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メモリーリミット  作者: レオ
迷走編
8/10

その6




「・・・・・。」





静寂の中の程、苦しいものは無い。




この空気の中、俺はどうすればいいのか。





「・・・・。」




あと何分この空気の中に居なければいけないのか。




色々な感情が、脳内を駆け巡る。



今の自分の状態を言い表せられる言葉は見つからない。





ゆっくりと流れる時間の中で、そっと、再びベッドの上へ視線を移した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






ピピピッ ピピピッ ピピピッ



目覚まし時計の音は、どうしてこうも鬱陶しいのか。


結局、休みの日は二度寝するし。



特に、今日みたいな寒い日は、布団から出たくない。


ずっと、包まっていられれば良いのに。


冬休みに入り、ほとんどを家の中で過ごす毎日。


ただ、今日に限っては、少し違っていた。


わざわざ目覚ましがなったのも、そのためだが、昨日お誘いのメールが来ていた。


これが、女子からなら、もっと乗り気だったろうに、、。


案の定、高田君からだ。


冬でも練習に手を抜かないのは感心するが、俺を呼び出したりはしないで欲しい。


拒否しても、ゴリ押しされて行く羽目になるだろうし。


やることが無いからって理由でとりあえず行くことにした。



待ち合わせ場所は、橋を渡った先にある公園だ。


公園となると、ほぼ100%練習のお誘いだろう。



重い腰を起こして、何日ぶりに乗るかわからない自転車に乗った。


自分にとっては真冬並みの寒さで、一瞬ぶっ倒れるかと思った。


これが、冬休みの弊害か。


涙目になりながらも、橋の方へ自転車を飛ばした。




確か、公園の近くに山下さんが住むマンションがあったはず。


ていっても、会うわけ無いだろうな。


そんなことも考えながら、橋の前の大通りまで辿り着いた。





ふと、トイレに行きたくなり、公衆トイレに行こうとした。


が、トイレの近くに停められそうな場所が無く、少し離れた場所に停めた。




済まして、トイレから出た時、右腕に衝撃がはしった。




ドンッッ



何かがぶつかってきたのか?


と思い、振り向くと、




「…………。あ、すいません。」



走ってきた女の子がぶつかったようだ。



???



あれ、何処かで聞いたことのある声。


まさかとは思ったが、すぐに答えが出た。


「長谷川君でしたか……。」


はい、フラグ回収。


これは今年の運を使い果たしたな…。


「だ、大丈夫?」


「お気になさらず。」


「何か急いでたの?」


「いえ、日課です。」


「日課?」


「はい…。」


訳わからんが、まあいいや。



自転車を停めた場所を通るらしいから、話しながら行くことにした。




「日課ってことは、いつも走ってるの?」


「毎日です。」


「え、、スゴ、、。」


「………。」



朝独特の肌寒い風が、二人の間を通過した。




「うぅ、、寒ぃ、、。」




ふと前を見ると、小さな女の子が、チワワらしき犬を散歩させていた。



脳裏に、高田君との会話がよぎった。



「山下さんって、動物好き?」


「……。その、『好き』というのが、よく分からないです。

昔、飼ってたことはあります。」


「ふぅーん、そうなんだ、、。」



「………。余り、言わないで欲しいです。」



「え?何で?」



「………。」



その後は、沈黙が続いた。


もしかしたら、地雷を踏んじゃったかもしれない、、。











その時だった、、、。








不意に、前のチワワもどきが走り出した。


その反動が強すぎたのか、女の子が勢いよく転んだ。


小さな手からリードが離され、もどきが、歩道を爆走しはじめた。




「あ、あれヤバくね!?」



女の子は立ち上がり、追いかけようとした。


が、到底追いつくはずもなく、もどきが、大通りを渡ろうとした。







車道の信号が青色に変わった。



「ハル〜〜!!待ってよぉ〜〜!!」




女の子の叫び声が響いた。



もう、我慢できない。

俺は、鈍った体をフル稼働させた。


が、俺の目の前には、綺麗な髪がたなびいていた。


「や、山下さん!?」


左手の甲を俺に向け、もどきに向かって走り出した。


「無理だって!轢かれるぞ!!」



声は、明らかに届いていない。


スピードを上げ、車道に入っていく。


不運な事に、もどきが渡るタイミングで自動車が来た。


仮に追いついたとしても、もろとも轢かれてしまうだろう。


俺は、全速力で彼女を追った。



横目に、飼い主の泣き顔が写った。



行き場の無い正義感は、体を動かすエネルギーとなって働いた。




少し、、あともう少しで、、、、。




一瞬の出来事だった。




山下さんは、もどきを抱きかかえようとした。


車まで、残り数メートル。


キキーーと、ブレーキ音が轟いた。




「クソっ、、もう、成るようになれぇぇぇ!!」





俺は彼女を押し出した。


軽い身体は、もどきを包みながら、歩道側へ吹っ飛んだ。


車は、俺めがけて突っ込んだ。


「クッッ、、、。」



咄嗟に俺は、地面に寝そべった。


頭上と四肢のすぐ横を車が通り過ぎた。




「はぁっ、はぁっ、、。死ぬかと思った、、、。」



車は道の脇に止まり、運転手が出てきた。


「だ、大丈夫ですか??」


「なんとか大丈夫です、、。

それより、山下さんは??」


道の脇を見ると、倒れた山下さんと、その顔を舐めるもどきがいた。


「大丈夫か???」


すぐに駆け寄った。外傷は擦り傷程度ったが、意識が無かった。


「山下さん、、どうして、、。」


正直、混乱していた。


いきなりの出来事に頭が追いついていない。


自分の中で、山下さんをつき飛ばした罪悪感が拭えなかった。


緊急時とはいえ、意識の無い彼女の顔を見ると、、、。



「と、とりあえず救急車呼びましょうか?」



「あ、お願いします、、。」



少しして、飼い主の女の子が走ってきた。


「はぁ、はぁ、、ハッ、ハル〜!!」


もどきが、山下さんの元から走ってきた。


「ハルゥ〜!!怪我無かった?」


何もなかったかのように、舌を出している。


「あ、、お兄さん!ありがとうございます!!

ハルを助けてくれて!!」


「いや、お礼ならコッチのお姉さんに言うべきだよ。

僕は何も、、、。」


再び彼女の方を見た。


「意識が戻ったら、いっておくよ。

まあ、犬が助かってよかったよ!」


「は、はい!!」






その後、救急車に乗り、最寄りの病院へ急行した。



「もしもし、高田君?」


『あっ、やっと繋がった、、。

何やってんの?待ち合わせ時間からめっちゃ過ぎてるよ。』


「うん、ちょっと事故に遭っちゃって、、。

今病院なんだ。」


『え?大丈夫なの?』


「俺は、一応。ただ、山下さんの意識が戻らないんだ、。」


『へ?まって、、?話が見えない。』


「てことだから、ちょっと行けそうに無いや。

あんま長電話できないから切るよ。」


『ちょっとま、、。』 プツッ。




とりあえず、山下さんの親御さんに電話したし、OKだろう。



病室に戻り、暖かい日差しが入り込む中、近くの椅子に腰掛けた。



12月27日 きっかけを掴んだ日





















































































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