目を覚ますと、そこはいつもの日常だと思ったのに‥
世界はガラスが割れるように崩壊し、辺り一面が真っ暗になった。
(ああ…よかった、これで夢から覚めるのか)
僕はそう思いながら自分の部屋で目を覚ました、
夢だった事に安心するが、やはり体は恐怖で震えていた。
漏らしてはいないが、汗もでている…心臓の鼓動も早く…呼吸が苦しかった…
考えれば考えるほど、あのリアルな夢が現実だったのではないのかと不安になってくる。
(そうだ、今日の日付と曜日を確認しなきゃ)
夢か現実を確認するのに一番良いのは日付の確認、そう思いながらスマホを取り出して時間を見ることにした。
(12月13日木曜日、昨日と同じじゃないか)
「てことはつまりこれも、夢の可能性があるんじゃ‥」
(僕は永遠に覚めない夢でも見ているのかな?)
そんな事を考え不安になりながらもベットから起き上がる、しばらくするといつものように部屋の外から母親の呼ぶ声がした。
「翔太、ご飯出来てるわよー!」
呼ばれて僕はいつものように食卓へ向かう、もはや現実と夢との区別がつかなかった。
今度こそ本当に起きたように思えるが、これも夢なんじゃないだろうか?
朝食の時間、僕は父親と母親に夢の内容を全部語ってみた。今この状況は夢なのかと問いただしてみた。
「なにそれ、マンガの読みすぎじゃない?」
「大丈夫だぞ翔太、ここは現実だ、夢なんかじゃない」
母親は笑っていたが父親は悩み事でもあるんじゃないかと心配していた。
僕は諦めて朝食を平らげて諦めて学校へ向かうことにした。
そして昨日の夢と同じ通学路の小さなトンネルを抜けるが‥
「あれ、無い‥」
ハシゴのあった場所を見るも何も無かった、あるのはコンクリートだけだった。
「おはよ、何やってんだよ翔太」
クラスメイトの和樹だった、彼もまた学と同じ数少ない翔太の親友の一人。
「おはよう和樹、ここって穴とか開いてなかったよな?この下に砂漠の世界とか広がってないよな?」
「ん?当たり前だろ?何を言ってんだ?ゲームのやりすぎか?」
僕と和樹のやり取りを聞いていたのか、後ろから学も現れて翔太に声をかけてきた。
「あはは、砂漠の世界だって?なんだよそれ、でもあったら面白そうだなぁ」
和樹には否定され学ぶには笑われた、もはや話しても無駄だと思い、僕は気にするのをやめて小学校へ向かった。
そしていつもの日常が始まろうとしていた。
――――――しかし――――――
学校について教室に入ったその時だ、クラスの皆がざわざわ騒ぎながら空を見上げている。
「おい、空の上から何か聞こえるぞ」
「あははは、本当に空からか?」
「いや、んなわけねぇって、誰かのイタズラだろ」
クラスでは騒ぎになっていた、クラスメイトの話によると空から声が聞こえると言うのだ。
しかもその声は、次第に大きくなっていき、やがてハッキリと聞こえるようになってくるのだ。
それは女性の透き通ったような声‥それが空から聞こえて来る、上空に何か飛んでいる気配も無いし普通に考えればありえない話だ。
その声はこう言っていた…
「来る‥あの世界がくる‥」
クラスメイトのやんちゃな連中は、誰かのイタズラじゃないかと笑っていた。
「誰も逃げられない‥暗闇に包まれちゃう‥もう逃げられない‥来る‥」
クラスのやんちゃそうな男子が一人、モノマネを始める。
「ぎゃはははっ!!「あの世界がくる!」だってよ!!なぁお前ら、誰がやってるか探しにいくか?」
その時だ、空が真っ暗になり突然外が夜になってしまう。
「え、嘘でしょ?」
クラスの女子達が騒ぎ出し男子は黙り込んだ。学校の校舎の外はまるで夜、それどころか外の風景も変わっていた。
見ると辺り一面コンクリート‥しかもコンクリートの上には、同じ形の不気味な家が小学校の校舎のまわりに並んでいた‥
まるで空間ごと別の世界に飛ばされたような‥そんな気がした‥