サリュースの結婚式
「サリュースさん、僕と結婚してください。」
「はい、喜んで!」
私、サリュース=セレンダが、鷺宮家の七男マコトさんに告白されて、快くOKの返事をしてから約3ケ月。私は、マコトさんと、休日のたびにデートを繰り返した。
そして、ヒカリさんとタケシさんの結婚式から遅れる事15日、いよいよ私の結婚式の日がやってきた。この日は、ヒカリさんが、光の神殿で初めて結婚式を行う日でもあり、晴れある第1号に、私が選ばれたのだ。ちなみにヒカリさんは、毎月5のつく日に、神殿でお仕事をすることになっている。月3回神殿に詰めるだけのため、既に半年先まで予約で埋まっているらしい。そのため、仕事内容は、主に結婚式の祝福らしいが。また、年に数回ある神事には、強制参加らしい。まあ、その分、しっかりと報酬は出るらしい。
私の衣装は、ヒカリさんと同じ真っ白なウエディングドレスだ。背中から延びるトレーン以外は、ヒカリさんの着ていたウエディングドレスと全く同じデザインである。お店の人曰く、「光の神子モデル」と言い、これからシリーズ化していくらしい。
そのため、私は、晴れある第1号モデルとして、製作費がかからなかった。ちなみにこの衣装、お気づきの通りヒカリさんの衣装を手がけたオートクチュルが、私専用に仕立ててくれたものだ。衣装を引き立てる宝飾品は、ヒカリさんが、結婚式で付けていた物をすべて貸してくれた。
先週から泊りがけで来てくれている家族や親戚。ヒカリさんのご厚意で、従業員宿舎の空き部屋を用意してくれている。私は、既に部屋を移動しており、結婚後は、マコトさんと一緒に住む部屋にいる。
この部屋は、ヒカリさんが屋敷に移るまで使っていた部屋だ。カランの東にあるオーカルにある実家よりも広い。このヘアを両親が見た時、とても驚いていた。
結婚後、私とマコトさんは、鷺宮家の近くに家でも借りるか建てて住もうと計画して、不動産を見て回っていたのだが、今、カランでは、人口が爆発的に増加しており、空き家や空き部屋が不足している。そのため、なかなかいい物件が見つからなかった。私の仕事上、鷺宮家からあまり離れた場所に住めないため、現状をヒカリさんに相談してみた。
そうしたら、従業員宿舎の空き部屋のうち、使い道のない大きな部屋の一つを貰えたのだ。それがたまたま、ヒカリさんが使っていた部屋だった。5部屋あるうちの1つには、ケンジさんとアメリア夫妻が、後の2部屋は、リョウコさんとマナミさんが使用している。
話はそれましたが…。
式場である光の大神殿の大聖堂。500人くらいが入れる空間に、本日は、鷺宮家の家族のほか、私の親族、鷺宮商会の従業員、総勢100人ほどが椅子に座っている。大聖堂の入り口の前で、私は、父親と、ヒカリさんとともに、式の開始を待っていた。
「サリュース、とてもきれいよ。」
ヒカリさんが、私を見て微笑んでいる。
「ヒカリさんの時に比べれば、とても質素なドレスですよ。」
「あれと比べたらいけないわ。あれは特別製だから。今日のサリュースのドレスも、オートクチュルが手掛けたんだから、自慢してもいいくらいよ。」
「ヒカリ様、サリュース様、そろそろ式が始まりますよ。」
神官が、式の開始時刻を知らせてくれた。
「サリュース、今日は、あなたが主役なんだから、しっかり胸を張ってマコトのところに行きなさい。」
「はい、ヒカリさん。」
「では、お父上も参りましょうか。」
総意って、ヒカリはさんは、神官に目で合図をした。神官が扉を開き、私は、父にエスコートされて、マコトさんのいる神像の前まで続く花道を、1歩1歩踏みしめていく。ヒカリさんは、私たちの後ろを続いて歩いていた。
私とマコトさんが、結婚の制約を誓った後、ヒカリさんが祝福の言葉を述べてくれた。何と話してくれたのかは、緊張で周りが見えなかった私は、知る由もなかった。きっとヒカリさんから、素晴らしいお言葉を頂いたのだろう。
結婚式が終わり、私たちは一足早く鷺宮家に戻ってきた。ヒカリさんは、夕方まで神殿でお仕事があるらしい。そのため、私の結婚披露宴は、ヒカリさんが戻ってきてからとなる。そのため、ヒカリさんが戻る夕方過ぎまでは、自由時間になる。
私とマコトさんは、とりあえず普通の服に着替えて、わたしの両親を引きつれて、カランの町を案内した。市場や公園、マコトさんが働く鷺宮魔法学園。
今日は平日のため、学園は、授業の真っ最中である。学園では、初等部と高等部に分かれており、初等部は、生活上必要な学力と、戦闘基礎を身に付けるため、座学や基礎体力作りが中心となっている。基礎的な魔法は覚えるみたいだが。
高等部では、初等部で身に付けた知識をもとに、実戦形式で授業が進められている。そのため、実習場では、決行派手な攻撃魔法が飛び交っているみたいだ。時々、野外実習で、魔物を狩りに行くみたいだ。買った魔物の報酬は、生徒自身が受け取るため、高等部になると、冒険者ギルドに登録するみたいだ。
私は、週に一度経理のお仕事で、学園にお邪魔しているが、そういえば、授業風景を見学するのは初めてかもしれない。夕方になるまで、私たちは、実習風景を眺めていたが、目ざとく見つけた生徒によって、マコトさんは、実習場に連れてかれていった。
夜になり、お屋敷の方で開かれた宴会は、豪華な料理が並べられていた。