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第16章 イマジン

 パーティが始まった。


 周りでは、高級そうな服を着たお客様がコップを片手に歓談している。

 客筋もここは相変わらずだ。俺とハリスさんが少しういている気がする。


 俺とハリスさんにも酒の入ったコップが渡された。


 見ると、木製ではなく、薄い水色をした陶器のコップだった。

 厚みがあり、繊細ではないが、地球で見慣れた陶器だった。


 この世界で初めて見る陶器……あったんだ。


 手に入れたい。温泉旅館の器を陶器にしたい。そう思った。


 後でパープル会に聞いてみよう。楽しみができた。


 陶器に気を取られていると、突然声をかけられた。


「よく来てくれたな。」


 見るとブラックモアが立っていた。


「お招きいただき、ありがとうございます。」


 俺がそう言うと、


「似合わねえ言葉使うなよ。俺たちゃ仲間だろうが。この前、お前がそう言ったじゃねえか。」


 仲良くとは言ったが、仲間とは言ってない……ま、いっか。


「そか、ありがとう。じゃ今後ともよろしく。」


 幾分くだけて俺は返した。


「おう、それでいい。ギランもそう言ってたから、これからは、パープル会とメイデン組は一蓮托生だ。」


 ブラックモアは見た目ほど悪くない。

 そう思った。


 しばらく話していると、ペイスがやってきた。


「さっきは、やられてしまいましたね。」


 笑っている。

 ま、全部返したから、笑っていられるはずだ。

 返してよかった。


「どうした?何があった?」


 ブラックモアが口をはさむ。

 ペイスが、俺とのルーレット勝負を説明し、ブラックモアが大声で笑う。


「はっはっは、相変わらずだな、お前は。祝儀ったって、うちの金じゃねえか。」


 その通りです、はい。


「ま、いいや。気持ちだけは確かに受け取ったよ。ギランにも言っとくわ。」


 いや、言わなくていい。

 あの人、なんとなく怖い。俺の弱点見抜いているし……。


「んじゃ、他にも挨拶して回るわ。」


 そういってブラックモアは去った。


「ところでペイスさん、このコップってどこから手に入れたんですか?」


 気になっていたことを聞いてみた。


「ああ、それは、ここより北にある町、イマリの特産品で、イマリ焼というものです。手に入れるのは、そうですね、直接窯元にお願いするか、商人使って買い付けするかのどちらかでしょう。うちは商人使っています。」


