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第2話 わらうって何

ルルルルールルー(謎

こんばんは千嶋です。テスト訂正とかで時間が無いのでしばらく更新できますん。

それから、私は家に帰ることは無かった。恐らく両親は逃げたからもうあそこに帰ってくる筈が無いし、もう食料もあらかた尽きていたから。


「おい、しょうこ。」


おにいさんが何か言ってる。

そういえばここはたくさん人が居るから、おにいさんとかお母さんとかじゃなくて、人を名前で呼ぶんだっておにいさんがさっき言っていた。


そうか、おにいさんは今誰かを呼んでるんだ。


「しょうこ、しょーうーこー。」

「お前何ガキなんか拾ってきてんだよ。」

「何って……育児放棄されてんだよこのガキ。」

「育児放棄ぃ? んなもん腐るほどいるだろうが。ほっとけほっとけ。」

「メシがカビたジャムパン一個しかなかったんだよ。すっげぇ汚かったし服も三歳ぐらいのガキが着るもんだったしよ。」



銭湯に行って服を着せてもらって、おにいさんに連れて行ってもらったところには、おにいさんみたいな格好をした人がたくさん居た。

床はふかふかだし、壁は白いし、たくさん人が居るし。驚いてばかりだった。


「しょうこ、しょうこっ!」

「……あ。」


そういえば、私は“しょうこ”になったんだった。


「なに。」

「いやいや。なに、じゃなくてだなぁ……。」


私には、名前が無かった。

いや、本当は在ったのかもしれないし、愛情を込めて呼ばれたことだって最初の一、二ヶ月はあっただろうけど、私は知らなかった。


「しょうこ、お前さっき自分の名前ちゃんと見てなかっただろ……って頷くなよ。悲しくなるじゃねぇか。」


返事をしろと言ったのに、その返事を否定された。理不尽だ。

ストライキおこしてやる。返事なんかするものか。



「おい、しょうこ? おーい。」

「……うん。」


あ、返事しちゃった。まあいいか。


「あーえーっとだな。お前文字読める?」



今思えば、これはかなりの愚問だ。風呂も日にちの数え方もしらない子供が文字なんて知っているはずもないだろう。



「んーとだな。しょうこっつーのは笑う子供って書いてしょうこなんだ。」


今なら分かる。おにいさんの日本語は破綻している。ついでに言うとネーミングセンスも無い。笑って欲しいからといって安易に笑う子と名づけるのはどうだろう。


「わらうこ。」

「そうだ。……お前笑うの意味分かってるか。」

「わかんない。」

「…………。」


ごめんなさい、落ち込まないでおにいさん。元気だして。

なんて殊勝なこと、アメーバよりも動かない心を持った当時の私が考えるはずもなく。



「わらうって何。」


無機質すぎる声でおにいさんに追い討ちをかけるだけだった。




お兄さん(及び私)のネーミングセンスに絶望しながら

ま~た来週~←

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