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親父のラス1

作者: D.K.ローリング

友達のAの親父が死んで一週間経った頃、Aの家に遊びに行った時の話だ。俺とAは共に25歳。日曜日で仕事が休みだったので久しぶりに会いに行ったのだ。夏の暑い昼下りだった。Aは暫くはかなり落ち込んでいた様子だったが、もう大丈夫そうだ。玄関に上がりすぐ左の部屋がAの部屋だ。俺達は10分程そこでどうでもいい話をしていたが、俺がふと「親父さん拝んでいいもいいか?」と言ったらAは「別にいいけど、喋った事ねーだろ」とどうでも良さ気だった。階段を上がりAと親父さんの遺影が飾ってある部屋に行った。そこには一本のタバコが置いてあった。「これ親父の吸ってたタバコか?」俺が訊くとAは「あー、親父のラス1だ」どうでもよかったのだが、なんだか俺には凄く引っかかった。親父のラス1なんか上手い事あるのかと。そこで更に尋ねた。「本当にラスト1本だったのか?本当は5本くらいあったんじゃないのか?」するとAは暫く黙り込み「う〜ん。本当は7本残っててその中の状態の良い1本を選んだんだ」俺は啞然とした。何故最初にラスいちと言ったのか?昔からこいつのこういうところが嫌いだった。何故かカッコつけようとするのだ。俺は更に尋ねた。「親父はどこからタバコを買ってたんだ?」するとAは「タバコ屋だな」俺は更に追求する。「1月にどれ位の量を買ってたんだ?」Aはウザそうな顔で「月に1ダースだよ」と答えた。俺が「じゃあ、死んだ時まだ何箱か残ってたんじゃないのか?」と言うとAは「そうだなー。まだ7箱ぐらい残ってるな」衝撃的だった。親父のラス7どころではなく、親父の7箱プラス7本だった。更に訊いてみるとまだ契約が1年3ヶ月残っていて後15箱買わなければいけないらしい。俺は吐き気を催した。親父のラス7箱プラス7本どころではなく、親父の15ダースプラス7箱プラス7本だった。俺が呆然と立ち尽くしているとAは「うっせーなお前。というか親父のタバコじゃねーよそれ。俺のタバコだよ」

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