第6話 同類
新キャラ登場ー
爽やかイケメソ、運動も勉強も出来て気配りも出来るけど歪んでる。
軽度の歪み有ります。
この話に出てくる人って大概歪んでるよね。
何故だろう、作者たる私はこんなにも純粋でまっすぐなのに・・・←
笑子は今年、受験生だ。
これからもっと忙しくなるだろうし、つらい時期にも差し掛かるだろう。
そして僕は去年受験を終え、この高校にやってきた。
やっと、やっと笑子と同じ学校に来れたのに
来年には彼女はまた離れていく。しかも今回は県外へ。
何故今になってそんなことを考えたかというと
それは今朝、その彼女が
楽しそうに僕の知らない男と談笑していたのを見てしまったからであって。
「気に食わない。」
彼女が遠く離れた地に行ってしまえば
さっきのように僕の知らない人間と彼女が関わることを、
僕は止めることができない。
彼女は僕が知らない人になってしまう。
彼女は僕以外の奴のものになってしまう。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
その日僕は、部活を無断でさぼって
早々に家に帰った。
「ありがとう、助かったわ。」
「いやいやー。吉河さんいっつも一人で仕事してくれてんじゃん。」
これくらい当然さ、と笑う彼に向かって
私も同じように嘘の笑いを返した。
私は学級委員で、5月にある文化祭の準備を
一人先生に頼まれ、放課後に教室でやっていた。
最初は私一人で全てやりきってしまおうと思っていたのだが
思ったより量が多く、見かねたもう一人の学級委員である水瀬君が、
私と一緒に居残って仕事を手伝ってくれた。
今日は見事その仕事が終わり
先生と生徒会にその資料を渡しに行っていたのだが
「・・・りょう?」
視界の端に、義弟が走っていくのが見えた気がした。
「どうしたの?」
「いいえ、見間違いだったわ。」
見間違い等ではない。
一瞬しか見ることは出来なかったが、あれは龍一だ。
伊達に5年ほど一緒に暮らしてるわけじゃない。
「またかな・・・。」
私の接し方がまずかったのか、龍一の性格が元々ああなのか
彼は私に酷く依存していると思う。
依存、というか過保護なのだろうか、あれは。
私に敵意を向ける相手も、好意を向ける相手も
むしろ私が人間としての好意を向ける相手ですら
全てが全て、彼にとっての敵らしい。
彼の論理を頭っから信じるのだとすれば、私と関わっていい人間は
彼と、私と彼の両親、のみ。
実に窮屈だ、自由にさせろと抗議すると
龍一はいつも私に文句を言う
『笑子が危なっかしいのが悪い!』
間違いなくあっちのほうが悪いと思う
第一私の何処が危なっかしいんだ。
「あれ義弟君だよね、帰るのかな。」
こういうとき、水瀬君は実に目ざといと私は思う。
私ですら視界の端にとらえただけなのに
彼はしっかり龍一を見つけていたようだ。
「そう・・・ちょっと過保護な義弟。」
「過保護?どんな風に」
「・・・シスコン?」
そう言うと彼は大きく笑って
俺ってば夜道に気をつけなきゃなんねぇ感じ?と聞いてきた。
私は、その言葉にも嘘の笑いを返した。
嘘と嘘の応酬。私達が2年生の夏から続くこの戦いは
今のところ2対0で私の勝ち。
私は彼の本当の笑顔を見たことが有り
彼は私の本当の笑顔を見たことが無い
最初に笑顔を見られたとき、彼はとても悔しそうにして
いつか私の笑顔を見てやる、なんて言っていたけれど
結局次に本当の笑顔を見られたのは、またしても彼だった。
だって当たり前でしょう。
私は学校で、笑ったことなんて無いのよ
彼―― 水瀬くんは、俗に言うイケメンだ。
運動神経もよく、勉強も嫌味でない程に出来、
よく気が利いて周りを大事にする。
笑顔が素敵と言われている彼は、確かに他の人と笑顔の質が違う。
とても格好良く、輝いていて、嘘臭い。
実際、彼の笑顔はほぼ全てが愛想笑いだ。
私が彼の笑顔のあまりの薄っぺらさに疑問を感じ
彼に聞いてみた、あの春の日差しがそろそろ暑くなってきた午後、
彼は今と同じように大きく笑い
「吉河さんだって俺の仲間じゃん。」と言った。
ほら、その笑顔。すっごい偽者っぽい。何で嘘つくの?
吉河さんってば絶対心から笑ったほうがかわいいよー
ま、俺も同じ穴のむじなだから言えた口じゃないけどさ。
怒涛のようにつむがれる言葉の波に
危うく笑顔が流されるところだった。
今まで気づかれたことなど無かった、この笑顔。
都合の良い、仮面
どうしてそんなに簡単にばれたの?と聞くと彼は
少しだけ本物の笑顔を混ぜた偽物笑いで
同類だから、と囁いた。
あーもういいよ水瀬が主人公で。
龍一暗い。マジ暗い。つかキモい
大丈夫かなーこんな主人公で。
龍一にはもう少し自分に自信持って欲しいんだけど・・・
となると笑子と龍一が引っ付いちゃうとだめなんだよね。
いや、引っ付いてもいいんだけど・・・。
いっそのこと、一旦笑子と龍一が付き合いーの
別れーの、立ち直りーの、別の人と付き合いーの
くらいしないと龍一はつよくなれないと思う。
笑子とくっ付いたままだと笑子に甘え続けると思うんだ。
そうか!笑子が弱い女になれば嫌でも強く・・・・いや無理だ。
か弱い笑子とか何それ平行世界