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神殺しの復讐記  作者: 遊楽
序章 終わりから始まりへ
1/9

過去、そして声

どうも、遊楽です。

初投稿ってわけでもないんですが、専門学校を卒業し社会人になってからというもの小説をめっきり書かなくなっていました。

久しぶりに書いた小説ですが、読者の方々から愛されるような作品になればと思います。

キャラクター等も同時に愛していただければ幸いです。


>《次元隔離封印》結界内<



(憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い)


 閉ざされた次元から隔離された空間の中、その少年の心は憎悪に燃えていた。

 空間は少年の憎悪と呪詛で瘴気に満ちていた。

 少年を動けなくしている黒い布からは魔力を帯びた瘴気が零れだしている。

 黒い布に包まれ、宙に浮いてる様は蓑虫の様だった。


 醜い人間が生きていることを許容する世界

 一人の少女を救おうとしなかった周囲の人間

 病で外を歩くことすらできず、苦しんでいるのに助けなかった神


(――――あぁ…全てが憎い…)



 時は5年前に遡る――――



=============================================


>とある村の病室<


 町の教会にある病室で少女は目を細めながら外を眺めていた。


「…今日も綺麗な世界ね…」


 少女―ユイ=アルノゥトは小さく、そして満足そうに呟いた。

 髪は白く、眼の色は宝石のルビーのように優美な赤色。

 外から入ってくる風がサラサラと長い髪を揺らしていた。


「そうでもないよ。そう思えるのはそこから見える景色だけだよ。王国と帝国は戦争をしてるんだからな。」


 その呟きに答えるように俺―アルマ=ノブルは不満そうに言った。

 不満そうなのはそんなに綺麗な世界なのに彼女を見舞いに来る人間がほとんどいないことに対してだが。

 戦争の部分には触れず、ユイは微笑えみながら答える。


「それでも眩しいぐらい綺麗だよ。それにしても今日もきてくれたんだね」

「当たり前だろ。この間行ったイカルガ山脈での話を聞かせにきたんだ。」


 イガルガ山脈とは王国最南部にある山脈のことである。

 病気により外を歩けないアルマへ外の話を持ってくるのは、ほぼ毎日のことだった。

 外の話はここに来るための口実なんだけどな…というのは胸の内に秘めておく。


「父さんと山に入って山菜を採ってたんだけど、ソード・グリズリーがでてきてな」

「どんな魔物なの?」


 ソード・グリズリーは背中と爪に剣のような突起がついていることからその名がつけられている。

 Dランク冒険者ならパーティを組んでいれば問題なく倒せるような魔物だが、凶暴さや群れをなすことから村人から恐れられている。


「そんな魔物と遭遇してどうなったの?」

「父さんが倒したんだよ。流石元冒険者だよなぁ!」


 誇らしそうに父さんに戦いぶりを語る俺をユイは穏やかな笑みでを浮かべながら話に聞き入っていた。

 父さんと母さんは元Bランクの冒険者だった。

 同じパーティで僧侶の母さんと結婚して冒険者をやめ、俺という子供を授かった。

 父さんは狩人に、母さんは薬師に。

 裕福ではないがそれでも幸せだったことは覚えている。


 そして、この小さい病室でユイと話している時間が一番幸せだった。


「今度は王都に行くんだ。母さんが作ったポーションと父さんが狩った野獣の素材を売りにね」

「またお話が聞けるってことね。楽しみね。」

「それだけじゃなくてお土産になにか買ってくるからさ!」

「それは楽しみが増えるなぁ。」


 クスクスと嬉しそうに笑うユイを見て、どんな贈り物をしようか。

 何を送ったら喜んでくれるだろうか。

 そんな幸せなことを考えながら「また来る」と告げて病室を出た。






―――その時送り出してくれた彼女の笑顔が最後に見た笑顔だった






=========================================



>とある村<




「――――――――――――――――――え?」


 町を出て王都に向かってから1週間と2日。

 帰ってきてシスターから告げられた内容に脳の処理が追い付かなかった。


「…今日の朝に朝食を持ってきたときにはもう…」


 シスターの続いた言葉は聞いていなかった。

 俺の体は一目散にいつもの病室へ駆け出していた。

 彼女に渡すんだと張り切っていた蒼く輝く髪留め。

 白髪のユイなら蒼の髪留めは必ず似合うと確信していた。


(嘘だ…嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だッ!!!!!)


 息を切らしながら病室にたどり着き、その光景が目に入ってきた。





―――いつも微笑んで迎えてくれたはずのユイはいなかった





 ベッドの上で白い布を被せられ、手は祈るように握られている。


 俺の体は引き寄せられるようにベッドへ近づき、ゆっくりと白い布を剥がした。


 苦しむことなく死を迎えたのか穏やかな表情だった。

 俺の後を追いかけてきたシスターが病室の前で膝をつき


(もっと早く帰っていれば…?)


 否、俺でも彼女を救えなかっただろう。

 何も持たない俺では


「おぉ…神よ…優しき少女を安らかに…」


 遠くから聞こえるようなシスターの祈りが脳に浸透していく。



――神…?


――そんなものがいるなら何故見殺しにした?



 右手に握っていた髪飾りが手のひらを傷つけていく。

 長く使えるようにと付与魔法をしているため俺の力ごときでは壊れない。



――何故救わなかった?



 手のひらからポタポタと血が滴り落ちる。



――――――――――何故ユイを殺した



 血がついててもお構いなしと言わんばかりにユイの髪に髪留めをそっと取り付けた。







―――――――――――――――コンナセカイハイラナイ






「ホラ、ニアッテル」






 カラダの中で()()()が弾けた。


 悲哀

 虚無

 絶望

 憤怒


 その感情が一気に爆発し、口から放たれる


 絶叫は町中に響き渡った。


 その響き渡る絶叫は竜の咆哮に似ていた。






 その絶叫の後、世界が白く染まった。







==============================================


>《次元隔離封印》結界内<



(どれぐらいの時間がたったんだろうな)


 憎悪だけを燃やしていた俺はふとそんなことを考えた。

 外の様子がわからないため、日の光すら届いておらずどれだけの時間ここにいるのかも分からなくなっていた。

 何故ここにいるのか、どうしてこうなったのか。

 わからないことだらけなのだ。


(このまま死んでいくのも悪くはない。あの世界では希望もない…むしろ…)


 絶望しかない

 あの絶望はつい昨日のことのように思い出せる。


(思い出したくもない。いや、夢だったのかもな)


 そんな都合のいいことを考え付いて苦笑いを浮かべる。

 そんな都合のいいことだったら…


『貴様はここに封印されていないだろうな』

(は?)


 考えていることが口に出ていたのか。

 いやそれ以上に誰もいない空間で答える存在がいることに驚愕した。



『あの日の悪夢を知りたいと願うか?』



 姿も形も見えない存在はそう俺に問いかけていた。




今後は胸糞展開などもありますので、ご注意願います。


評価に関しましては低評価でも受け入れる所存なので、ご感想をいただければ幸いです。

ブラッシュアップ等も行いますがストーリーに影響が出ないようにいたしますのでご安心ください。

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