微生物単位で生き物が見えるようになったみたいだ。

現在は何もいないようなので、まずは生命体がいる星を作る事にした。


俺はその惑星に指でタッチし、プランクトンを転送する。

……やがて、微生物がその惑星に充満した頃。

生命が誕生したようだ。

まだまだ知的生命体には程遠いようだが、この脆弱な生物こそ、我が星の”最初の民”となるだろう。

俺はとりあえず、その星を自分が元々いた惑星と同じ「地球」と名付けた。


……最初はめんどくさそうだと思ったけど、何だか楽しくなってきたぞ。

俺は夏の自由研究感覚で、思うがままにその生物を育ててみることにした。


※※※※※※※


二日目。


……ん? 俺が神になってから、眠くならないぞ?

やはりこの体は、神になった事で不老不死となったようだ。

そして、この惑星の生物はどんどん進化していく。

微生物が魚類となり、やがて陸に上がり、爬虫類に進化した。

だが、知的生命体はまだ生まれてこない。

もう少し進化させないとダメなのか?

俺は適当に植物をその星に生やしてみた。

……よし、進化の先で哺乳類も誕生したぞ。

哺乳類は世代交代を繰り返し、どんどん繁栄していく。


そして数万年後……(自分の感覚では数時間程度だが)

遂に人類の祖先らしき生物が誕生した。

よし! このまま知的生命体に進化していけば、この惑星の文明は発展していくことだろう。


……う~む。


しかし、これでは元いた地球と同じだな。

せっかく神になったのに、少々独創性に欠けるか?


俺の中の好奇心が悪い方向に向かっているのが分かる。

しかし、藪を突いて蛇を出してしまうのが人間の性、俺は俺独自のオリジナリティを求めることにした。

そして、俺は最初の人類となるであろう生物の一匹に向かって遺伝子情報を書き換える落雷を放った。


※※※※※※※


三日目。


今日も昨日と変わらず地球を眺める。

昨日の間だけで、生物を数千匹増やしてやったんだ。

きっと自分が見ていない間にも、生物たちが生存競争を行い、進化と絶滅を繰り返している事だろう。


……さて、昨日の推定人類となる生物はその後どうなったかな?


「ウッホッホ! ホッホーイ!」


……う~ん、まだ知性は低いようだ。


まてよ……?なんか昨日と見た目が違うような……?

俺は目をこらしてよく観察してみた。

……すると、昨日の人類とは違う見た目の人類が誕生していた。

まるで、猿と人が融合したような風貌だ。

遺伝子情報を無理やり上書きしたから、あんな感じになったのか?


……これは面白いな! 俺はさらに、この星に住む他の猿の遺伝子も上書きしまくった。

すると、彼らが時代をかけて交配するにつれ、さらに推定人類は進化していく。

そして、ついには推定人類は二足歩行をするようになり、言葉を話すようになった。


見た目は最終的にファンタジーに出てくる"ゴブリン”のような見た目になっていた。


「バーカ! マヌケー!」


……確かに知性はあるが、品性を感じないぞ。

せめて美人なエルフ似であってほしかった。


しかし、せっかく誕生した私の子供たちだ。

決して愛着がわかないわけでもない。

出来が悪い子ほど構いたくなるって言うしね。


俺はこのタイミングで彼らに会いに行ってみることにした。


※※※※※※※


四日目。


俺は光と共に空から降臨する。

ゴブリンたちは最初は戸惑っていたものの、ひときわ大きな個体がやってきて、話しかけてきた。


「おい! そこのお前! この星で一番偉いのは誰だ!」


俺は少し考えてから答える。


「俺です」


「何!? お前が一番偉い!? そんな訳はない!俺が一番偉い!!」

ゴブリンが俺に殴りかかってきた。

俺はその拳を受け止め、軽く投げ飛ばす。

「グワァーッ!」

「まだ分からないのか? 俺が一番偉いんだ、オッケー?」

俺はそう言って、ゴブリンたちを見下す。

すると、他のゴブリンたちは俺にひれ伏しだした。


「ははぁ~っ!」


……ちょっとやりすぎたかな?

もう少し威厳のある感じを演出したほうがよかったかもしれないな。

俺は少し反省した。

そして、お詫びとしてこの星のゴブリンたちに、知識を授けることにした。


石や木材による道具の作成や建築、火の使い方、そして文字と計算の方法だ。

これで、このゴブリンたちはより発展していく事だろう。

俺は彼らの成長を見守りながら、再び天に帰っていった。


※※※※※※※※※


五日目。


今日も地球を眺めることにした。


……こりゃすごい。

昨日まで洞窟暮らしだったゴブリンたちが木組みの家を建て、村を作り、教えていないはずの農作物や狩猟用の罠まで作っているではないか。

現代と比べるとまだまだ発展途上だけれども、既に人類としての文明の形が出来上がっていた。

うむ、神としていい仕事が果たせてなによりだ。


ん? 村の真ん中に俺そっくりの石像があるぞ?


