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伝説の村

 再び商人に会いに行き、馬車を購入する事にした。ラクリマ国まではかなり距離があるためだ。

「馬車を買いたいのだが売っているか?」


「これはこれは、早速のご利用ありがとうござい、私の事はバジルと呼んでください。馬車でございますねん、最上級の物をご用意させて頂きます」


 チラッと大事に飾られているスウェットを見ながら「いや別に最上級でなくて構わないのだが…あぁ私の事は有栖と呼んでくれ」


「いえいえアリス様程のお方ならばペガサスに乗るべきです」


「えっペガサスなんているの?空飛べちゃうの?」


「はい、勿論ですとも、ペガサスは非常に貴重で世界に10頭もいない神獣ですのでお早めにお決めいただく事をお勧めします」


「うっうむ、それを頂こうかな」


「では、500金貨になります…おや?もう契約をしたのですか、お早いですねさすがです。」

 名札をかざすと、名札の裏面に記載されている1369金貨から500金貨が引かれた。どうやらそれぞれの思考が一致しないと作用しない様だ。食料などを買い込んで残り金貨869枚が残ったがまだまだ大丈夫だろう。


「それではアリス様、此方に血胤をお願いします」


「えっなんで、痛いの嫌なんですけど」


「ペガサスと血の契約を結ぶため仕方の無い事なのです、少々の痛みは我慢して下さい」


 あたふたしていると、面倒くさそうに無理矢理指をナイフで切り血を垂らされ名札をかざされた。


「はい、これで完了ですペガサスは貴方様の従順な僕になりました。」

 あっけらかんとしているとペガサスがやってきて切られた指を舐めてきた。


「いた、ちょっ、あれ?」


 指の傷は直ぐに癒えていたので驚愕しているとバジルが

「ペガサスは癒しの力を持っておりますので、それにそこらのモンスターも蹴散らしてしまう程の聖気があります、この世の神獣でもこのような力を持つのはペガサスだけでしょう。ペガサスが付いておりましので大丈夫でしょうが気をつけて行ってらっしゃいませ」


 ペガサスに乗り旅立つと凄まじい速さで空を駆け出した。流石に飛行機には負けるがそれでも速い。

 ペガサスに乗っているのでモンスターに襲われる心配も無い、我ながらいい買い物をしたとにやけていると何やら不思議な場所がある。

 もやもやとした結界のようなものに囲まれており魔眼がなければ気づかない様な些細な変化だが確かにある。

 一旦地上に降り、地面にあった小石を投げてみたがその小石はその結界に触れた瞬間、消失してしまった。

 ビビって立ち去ろうとしていた所、ペガサスに袖を摘まれ結界内に入ってしまった。

 どうやら敵意があるものを排除しているがペガサスの聖気はこの結界を弾くらしい。

 しばらく中を探索していると村の様なものが見えてきた。

まさかここが伝説の村なのか?見た感じ普通の村だが、何か特別な儀式とか行うのかな?そう思っていると、人を掻き分けるように柄の悪い男が現れた。


「おらおら、邪魔だどけ、死にたくなければ俺様に近づかないことだなかっかっか、おい、そこの貴様、お前だ女!こっちにこい」


「いや、やめて、誰か助けて〜」


 女性が強引に手を引っ張られている、周りでは見て見ぬ振りをしているのか、気にもとめずに素通りしている。

「その手を離せ」

 そう呼びかけると2人同時にこちらを睨みつけてきた。


「ほれほれ、良いでは無いか」


「いや〜、誰か助けてお願い!」


 こちらを無視し2人とも実に楽しそうに満面の笑みでそう言っていた。どうやらそう言ったプレーのようだ。だから村の人も無視をしているのかと納得していると背後に気配を感じた。


「見えたわい」


「え、なにが?」

 不意に背後から意味不明な事を言うジジイに、思わずそう聞き返してしまった。


「…ほっほっほ」


 それだけ言うとジジイは何処かへ去っていっく。そしてこの村がなぜ伝説となったのか、その真相が今目の前あった。


「フハハハハ、愚かものめ我に会ったことを後悔するがいい、フハハハハ」


「ふひひひひ、きひぃいいいい」


「だっ、誰か助けてくれ、このままでは50年後に死んでしまう、うおおおおおお」


「見えたわい」


「はぁ、私の美しさはなんて罪深いの」


「出たな魔物、勝負だ!」


「おお、神よこれが私への試練なのですか、何という悲劇なのでしょうかあぁぁ」


 彼方此方で悪夢の様な光景が広がっていたもう耐えられない、尋常では無い精神的疲労が蓄積されていく。

 宿屋らしきものあるが、こんな村に宿屋があるものなのか?見た目は貴族の屋敷と見紛うような立派だったので驚いたが、どう見ても宿屋だった、しかしこの村の宿だ油断は出来ない、意を決して扉を開けると、そこには立派な服を見繕った凛々しい紳士が立っていた。 おっこれは大丈夫か?と少し期待をした。


「…フッ、やはり来たか」


 その夜、外から無数の声と悲鳴が木霊する中で悪夢に魘されたのは言うまでもない。

翌朝、村長の家に伺う為仕方なく店主に勇者である事を告げ聞くことにした。


「やはりな、最初からわかっていたさ。俺の親父が村長だ。」

 そう言うと、階段に向かって店主が勇者が会いに来たと告げ大声をだし、暫くすると、コツコツと階段から老人が降りてきた。


「ほっほっほ、勇者がわしに会いに来たとは」

「……むっ、お主は昨日の…とっ当然最初からこの光景は見えておったわい」


「そうでしょうな、所でなんでこんな所に村があるのですか、しかも結界まで」


「ふむ、それには深い理由があるのじゃよ、当然この質問が来るのもわかっておったがの、全て見えておったわいほっほっほ。立ち話もなんじゃ、ついて参れ」


言われるままに、イカれた爺さんの後をついていく化物集団というなんとも言えない光景を誰かに笑われた気がしたのは気のせいなのだろうか…


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