 丁寧に教えてくれた。


「それと、もしイマリに行くのなら、あそこはタオルも特産品ですから、買うといいですよ。普通の布より水をよく吸うので、お勧めです。」


「丁寧にありがとうございます。詳しいですね。それとペイスさん、ルーレットどのくらい練習したんですか?」


「それは内緒ですよ。教えたらご飯が食べられなくなります。」


 確かにそうか、聞く方がおかしい。

 いや、そうじゃない、普通、飯が食えなくなる、だろ。

 この人の言葉はどこまで丁寧なんだか。


 俺は、話に夢中になっていて、あまり周りを見ていなかった。


 ふと隣を見ると、やばい。

 虎がトラになりかかっている。

 ホントにもぅ。


「それじゃ、お酒もいただきましたし、この辺で失礼させていただきます。」


 ひきとめるペイスを尻目に、嫌がるハリスさんを引っ張って、俺はそそくさとその場を後にした。


 あ、バニーちゃん、見てない……いっぱい、いたのに……。


          ◆


 俺は、馬車に乗ったとたん眠ってしまった酔っぱらいのハリスさんをつれて、屋敷に戻った。

 フリップと二人がかりで、眠ったまま起きなくなったハリスさんを担ぎ上げ、部屋に連れて行った。

 駆けつけてきたマドンナさんに事情を説明し、ハリス夫妻の部屋に運び込んだ。

 マドンナさんから、何度も謝られ、ハリスさんは起きたら、マドンナさんのお仕置きが確定した。

 明日の俺の目覚ましがマドンナさんの怒鳴り声になることも確定した。


 そういえば、パープル会のパーティで、俺は何も食べていない。

 空腹を覚えて食堂に向かった。

 皆も集まっていて、賑やかに食べていた。


 見ると、机の上に大量の鮎がある。

 なるほど、あいつの仕業か。

 鮎の塩焼き、鮎の甘露煮、鮎の天ぷらが、所狭しと並べられている。

 俺もひとつずつ取り、席についた。

 オリビアもすでに食べており、その隣に座った。


「リュージ、おかえり。この鮎、すごく美味しいよ。」


 オリビアが笑顔で語りかけてくる。

 オリビアの皿には、大量の鮎の骨が……いったい何匹食べたのですか、オリビアさん。


 俺も鮎にかぶりつき、堪能した。

 美味かった。


 それにしても、この甘露煮……この世界に醤油ってあったっけ。

 またマーレイの手柄かな。

 ま、美味いから、いっか。


 その夜のおやすみのキスは、塩味だった……。


 翌日、ハリソンさんに会いに行った。

 昨日パープル会で聞いたイマリ焼を取り扱う業者を調べるためだ。

 パープル会なら業者を教えてくれるだろうが、あまり借りを作りたくない。

 それに、食物卸業者のハリソンさんなら、北のイマリの商品を仕入れている者を知っている可能性が高い。

 そう思って、ハリソンさんに聞くと、知っているとのことで、教えてもらった商売人のレノンさんに会うことにした。


 レノンさんの店を訪ねると、レノンさんは留守とのことだったが、奥さんのヨーコさんが店にいて、代わりに話を聞いてくれた。

 イマリとは定期的に行き来して、イマリ焼やイマリタオルを仕入れ、パープル会やサイジの町の住人に販売しているとのことだった。

 俺が大量に注文したいと言うと、大歓迎とのことで、話はとんとん拍子に進んだ。

 サイジとイマリは、馬車で片道二日ほどの距離があり、イマリでの生産は注文してから十日ほど必要とのことで、こちらで注文してから最低でも十四日はかかるとのことだった。

 俺は、店に置いてある陶器やタオルを見て、適当に選び注文することにした。


 陶器のコップや皿が、一個あたり銀貨二枚、タオルは一枚が銅貨五十枚だった。

 どれも結構高いが、こちらでは珍しいので、こんなものだろう。

 俺はコップ二種類、皿三種類をそれぞれ百個、タオルを五百枚注文し、少し値切って、その場で金貨十二枚を支払った。

 即金で支払ったので、急いでレノンさんに連絡を取り、必ず納期を守ると言ってくれた。

 なんとか間に合いそうだ。


 ぼちぼちドーゴ温泉の建物の骨組みが完成しているころだろう。

 そう思って午後から行くことにした。

 午後からの移動になるので、今夜は別荘に泊まることになる。


 オリビアにそう伝えて出かけようとすると、待ったをかけられた。

 しばらくして、ケーキを抱き、お泊りセットを持ったオリビアがやってきた……ムフッ。