「カミサマ! カミサマ! 俺たちより偉いからお供えする!」

ふむ、俺そっくりの石像を作ったんだな。可愛い奴らめ。

沢山の野菜や果物、動物の肉が石像の前に並べられ、ゴブリンたちが踊り始める。

俺はそんな光景をニコニコしながら眺めていた。

そして、ゴブリンたちが石像に向かって拝みはじめ、


「カミサマ! もっとお供えするから豊作にする!」


一斉にこうべを垂れた。


……全く仕方のない奴らだ。

機嫌が良くなった俺は、ゴブリンの村周辺に恵みの雨を降らせる。


そして、その年の農作物の収穫は大豊作となり、ゴブリンはより一層”カミサマ”への信仰を高めるのであった。


※※※※※※※※※


六日目。


今日も俺は、地球を眺めている。

「カミサマ! カミサマ! もっとお供えするから、冬でも食料が食べれるようにしてほしい!」

……ふむ。

どうやらゴブリンたちは食べ物の心配をしているらしいな。

俺はその願いを聞き届けてやった。


「よし分かった! じゃあ冬でも成長し、食べることの出来る生物を増やすことにしよう」

「ありがとうございます!」

ゴブリンたちが一斉にひれ伏した。


……信仰されて悪い気はしない。


……しかし。


俺はひとつの疑問を抱いていた。

既に自分がいた頃の地球の暦なら”近世”に入っていてもおかしくない年月なのだ。

そろそろ電気機械による産業革命が起こり、自分が良く知る現代に近づいてもいいはずなのに。


「カミサマ! サイコー!」


……未だに彼らは精々粗悪な鉄器を扱う止まりで、未だそれを成し遂げていない。

あまりにも文明の進化が遅いのだ。


……原因は分かっている。

我が子愛おしさのあまり、”甘やかしすぎた”のだ。

求められれば求めるだけ神の慈悲を渡してしまったことで、彼らは自分たちで成長することを止めてしまっていた。


俺は反省し、再び地上に向かう事にした。


※※※※※※※


七日目。


俺はゴブリンたちの村の入り口に降り立った。

「お前たち! 俺が与えてばかりでは、立派な人間にはなれないぞ!」

「……そうなのか?」

「カミサマがそう言うなら……」

ゴブリンたちが不安そうな目で俺を見る。

そんな目でも、俺が頼られるのには悪い気分ではなかったが……いつまでもこのままではいけないのだ。


「よし! では、お前たちに試練を与えよう!」


「試練……ですか?」


ゴブリンたちは、まだ試練という言葉の意味をあまり理解していないらしい。

俺が説明してやることにした。


「今までよりもっと多く自力で食料を得る方法を見つけるのだ!

今の農作や狩猟よりもっと効率的な方法で、だ!」


まるで最初出会った頃の時と同じように戸惑うゴブリンたち。

すると、ゴブリンたちの中から一人が前に出てきた。

……どうやら彼だけは俺の言葉の意図を理解しているらしい。


「カミサマ! そんな事急に言われてもすぐには思いつきません! 

