目を覚ますと、そこは世にも恐ろしい不気味な場所でした
僕は鈴木翔太、今年で小学4年生‥
普通に寝て明日学校へ向かうはずだった…
それがまさか…こんな事になろうとは…
目を覚ますと、そこは辺り一面、真っ白な壁。
中央には大きな穴が開いていて周りに出口と思われる場所はない。
ドアも無ければ穴もなく、とても不気味な部屋だった‥
これではまるで部屋の中に閉じ込められているかのように思える。
そして、その中でも一番不気味なのは部屋の中心にある大きな穴…この穴はなんと部屋の半分以上を覆い尽くしていたのだ。
穴の奥からは猛獣のような鳴き声が聞こえている。
(怖い…なんの生き物の鳴き声だ…)
僕は足をガクガク震わせながらその大穴を覗き込む‥‥そして思わず悲鳴をあげた。
「うわぁああああああっ!!!」
驚いた理由はふたつ。
穴の中の生き物と、その高さ。
まず穴の底までの深さだが、落ちたら確実に骨折する高さだった。
3階建てのビルぐらいの高さはある。それだけでも十分恐怖なのだが、驚いて声を上げたのはそこじゃない‥
一番驚いた理由は、穴の底で見た事もない恐ろしい猛獣が壁に体当たりを繰り返していたからだった‥
この揺れはその猛獣の仕業だった‥
「なんだあれ、怖いよ‥誰かぁ、助けて!!」
僕はその猛獣のあまりに恐ろしい、不気味な姿に恐怖で泣き叫んでしまう。
その猛獣の姿はライオンに似ているが、頭に2つの角が生えている。
目は大きな目玉が1つだけ、僕はその姿を見て震えが止まらなかった。
それに、その目は確実に僕のほうを見ている。
体当たりをしている理由はおそらく、部屋を揺らし僕が落ちたところを食べるつもりに違いない。
ちなみに出口も探せるだけ探したのだが、覗き込んで確認しても、穴の底にも無かった。
「これ、夢なのか?」
僕は一瞬夢かと思いほっぺをつねるが痛みはあった、
つまりその痛みが、今起きているこの現象が夢ではないと証明していた‥
「なんなんだよこれ、何をどうすれば‥」
怖くて気持ち悪くて‥逃げる事も出来ない状況に僕は目から涙が溢れてきた‥
「うわあぁぁあああ、誰かぁあああっ!!誰かいませんかああぁ!!」
情けない声でその場にしゃがみこみ泣き叫んでしまった自分が恥ずかしい、でも涙は次から次へとポロポロ溢れ止まることは無かった。
僕が怖がれば怖がるほど、猛獣も興奮し体当たりの威力を上げてくる、結果揺れが酷くなるのだった、
そしてその時だった‥
「ピー!ピー!ピー!」
突然、壁の上のほうにタイマーが現れて動きだしたのだ‥
「なんだあれ、さっきまで‥無かったのに‥」
タイマーのような装置が突然、壁に現れたのだ。時間は24時間で、数字が減り始める。
(このタイマーが0になれば、出して貰えるのだろうか‥)
壁に体当たりしている猛獣に脅えながら、僕はタイマーの数字が0になるまで待つ事にした。
果たして僕は…この場所から生き残り、出られるのだろうか――――