 いつものようにフリップの馬車で別荘に向かう。

 今日も馬車は快適だ。


 別荘に着くと、エマーソンが出迎えてくれ、現場確認は明日にして、今日は休むことにした。

 しばらくして、エマーソンが作ってくれた簡単な夕食がでた。マーレイほどではないが、十分美味い。

 俺とオリビアが食べている間、エマーソンとフリップの姿は見えなかった。

 どうやら気をきかせてくれたみたいだ……やる奴だ。


 食事が終わるころ、エマーソンとフリップが顔を出した。

 少し汗をかいているようだ。

 何をしていたのか……聞くのはやめよう……ちょっと怖い。


 エマーソンとフリップは、これから食事とのことで、俺たちは部屋に移動することにした。

 後ろからエマーソンが、声をかけてくる。


「リュージさん、ボスの部屋に荷物運んでありますから。」


 おいおい、俺の荷物勝手に動かすんじゃねえ。


 とりあえず、食堂反対側のオリビアの部屋に行く。

 あれっ、なにっ、ベッドが二つある。


 さっきの汗はこれか……二人がかりで、俺の部屋のベッドが、オリビアの部屋に運ばれていた。

 俺とオリビアは見つめ合ったまま立ち尽くす。


 二つのベッドは隙間なく、くっつけられていて、特大サイズのダブルベッドになっている。

 あいつら……後で褒めてつかわす。


 真っ赤になったオリビアが俺を見る。


「あいつらなりに、気を遣ったんだろ。オリビアがいいなら、一緒に寝ようか。」


 俺がそういうと、真っ赤なオリビアが頷いた。


『みゃあ』


 ……お前も一緒だよ。


 二人でとりとめのない話をして、ベッドに入る。

 俺の腹の上にはケーキがいる。


 エマーソンとフリップは玄関近くの離れた部屋にいる。

 ちょっと前に、廊下でわざとらしく話をしていた……幹部候補にしてやろうか……。


 隣にいるオリビアと目があった。

 ケーキをそっとずらして、オリビアに手を伸ばす。


 オリビアは俺の腕の中に潜り込んできた。

 やばい……ドキドキが止まらない。


 俺は、オリビアをやさしく抱き、キスをした。


「オリビア、愛してるよ。」

「私も愛してます。」


 ……ドタッ、すぐ前の廊下で音がした。

 あいつらぁ……許さない……


 結局、ヘタレの俺は、あの後、何もできず、オリビアと手をつないで寝た。


 朝になって、エマーソンとフリップは、ベッドの件と覗きの件でプラスマイナスゼロなので、頭を軽くはたいただけで許してやった。


 フリップの馬車で、建設現場へと向かう。


 途中、道を作る作業をしている仲間たちに、ねぎらいの声をかけ、出来立ての道を通った。

 作業を始めて三日目なので、まだ二十メートルほどしかできていなかったが、快適に馬車を走らせることができた。


 建設現場に着くと、思っていた通り、温泉本館は三階までの骨組みが全てできていた。

 太い木が何本も複雑に組み合わさり、上に行くほど少し狭くなり、まるで日本のお城のような雰囲気を漂わせていた。

 近くに行って触ってみたが、骨組みだけで壁がないにもかかわらず、柱はびくともせず、頑丈さを実感した。


 ロジャーさんが近くに来たので、骨組みについての説明を聞いた。

 柱と柱の間には横や斜めに木が打ち付けられており、これらが支えになって頑丈さを増しているとのことだった。

 また一階と二階、二階と三階の間には、各々天井裏となる空間が設けられており、上の階の足音も下に響かないという話も聞いた。

 ロジャーさんに頼んで正解だ。


 明日から床張りと壁作りに入るとのことだった。

 完成が楽しみだ。


 その後、露天風呂の水車を見ると、二つの水車が組み合わさって動いていて、源泉から汲み上げたお湯が、貯水槽から溢れていた。

 貯水槽から本館への水路はまだ作られておらず、本館が完成した後に作るとのことだった。

 俺は、これで常に本館に温泉が供給されることを確信し、安心した。


 ロジャーさんにお礼を言って、俺たちは町に帰った。


 町に帰り、少し休んでいると、夕食ができたことを知らせに来た。

 食堂に行くと、マーレイのお試し品が並んでいた。


 すでに朝食のクロワッサン、カリカリベーコン、ふわふわスクランブルエッグ、マヨネーズ野菜サラダは決まっており、昼食の肉うどんとパスタも出来上がっている。

