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神殺しの復讐記  作者: 遊楽
序章 終わりから始まりへ
4/9

目的、そして【???】

4話目


ブックマーク1件あって震えました。

ご期待に添えるように頑張らせていただきます。

>原初の森と竜蹄の境界<



 しばらく歩いていると森が急に開けた。

 目の前に広がっていたのは黒い大地のクレーター

 ガルヴから見せてもらった映像を見たが何も変わっていない。


『何も変わっておらぬな。5年も経てば森が浸食を始めると思っていたが…』

「5年も経っていたのか」

『そうだ。正確な年月ではないがな』


 見渡す限りの殺風景な大地は俺が作り出したのだ。

 地平線の果てにも村が見えていない。

 つまりは魔力爆発に巻き込まれたということだ。




「少なからず罪悪感はあるな」


 老若男女問わず、そこにあった命全てを飲み込んだのだ。

 罪悪感が全くないと言ったら嘘になる。


「だが、今は目的を果たそう」


 目の前の景色を胸に刻み続けながら竜蹄の中心地へと進んでいった。



====================================


>竜蹄<


 走る

 走る

 走る


 何時間走っているだろうか。

 かなりの速度で走っているため息も上がってきている。

 そうしていると遠くに青白い点が見えた。

 クレーターの中心地にそれはあるように見えた。

 つまりその青白い点が祖父が結晶化したユイの遺体なのだろう


「まだまだ遠いな…」

『目的地は見えたのだ。そこまで急ぐ必要はなかろう』

「…それでも」


 それでも早くユイの顔が見たかった。

 話はできなくてもいつものように話を持っていきたかった。


 距離が縮まり結晶だとわかる距離まできた。

 更に速度をあげ、一気に跳躍する。

 通常の人間なら足が砕ける高さまで飛び上がり、結晶の近くで着地する。


「助かった。ガルヴ」

『魔力は膨大なのだから使い方を覚えよ。足に魔力の層を作らねば骨折していたぞ』


 全く持ってその通りだ。

 力があっても、使う技術がなければ意味はない。

 その辺りはこれから向上させていこう。


 そして目の前の結晶を見つめる。


(…あぁ…)



――結晶の中に祈るように両手を握りしめているユイ



 結晶化しているため腐敗している様子はない。

 あの日見た彼女(ユイ)のままだった。


「…5年も経った。それでもまた会いにこれたよ、ユイ…」


 彼女(ユイ)を救えなかった弱者の罪

 亡くなるまで一緒にいることすらできなかった罪


 過去の幸せな時間を思い出し、感情を抑えきれなかったのか涙が零れだす。

 失われたものは戻らない。

 失われた命は戻らない。



――それが世界の理だ



 憎い

 幸せを奪いのうのうと回っている世界が


『魔力が漏れておるわ未熟者が。澄んだクリスタルが淀むぞ』

「…すまない」

『よい…それよりもなんだこのおかしな遺体は…』


 魔力を抑え込んでいるとガルヴが気になることを呟いた。


「おかしくはないだろう。遺体となっても美しいままだ」

『そういうことではないわ。()()()()()()()()()()()()()()()


 そういわれてユイを見てみるがおかしい箇所は見当たらない。

 どこにも傷はなく、苦しんだ様子もない。


『アルマの中から観察していたが、彼女は病気だったはずだ。』

「それ以外に死因があるか?外傷もないのだから殺害はないだろう」

『あの日のアルマの感情の波で我は動揺していた。だから遺体を観る余裕はなかったが、これは【死】そのものを与えられたように見える』

「誰かが殺したっていいたいのか…?」


――だとしたら、必ず殺す


『それと気になったことがある。見てきた限りでは彼女は神を信仰していなかった。神の力を身に宿している気配もなかったはずだ。だがどうだ。遺体にかすかに神の力を感じる。そもそも【死】そのものを与えるなど人間にはできまい。我が推察するに、神が殺したと考えられるな』


 神が殺した。

 想像していなかった推論をガルヴが言った。

 だとしたらこの憎悪は誰に向けるべきなのか。



――心優しい少女を見殺しにしたのではなく、殺した…?



