その1
青春と呼ばれる時期に入ろうとしている俺(晃)。
俺のイメージの青春って、友と騒いだり、恋をしたり、急に能力的な何かが使えるようになったり…。
中3の冬、俺はこの上なく中学校生活を悔やんだ。
中1の思い出:体育会
中2の思い出:体育会
中3の思い出:卒業式?
なぜハテナになっているのかは後々わかるだろう。
まぁとにかく何の面白みの無い生活を送っていたのだ。
原因はおそらく俺の性格だろう。
仲間、女子、勉強、努力、勝利、全てが何ソレおいしいの?状態。
唯一の趣味は人間観察ぐらいか。
中2くらいから、人の考えていることが解るようになったのはまだ誰にも話していない。
明日にでも親に告白してみるか。
他にも色々あったが正直ほとんど覚えていない。
これが、ヒエラルキーの最底辺にいる人間の特徴だ。
ただ、俺は変わりたい。
このまま終わる学生時代なんて、、、ごめんだ。
いわゆる高校生デビューってヤツだ。
そのために誰も同中がいないマニアック校を選んだのだ。
「就衆学園高校」
名前は賢そうだが、普通だ。
そして、今。
俺の大逆転劇(仮)の初日。
キーンコーンカーンコーン♪
俺のクラスは、4組。
男子15人女子15人。
やはり、初見だとみんな賢そうに見える。
でも俺には関係ない。
なぜなら、おれにはあの能力が(ry
校内に入ると、大きな噴水があった。
初見の雰囲気は、悪くなかった。
そして、1-4と書かれた自分の教室。俺にとっては戦場だ。
「担任の本田だ。今日から約1年間このクラスの担任を担う。みんな宜しく。」
かなり堅そうな先生だ。
そして、俺の逆転劇(仮)では大きなキーマンになるだろう。
「では、早速だが自己紹介をしてもらう。まぁ、話す内容はなんでも良い。では、赤木君から。」
自己紹介か。
これを成功させなければ正直終わりだ。
あまり激しく主張せずにいこう。
「では、次。長谷川(俺)君。」
「は、はい。」
やはり最初は緊張する。
逆にここで落ち着けば成功する。
「えっと、長谷川晃です。南海中学校出身です。好きな食べ物は、フライドチキンの皮です。
趣味は、ファッション雑誌を見ることです。よろしくお願いします。」
よし、成功だ。
まぁ少し嘘はあるが、いいだろう。
なんか、ざわついてるように見えるが気のせいだ、きっと。
そして、自己紹介は順調?に進んでいった。
「川島健です。好きなことは、アニメを見ることです。特に○○というアニメの△△ちゃんが好きです。
ていうか、嫁です。」
「笑笑笑」
絶対に一クラスにこんな奴いるよな。
まぁ自分自身は全く興味は無いが。
「えっと、、高谷ルリって言います。えっと、、好きな食べ物はりんごです。
えっと、、好きな人は優しい人です。えっと、、よろしくお願いします。」
うん、こういう女子もいる。かわい子ぶってる奴。
こういうのに男子がひっかかるのだ。
そして最後の一人となった。
「 えー、最後。山下さん。」
「 はい。」
────────爽やかな声が自分の耳に入ってきた。
「!?」
急に胸が熱くなった。今まで感じたことの無い感じ。
他の奴とは違う気配を感じた。
「あ、そうそう。」
山下っていう子が話し始める前に先生が割り込んだ。
「えっとですね。山下さんは、重い病気にかかっていまして、、。」
病気?容姿はいたって普通だが。
「─────感情が無いのです。」
え?どういうことだ?
「小さい頃に何らかのトラウマがあったそうで。
まぁそのうち慣れると思うので、気にしないであげてください。」
なるほど。通りで他の奴違うと思った。
そして、今まで観察してきた人間で初めての例だ。心の中で疑心感が湧いた。
生まれて初めて抱いた感情が込み上げてきた。
と共に興味が湧いてくる。
「山下渚です。好きなものは、、無い。趣味も、無いです。
よろしく。」
先生からの説明後だと、余計に声が爽やか聞こえた。
感情が無いって、どんな感じなのだろうか。
「これで全員だな。よし、俺が担任な以上いじめとかは絶対に許さない。
みんななかようするように。」
彼女の事を指して言ったと感じたのは俺だけかも知れない。
ただ、胸の高鳴りは、一向に治らなかった。
「山下、渚…か。」
帰り道は、案の定一人。電車に揺られながら、一つの事が脳内を駆け巡っていた。
逆転劇なんて、もうとっくに忘れていた。
それとは別に、高校生活への期待が高まった。
そして、自分の心情をよく理解できなかった、あの時。
明日、何かアクションを起こさなければ。
4月7日 入学式