 パスタの味付けはまだ工夫しているが、心配はない。

 賭博場でのメニューもサンドイッチがあり、お土産の温泉まんじゅうも完成している。

 残っているのは夕食メニューだけだ。


 卵の確保に目途がたったことで、マーレイとも話し、いろいろな料理のアイデアも伝えてあった。

 このためか今夜のメニューは、玉子料理が並んでいた。


 目玉焼き、ゆでたまご、だし巻き玉子、温泉玉子、茶わん蒸し、揚げ豚の卵とじの六種類が出てきた。

 目玉焼きとゆでたまごは、朝のスクランブルエッグとローテーションすればバリエーションが増える。

 揚げ豚は唐揚げみたいになっていたが、今度豚カツを教えてかつ丼にしようと思った。

 これを昼に出すのもいい。

 あとの三種類は夕食に出してこれもローテーションすればいいと思った。


 どれも美味しく。夕食の玉子料理が決まった。


 前に食べた、ウサギの味噌焼きもいいし、鮎の塩焼きや甘露煮、天ぷらもいい。

 野菜を使った天ぷらも今度作ってもらおう。

 少しずつ料理が決まっていく。


 隣でオリビアが脳みそソテーとつぶやいているが、裏メニューにでもしよう。


 朝になり、ディックさんから報告がきた。

 山羊牧場の件で、飼育を引き受けてくれるとあてにしていた農家のおじいさんは、先日亡くなっており、話はできなかったらしい。

 ただ、その農家の次男坊が、家を継ぐこともできず、仕事を探しているとのことで、あらためて話をし、うちに来てくれることになったとのことだ。

 若いし見所もありそうなので、やらせてみようと思った。

 今日こちらに来るとのことで、昼から会うことにした。


 今日の予定が空いていたこともあって、午前中ぶらぶらと屋敷を回り、皆の仕事を確認した。

 昼はマーレイの肉うどんを食べて、くつろいでいると、次男坊がやってきた。


 やってきた次男坊のポールは、農家だけあって、日に焼けた顔に逞しい身体つきをしており、話もはっきりしゃべるので、お願いすることにした。

 今のところ飼育する山羊は二十匹で、山羊乳を毎日絞って温泉に届けることが仕事だと伝え、山羊牧場近くに家を建ててやるというと、感激して、一生懸命働くと約束してくれた。

 拾い物かもしれない。


 ドーゴ温泉には井戸も掘ってあるので、井戸水で冷やした山羊乳……風呂上がりに、腰に手を当てて飲むのが定番だろう。


 明日は、ドーゴ温泉で使う食材について、卸業者のハリソンさんと会うことになっている。

 今夜は早めに寝よう。

 このところの仕事で、俺は少し疲れていた。


 ゆっくり寝たため、翌朝スッキリと目覚めた。

 まだ朝の早い時間だったが、部屋を出て食堂に向かった。


 すでに朝食の準備をしているらしく、調理場で何か話しているのが聞こえた。

 多分マーレイだろう。

 そう思って近づくと、女性の声だ。

 どうやらリンダさんといるようだ。

 邪魔するのも野暮なので、おれはそっと離れ、自室に戻ることにした。


 そう思ったとき、調理場の扉が開いて、リンダさんが出てきた。


「ホントにもう、エッチなんだからぁ。」


 はい?何ておっしゃいました?何されてたんですか?


 俺を見てリンダさんが固まる。

 みるみる真っ赤になる。


「きゃっ。」


 そう叫んで、調理場に戻る……どうしよう。

 そう思っていると、頭をかきながらマーレイが出てきた。


「リュージ、いるならそう言えよ。」


 そんな無茶な。


「いやいや、朝っぱらから何やってたんだよ。」

「リュージたちもしてることだよ。」


 開き直りやがった。

 俺たちはまだキスまでだかんね。


「そうか。でも部屋でやれよ。」


 俺は自分のヘタレを隠すべく、そう答えた。


「いやいや、朝飯一緒に作ってたら、可愛くって、つい……。」


 はいはい、分かった分かった、負けた負けた。


「んじゃ、出直すわ。朝飯美味いの頼むぜ。」


 俺はそういって、部屋に戻った。

 ……うらやましい。


 美味い朝食を食べて、ハリソンさんのところに出かけた。


 食物卸業者であるハリソンさんは、手広く商いをしており、いろいろな食材を扱っている。

 マーレイが作る料理は、どれも美味く満足できるものだが、何か他に食材があれば、俺の知識と組み合わせて、もっと美味しく、また様々な料理ができるのではないかと、俺は考えていた。


