体育館に集まるが、寒くて怖かった
―――――小学校はパニックだった―――――
学校にいた全校生徒は騒いでいて、泣き出すもの、暴れだす者もいた。
外はこの世のものとは思えない風景、辺り一面コンクリートでその上には鉄で出来たような頑丈そうな家が数え切れないほど並んでいた。
不思議なのは、校舎の窓から見下ろす限り、どの家にも入り口らしきものが見当たらず入る事も出来そうに無い感じだ。
(何かを閉じ込めているのか?)
そう思えるほど頑丈な壁で、そして作りのように見える。
そんな中、先生方は外の状況を確認するため外へ出て行ったのだ。
やがて非常ベルが鳴り出し、全校生徒たちはひとまず体育館へ集められた。
僕達のクラスも体育館に集められて、やがて全校生徒が到着し校長先生がでてくる。
「皆さん、先生方が調べに行ってますから、ここから動かないでください!絶対に外にでたりしないように!」
マイクに向かってしゃべっている校長、しかし翔太は逆にじっとしていたら駄目だと考えていた。
この現象も夢の可能性が高いが、今までどおりの夢と同じようなパターンであれば、おそらく人間の力だけでどうにか出来る相手はいない。
あの1つ目の角の生えた猛獣、人の血を吸う人間以上の大きさの長巨大ナメクジのような生物、そして僕を食べたあの鬼が弟の鬼畜兄弟、最後に見たゾンビのようなもの‥
今この瞬間、どれが来ても手に負えないし、ここにいるメンバーでは抵抗する手段が無いと思った。
僕は恐怖で体がガタガタ震えだす‥
――――――その時だった――――――
「おい、天井に何か張り付いてるぞ」
「え、やだ、コウモリ?」
「いやあれ、人間が逆さに立って‥」
生徒の一部が見る方角、そこには体育館の天井に逆さに立ったピエロだった。
横半分が黒、横半分が白の服を着ていて、顔にはお面を付けて頭には水玉の帽子をかぶっている。
これでは性別はわからない。
だが視線を受けたピエロは…
「おい、あれ見ろよ」
「飛んでるぞ‥いったいどうやって?」
「糸でもあるんじゃないの?」
ピエロは空を飛びながら校長の目の前まで降りて来た。
「やぁやぁ、楽しんでくれてるかな?」
突然、体育館に響き渡る高い声でピエロが喋った。
声の感じからすると、女性だろう。あの時に空から聞こえた声にも似ている。
しかし、翔太から見ればこのピエロは、鬼畜兄弟よりも危険な雰囲気を感じていた。
そんな中、校長がピエロに怒鳴り散らす。
「誰だ君は!不法侵入じゃないか!いつの間に入った!それに、いったいここは何処なのか説明したまえ!」
もはや校長も自分が何をすべきかわからなくて気が立っていたのだろう。
しかし、怒鳴り散らした校長は‥胴体が突然、上半身と下半身が真っ二つになって宙を舞う。
体育館には血だらけの校長の上半身と下半身が転がった。
ピエロは何もしていないように見えたが、校長は体を真っ二つに斬られ死んでしまったのだ。
「きゃああああああっ!!!」
女子生徒達が悲鳴をあげ、泣き出してしまう。男子生徒達もあまりの光景に震えていた。
体育館の中は当然、騒ぎになり悲鳴が上がっている。
するとピエロがマイクを持ち、楽しそうに喋り始めた。
「これから皆さんには、命を賭けたゲームをして貰いまぁす!勝てば生還、負ければ死亡!何が起こるかはお楽しみ!出口を見付け脱出した者だけが勝者なのさ!」
恐ろしくてピエロに口答え出来る者はいなかった‥
「それじゃあ、ゲームスタートぉ♪」
ピエロはそれだけ言い残すと、地面の中へ貫通するように沈んで行った。
いや、もしかすると本当に貫通しているのかも知れない。
(あれはなんだ?魔法?)
僕はそんな事を考えながら見つめていた。
「まあ夢だとするなら何でもありか、ところで学、魔法とか使えたりしないか?」
冗談ぽく学に言ってみたが彼は否定した。
「魔法とか無理に決まってるだろ、こんなふざけた展開、出来れば夢であってほしいけど…転ぶと痛いし、喉も渇くしに匂いだってする、夢じゃないんだよここは!」
どうやら僕は逆に怒られてしまった。
そしてここからが、絶望のはじまりだった――――――