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悪夢の実験場  作者: 焼き芋さん
15/24

ゴブリン・ナイトメア

 僕はその頃、玄関を飛び出し家の外に出た。


「こら!翔太!待ちなさい!」


 母親が叫んでいた。


(よし、あのピエロは追ってきていない)


 母親をそのままにして逃げてきたのは悪いと思っているが、僕にとっては今この瞬間が夢か現実かわからず気になっていた。



━━━━その時だ━━━━━


 僕はいつもの通学路を走って学校へ向かっていると、とんでもないものを目撃した。


(通学路に…なんであんなのが)


 ソレはゴブリンだった…

 ゴブリンが意識のない生徒の足を掴んだまま引きずって歩いていたのだ。


「おんやぁ?美味そうな肉が一匹…じゃなくて…君、別の学年の生徒か」

「警察に…」


近くの交番を探すが無かった。


「無駄無駄、シャドウ先生の催眠術でこの街の者はみーんな俺達には干渉して来ないよ」


(な…なんだって?)


 しかし、今まで非現実的な現象を体験してきたからこそ、敵の言葉にすら妙な説得力があった。


「その子を…どうするつもりだ!」


 僕はだいたいの予想はついていたものの、聞いてみる事にした。


「食べる!

学校から逃げた罰だ、彼は先生のおやつさ!そして君も!なかなか美味そうに見える!」


(先生?ゴブリンが?)


 僕は疑問に思ったが、その暇すらなくゴブリンは長い木で出来た棍棒をこちらに向けて来た。


(どうせこれも夢なんだろうな、だったら…)


 覚悟を決めた僕は、ゴブリンにどや顔で次のように言い放った。


「そんな攻撃が僕に効くとでも思っているのか?甘いなぁ、甘すぎてあくびが…フアァーアッ…やば…本当に眠い…」


 僕は出来る限りゴブリンを怒らせるように挑発した、攻撃をさせる為に。


(きっと攻撃を受ければ夢から覚める)


 僕はそう思いながらゴブリンを見つめ、ゴブリンはニヤニヤしながら翔太を見ていた。


「なんだ?急に強気になったな?あーあ、冗談のつもりだったのになぁ…

別のクラスの担任に怒られるから手を出すつもりななかったんだけどなぁ…

君がそこまで言うなら先生…君を叩き潰して食べちゃうしかないなぁ…」


 ゴブリンは戦闘体勢になり棍棒に息を吹きかけた


「雷の棍棒!!」


 奴はそう叫ぶと、棍棒が電撃をまとった。


「ガキを気絶させるにはこれが一番、いくぞ」


 ドゴォッッ!!


 地面に棍棒を叩きつけると電流が翔太の方に走ってきた!


「うわああぁぁっ!!」


 僕は命懸けで避ける。


「駄目だ、こんなの受けたら絶対に死ぬ!!」


 僕は震えていた、そして確信した。

 自分から敵に殺される覚悟は無いのだと。

 するとゴブリンは棍棒を構えてこちらに走って来た。


(このままやられるのは、ちょっと腹が立つな)


 僕はイメージする、あのゴブリンとやり合えそうな武器を…


(例えばあの魔物の軍勢を一撃で滅ぼした最強剣士みたいな剣…)


 しかし…イメージしても何も起こらなかった…


(流石にアレは無理か…だったら)


 僕は考える…

 今の自分に作れる最もあのゴブリンに通用しそうな武器を…


(…そ…そうだ…あの鬼畜兄弟の兄が使っていた剣とか…)


 そう思って手を見ると、イメージした通りの剣を握っていた。


「肉をよこせぇ!」


 バットをスイングするかのような動きで電撃の棍棒が翔太のわき腹を狙ってくる


「くっ!!!」


 その棍棒を僕は剣で防いだ、力では明らかに負けていたのだが剣の能力なのか電撃は防げた


「その剣…どこから…いや…お前、魔法が使えるのか!

この世界には魔法が使える奴など我ら以外いないと思っていたが…

貴様のような奴がこちらにもいるとはな、驚いた!」


 少し、棍棒に刀の刃がめり込んだ。


(よし、このまま折れば倒せるかも知れない)


 ゴブリンは棍棒で剣をふりほどき一度距離をとる、そして切れ目を見ると舌打ちしながら…


「氷の棍棒!!」


 再びゴブリンが叫びながら棍棒に息を吹きかけた、すると今度は棍棒が氷漬けになった。

 そのままゴブリンは再びバットをスイングするかのように振り回してくる。


「終わりだあぁっ!!」


ガキィィィイン!


 僕の剣と再びぶつかり合い、金属と氷のぶつかる音がする。



(うわあぁっ!剣が冷たい!)



 その冷気は僕の手にまで伝わった。

 最悪感覚が無くなって動かなくなってしまう。


「ゴブリンが…こんなに強いなんて…」


しかしそう言われたゴブリンは怒りの表情だった。


「ただのゴブリンと一緒にするな!このまま凍ってしまえ!」


シュウウゥゥ……


「熱っ!!痛っ!!」


 再び凍った棍棒を剣で受け止めるが冷気にやられ僕は手を放してしまう…


「やはり…戦いにおいては素人のようだな…今日初めて握った剣って感じの動きだったぞ?素人が無理をするな。」

「くそっ…」


(あの剣はもう使えない…こうなったら次の武器を考えなければ…)


「安心しろ、骨まで食ってやる!人間の肉はとても美味いからな!」


 ゴブリンはニヤニヤしながら、僕の前に氷の棍棒を構えていた。



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