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悪夢の実験場  作者: 焼き芋さん
9/24

コンクリートの上には不気味な家ばかりだ

 全校生徒の半分は、蜘蛛の子を散らすように外へ逃げて行く。

 動けなくなって泣き叫ぶ生徒、諦めて動かなくなる生徒もいた‥


(どーせ夢なのだ、ここで何をしても現実世界では影響無いだろう)


 僕はそう考えて、ゆっくりと歩いていた。


「おい翔太!ここにいたら多分死ぬぞ!外に逃げるぞ!」


 学は僕に怒鳴り散らし、手を引いて外へつれていかれた。


(まあ確かに…学の言うとおりか、もし夢なら夢で覚めるきっかけを作らなきゃいけない‥)


 一回目は鬼に食われて‥二回目は骨を握って‥

 じゃあ三回目は‥どうやったら夢から覚めるんだろう…


 体育館から外へ出ていくと、辺りを見渡した。

 二人で外の光景を見ると、そのあまりにも不気味な風景に言葉を失ってしまった。

 まず出口のない家の建物は先ほども言った通りなのだが、何やら外に化け物も存在する。


「影の‥化け物みたいのがいる‥」

「うん‥なんだか強そう‥最近遊んだRPGにあんなのいたような…」


 影の化け物は人型だが、人間より大きい、大きな手、大きな鉄のような爪、あんなのでひっかかれれば一撃で殺されてもおかしくはない。

 目は金色に輝いていて獲物を見る目だった、人間を食べ物としか見ていない様子。

 雰囲気だけなら、あのときの鬼にも似ている。

 そんな事を考えているとまた学に怒られた。


「おい、ふざけてる場合かよ!先生達が頭から食われてるぞ!」

「うーん、でも多分、これも夢なんじゃないかな?」


 先生達は影の化け物に大きな爪で引っ掻かれると一撃で殺された。

 そして人間を丸呑み出来る大きな口で頭からムシャムシャトと食べていた。

 しかし、僕はもう、すべて夢だと思う事にして、半分ぐらい諦めていた。



――――――場面変わって小学校高学年の生徒達――――――


 彼らの周りには無数のドアの無い家があった。

 鉄で作られたような頑丈な家で、窓はあるが高すぎて届かない。

 彼らは先生達が黒い影の化け物に食われているのを見て、

 自分達だけでも家の中に非難させて貰おうと考えていた。


「いくぞ、窓を壊す‥」


 少年らは肩車をして、窓の位置まで届いた。

 そして肩車の一番上の少年が、不気味な家の窓を蹴り破った。


(あれ、割れたぞ?窓は普通なのか)


 正直窓も頑丈だと諦めていたものの、あっさり割れて入れたのが意外だった。

 窓を蹴り破った少年は割れた窓の場所から家の中に入って行く。

 家の中にはリビング、台所、ソファーやテレビまであり、人間が生活できる空間があった。

 少年は家の中で大きな声で叫んだ。


「窓を割った事は謝ります、でも外はいますごく危険な状態なんです!

このままでは僕たち全員、外にいる影の化け物に食べられてしまいます!

お願いです助けてください!」


 少年はソファーでくつろいでテレビを見ていた存在に話しかける。

 しかし、テレビの画面を見ると、砂嵐だけで、番組は何も写っていなかった。

 それによく見るとテレビを見ている存在もおかしい。

 全身透けた黄緑色でまるでベトベトのスライムのようだった。


 そして目玉は2つあって、大きさは成人ぐらいの大きさで二本足、手もあってその物体はこちらに向かって歩いてきた。


「ア‥ク‥シュ」


その物体は何か言葉を話すと、少年のほうに歩いてきて手を握った。


「ぎゃあぁあぁぁああ!!!」


 悲鳴をあげたのは少年のほうだった、何故なら触れられた瞬間、手が溶けて消滅したからだ。

 あまりの激痛に意識を失いそうになりながら少年はその場で動けなくなり転げまわる。


「腕があぁぁあ!腕から先が溶け‥ひいいいぃっ!!」


 黄緑色の人型スライムは、その少年を覆いつくし、完全に消化してしまった。

 少年はスライムに包まれて完全に溶けて無くなった。

 そしてそのスライムは窓から外へでていってしまったのだ。

 その一部始終は翔太と学も見ていた。


「なんだよあれ‥」


 二人はこの世のものとは思えない光景に、足が震えていたが目の前に現れた影の化け物を見て正気に戻った。

それは今まで先生たちを食べていたあの影の化け物だった。


「ひいいぃぃぃい、こっちに来たぁぁぁ!」


 学は女の子のような声で悲鳴をあげる、翔太は驚くことに疲れ、無表情になっていた。

 翔太は影の化け物を見て目を瞑った。


(やばい、引き裂かれる…また食べられてしまう…)


 僕は食われる覚悟をした‥しかし‥


 体に激痛は来ない‥

 見ると目の前にいた影の化け物は、何者かによる斬撃で消滅したのだ。

 僕はこの場にいるはずのない二人に驚く、学は驚いて後ろに転び、ガタガタと震えていた。


「今夜はこんなに集まってくれて、倒しがいがあるなぁ弟よ」

「グオォォォォォオオオオ!!」


 前にどこかで聞いた事のある二人の口調と声‥そこには僕のよく知る二人が立っていた。


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