お慈悲を頂けるならば、どうかヒントを与えてください!」


「そうか。ならば、ヒントを与えよう」


俺はそう言って、ゴブリンたちに新たに知恵を与えることにした。

鉄を掘り出し、その精錬の仕方から、電気機械の作成方法、そして工業におけるあらゆる知識。

今のゴブリンたちからすれば雲を掴むような話だっただろう。

多くは何も分かっていないようだったが、一部のゴブリンはその話に目を輝かせていた。

……きっと彼らならうまくやっていける。

そう確信した俺は早速ゴブリンたちに鉄の精錬を始めさせる。


ゴブリンたちからすれば何世代も経ったある日の事。

ついにゴブリンたちは鉄の精錬が出来るようになった。

すっかり立派に成長したゴブリンたちが俺の元に集まってくる。

「カミサマ! お慈悲をありがとうございました!」

「うむ、よく頑張ったな!」

俺は成長の証としてさらに彼らに文明の知識を与えてやった。

彼らは感謝しながらそれを受け取ると、早速村人を集め、村の大改造と他の大陸への進出を計画始める。


「ありがとう! カミサマ!」


「うむ。その物事を達成することに対するそのひたむきな態度、世代が変わっても忘れるでないぞ」


俺は満足して、天へと帰っていった。

ゴブリンたちはお手製の鉄装備を着込んで、これからの益々の発展を喜んでいた。


「……カミサマ」


周囲が騒めく中、1人のゴブリンが鉄の剣を掲げながら、ぽつりとつぶやく。


「……もう……いらないかも?」


※※※※※※※


8日目。


自分の教えた通りにゴブリンたちの史実は進み、科学技術が発展、すっかりゴブリンたちは現代人と変わらない生活となっていた。

科学が発展したことにより、古い神に対する信仰はすっかり失われてしまったようで、豪勢な街並みの端にカミサマの石像は追いやられ、

長い間整備はおろか、御供え物すらされていない。

少し寂しい気もするが、一種の子離れということでそこはまあ、許そう。


「シネーーー!」

「グワーーー!」


それよりも最近、ゴブリン同士で科学戦争を繰り返しているせいで、大気汚染と世界情勢が芳しくないのだ。

技術がいくら発展しようとも、品性は野生に生きていたころにすっかり逆戻りしている。

いや、もっと悪辣になっているかもしれない。

……ともかく、このままではゴブリンたちがこの惑星を滅茶苦茶にしてしまうだろう。


ここはいっちょ向かって一言物申してやりますか。


久々に(俺の感覚だと数日だが)俺は、光と共に街へと降り立つ。


目の前に光と共に現れた人物に向かって、ゴブリンたちは一斉に写真や動画を撮る。

自分たちとはほとんど違う姿の神が現れたのに、まるで恐れてはいない。

そして、俺は彼らに説いて聞かせる事にした。


「お前たち、一体何をやってるのだ? 私は神様だぞ?」


回りの嘲笑する声が辺りに響いている。


「今時、神様って」「ヤバい人?」

「なんかの撮影? あれ特殊メイクだよね?」


さすがにカチンと来た俺は神パワーを見せてやることにした。


「はあっ!」


気合と共に俺は神パワーを周囲に放出した。

周りに沢山のお菓子が振ってくる。

「おー! ブラボー!」

周囲から歓声が上がった。

……神だからという理由ではなく単純に凄腕の手品師として扱われている気がする。

これくらいじゃ神様だと信用しないくらい、彼らの心は乾いてしまったのか。

俺は心に受けた傷を隠しながら、他に何か案は無いかと考える。


ドンッ!


……?

しばらくその場で考えていると、後ろのビルが突然爆発した。


『●●国による攻撃です! 皆さん、落ち着いて避難してください!

これは●●国による攻撃です! 皆さん、落ち着いて……』


緊急を告げるアラートが鳴り響き、周囲の人々は叫び声を上げながら逃げていく。

俺はゆっくりと振り返り、状況を確認する。

上空からはすでに大型ミサイルが複数飛んできていた。

このままではこの街は焦土と化すだろう。


俺は重力を無視して、ミサイルの元へ飛んでいく。

……彼等は本当に運が良い。

私という神に今の今まで見守られてきたのだからな。


「これが神の力だーーーー!!!」


俺は両手から神パワーレーザー波(名前は今即興で考えた)を放ち、全てのミサイルを消滅させた。


「……!?」


周囲の人々は一瞬の出来事で何が起きたか理解できていないようだったが、


「そう、私こそ、この世界の”神”だ」


俺が地上に降り立った瞬間、全てを理解したようで、


「カーミサマ! カーミサマ!」


「カーミサマ! カーミサマ!」


一斉に神様へのコールが始まった。

……なるほど。

完全に忘れられていた訳ではなかったんだな。

俺は少し嬉しくなって、顔をほころばせる。


少しして戦車とそれに乗る軍隊がやってきた。

そして一番階級が高そうな人物に敬礼され、話しかけられる。


「この国の首相が貴方に会いたいそうです! ぜひ我が国の首相官邸へ来てください!」


……どうやら、神様としての仕事はまだまだ続くらしい。

俺は情勢を調べるため、しばらくこの惑星に滞在することにした。


※※※※※※※


?日目。


「ぜひ我が国の国賓として、在籍してください!」


「かの国ばかりひいきしないで、うちにも慈悲を!」


「私の国も!」「私のところも!」


「私も!」「私達も!」


「慈悲をくれますよね? カミサマ!」


……何だ、こいつら。


「クダサイ!」「チョウダイ!」

「クレ!」「ヨコセ!」


結局今までと”何も”変わってねえじゃん。


「何故うちには何もしてくれないのですか!

ま、まさかあの国とつながっているとか!?」


「何も出来ないとな!? 神を名乗る不届き者め!」


「嘘つき!」 「何もしないなら去れ!」


彼等が俺に対し求めるほど、心が冷たくなっていくのを感じた。

俺が半端に知識を与えたばっかりに、誰よりも欲深い生物が誕生してしまったんだ。


「……所詮ゴブリンか」


俺は神様を争奪せんとするゴブリンたちの狂乱の中、天へと帰っていった。


※※※※※※※


もうこんな惑星の様子なんて見たくない。


「死ね! クソ人類!!!!」


俺は惑星に向かって思いっきり拳を振りかぶり殴った。


世界は滅びた。


神も死んだ。

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