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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

右手

作者: 相楽 タカト

昔あった話をしようか。

いや、聞きたくなくてもするから。


あの頃の俺は薄暗い森で迷っていた。本当にここどこだよ。薄気味悪いから早く出たいんだよ。見渡す限り鬱蒼うっそうとしているし、車のガソリンもやばくなったし。

「何だ?あれ、女の人?こんなところで何をしているんだ?」

俺はふと不思議に思い車を出てその女の人に近づいてみた。

「すいません。こんな場所で何してるんですか?」

「……シテ。」

「え?」

「ワタシノミギテヲカエシテッ!」

「う、うわぁぁっ!」

その女には右手が無かった。目から血を流して明らかにやばかった。俺は全力で走った。足がちぎれるんじゃないかと思うくらい走った。急いで車に乗るとエンジンをかけてフルスピードで走った。速度制限なんて守ってる暇がないくらい焦っていた。

鬱蒼とした森から出ると近くにホテルがあった。急いで駐車場に車を止めてホテルのロビーに向かった。

「今部屋空いてますか?」

「は、はい。405号室が空いてます」

「手続きは後でやるから今すぐ部屋の鍵を渡してくれっ!」

今思うと変な客だったかもしれない。しかし、その時の自分はそんなことを考える余裕など無かった。

俺が部屋に入り鍵を閉めてベッドに寝転がると不思議な声がした。

「……シテ」

俺は嫌な予感がしてベッドから起き上がるとその女が目の前にいた。その女に右手を引きちぎられてそのまま気を失った。

気づいた時には病室で寝ていた。

近くにいたナースに話しかけると

「この近くの森で気を失っていましたよ?」

と言われてあれは夢だったのかと思い安心した。

「あそこの近くで無差別殺人をした犯人が右手を切り落とされて死んだ場所らしいんですけど未だにその右手が見つからないらしいんです」

あぁ、だから右手を探していたのか。


「ということが昔あったんだよ」

「へぇ、君もよくそんな状況で生きて帰ってこれたねでも、もう帰ってこさせないよ」

「は?何を言っているんだ?」

「だって私がソノオンナダカラ」

グシャッ!

男は翌日に自宅でバラバラ死体となり見つかった。

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