植田秋穂の場合 ②
遠くで会話する声が聞こえる。心地いい温もりと、聞こえてくる低音ボイスにまどろみから目覚めた。
「あ、お姉さん気が付きました?」
私が起きたことに気付いた男の人が近付いてくる。起き上がろうと上半身を起こした私を、強烈な頭痛が襲う。
「う〜……」
「大丈夫ですか?」
頭を押さえる私に、お兄さんは水の入ったコップを差し出してくれる。その水を口にするのも手伝ってくれるお兄さん。
「私……酔っ払って……?」
「うちのガソスタの前で転けたんですよ。で、手当てして」
言われてみれば膝にヒリヒリとした痛みを感じる。見ればストッキングがそこの部分だけ破けていて、きちんと手当てがしてある。
「あ、ストッキングすみません。脱がせる訳にはいかなかったんで……」
「いえ、こちらこそご迷惑を……」
二人してペコペコと頭を下げあっていると、クスクスとした笑い声が聞こえてきた。
「神埼、その人送ってやったら? お前もう上がりだろ」
「あ、はい……」
そう言って去っていく笑い声の主に、お兄さんは頭を下げる。そして私に微笑むと、自然に手を差し伸べてくれた。
優しい笑顔と心遣いに、私は完全にノックダウン。
一目惚ればかりしている私だけど、これを最後の一目惚れにできたらいいな。なんて思いながら、私はお兄さんの手を取った。
【End】
これにて『うさぎのお巡りさん』に登場しました二人の物語は終了となります。
これから彼女達なりの幸せな運命を歩んで行くでしょう。
ここまで読んでくださった読者様、ありがとうございました☆