 憤怒の感情が心に吹き荒れる。

 また魔力が漏れ出してユイの墓が穢れさせないために魔力は抑え込む。

 だが、この怒りは抑え込めなかった。


「必ずその神を殺す。必ずな」

『クク、まぁ我も神を信仰する者に1度殺された。この償いは神にしてもらおうか』


 今後の方針、決意を固く決め再びユイを見る。



――必ず復讐を遂げてまたここに来るよ。



――その時はまた、あの頃のように楽しい冒険の話をしよう。



 クリスタルの前に跪き、約束をする



――――それは祈りに似ていた――――






==================================


>?????<


「キャハハッ!!面白い!!面白いねェ!!」


 広い部屋に桃色のツインテールをした少女の声が木霊する。

 水晶に映し出されているのは()()()()

 黒い球体から一人の青年が出てくるところだった。

 話し合いが始まる前に強大な魔力を感知し、その場所の映像を映し出したのだ。


「あの結界って私たちにも壊せるだろうけど、人間がまさか破るなんてね!!驚き!!驚きだよねェ!!」

「アスタロト、笑い事じゃないかもしれないですよ。結界を破るような人間は計算外です。干渉されて我々の計画が乱される可能性がある」

「でもさァ、その程度なら私でも殺せるし問題なくない?アヌビスは慎重すぎるよ!!」


 《次元隔離封印》

 ここにいる()()にとっては破ることなど造作もない。

 だが、それをたかが人間が破ったという事実はここにいるメンバーを驚かせていた。


「警戒するに越したことではないであろう」

「ラーヴァナもそっち派なの?そんなに警戒するなら私が殺してくるよ!!」


 アスタロトならばあの人間を簡単に殺せる、そう確信していた。

 神々の中でもアスタロトは中の上ぐらいには実力がある。

 だが、ここにいる6()()()()()()1()()()()


「やめとけやめとけ、()の《・》の不興を買うぞ。そもそも我々神が直接手を下してはいけないルールだろうが。」

「えー!!でもタナトスは一度人間殺してるじゃん!!ずるいよ!!」

「俺は命令で殺したからな。あの人間の少女は()()()()()()()()()()()()


 タナトスは今でも思い出す。

 あの白い髪、全てを見通すような紅い目、自分を見ても優しさを含んだ笑みを浮かべた少女。


「じゃあ私もあの方に進言しよーっと!!」


 その声を最後にアスタロトは姿を消した。

 恐らく転移したのだろう。


「本当に身勝手な方ですね」

「実力は本物だからな、出なければさっさと処分されてんだろ」


 2人は困ったように笑いあった。

 話題を変えるようにアヌビスが問う。


「――タナトス、あなたあの人間を知っていますね?」

「…あ?」

「あの人間が出てきた時、あなたが嬉しそうな顔をしていましたからね」


 …俺の顔を覗き込んでんじゃねぇよ

 そう思いつつも自分がそんな表情をしていたことに苦笑する。


「そうだな、直接の面識はねぇが知ってはいる。」

「だから止めたのですか?」

「ンなわけねぇだろ。ルール上の違反だったから注意しただけだ」


 殺すというのには賛成だ。

 計画が崩れる可能性の芽は摘むべきだとタナトス考えている。



――だが、ルール云々を無視しても()()()()()()()()()()()



 心の中で苦笑しながら、この席を設けた理由を思い出す。


「おっと、今回集まった理由を忘れるとことだったぜ。せっかく6柱…1柱脱走したが、集まったんだ。話し合うとするか。――――――――人間を滅ぼし尽くす計画をな」



 ニヤリと笑みを浮かべ話し合いの開始を宣言する。



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