 ハリソンさんに、まず肉について聞いた。

 サイジでは豚肉が主で、次いで鶏肉、羊肉、あと野性の猪肉とウサギ肉が一般的とのことだった。

 牛は農耕用で食べないとのことで、山羊も乳は飲むが肉はほとんど出回らないらしい。

 これはエメヒの国ではどこも同じとのことだった。


 次に魚について聞いた。

 川魚の鮎はサイジで有名だが、海の幸もあるとのことだった。

 知らなかったのだが、サイジの町から一時間ほど北に行くと海があり、そこの漁師から魚を買えるとのことだった。

 何故メイデン組では、今まで魚が出なかったのだろう。

 後で聞くと、小魚が多いため、組の大人数に出すのが面倒だという、それだけの理由だった。

 何はともあれ、近くに海があるというのは収穫だった。

 誰か教えてくれればいいのに……そういや釣りが趣味って奴がいたな。

 それでか。


 次に野菜について聞いた。

 一般的に出回っているのは、芋と豆で、主食となる米と麦もあった。

 米と麦は野菜なのかと聞くと、畑でとれるものは全て野菜らしい。

 あと、ナスやキュウリ、玉ねぎ、大根などもあった。

 森や山ではきのこや山菜も採れるらしい。

 詳しく聞くと、芋はサトマ芋といって、最初に食べた変な芋だった。

 豆は大豆に小豆、枝豆などがあり、リンダさんの温泉まんじゅうに小豆が使われていたことが分かった。


 最後に果物について聞くと、一番多いのがビワ、ついでミカン、スイカ、ザクロ、桃の順だった。

 当然、季節によって採れる果物は変わるとのことだ。

 リドウについて聞くと、酒にしか使わないので果物ではないと言われ、他の酒について聞くと、エメヒでは、梅酒と、焼酎に似た酒の二つがあり、焼酎に似た酒の年代物がウィスキーのような酒になるらしい。


 色々とこの世界やこの国の食べ物について聞くことができ、非常に有意義な一日となった。

 今後ともお付き合いをお願いし、メイデン組の食材の調達をお願いした。


 昼になって、屋敷に戻った。


 昼食準備を終えたマーレイが暇そうにしていたので、声をかけ、一緒に昼食をとった。

 もちろん隣にはオリビアとリンダさんがいる。


 リンダさんは朝の事があり、伏し目がちだったが、マーレイの隣で幸せそうにしていた。


 食べ終わって、マーレイと食材について話した。

 海の幸があることを知ったので、そのことについて話すと、面倒くさいというのが、第一声で、小魚でなく、大きな魚ならいいのではないかという話になった。

 ちなみにこの前の鮎は、持ってきたので仕方なくということだった。

 さらに聞いていくと、このあたりでは大きな魚はあまり捕れず、時々鯛があがるくらいだと言う。

 鯛なら、刺身でも塩焼きでも、鯛めしでもいろいろな料理方法があると伝えると、塩焼き以外は分からないとのことで、続けて説明した。

 鯛めしについては、すぐに理解してくれたが、刺身は困った。

 生で魚を食べたことがないと、オリビアもリンダさんも言い、この世界ではまだ早いのかもしれない。

 ただ、この前マーレイが醤油に似た調味料を作っていたので、それに漬けて今度食べてみようという話になった。

 米のご飯に載せて寿司にしてみよう。

 ワサビがないのが残念だ。


 また少し料理の幅が拡がった気がする。


 話が終わって、俺はオリビアを、マーレイはリンダさんを、それぞれ連れて部屋に戻った。


 ……マーレイたちがしてること

 ……俺たちがまだしていないこと……うがっ。


 朝のことを思い出し、オリビアを見て、俺はひとり悶えていた。


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