しばらくの別れ
0系最後のこだま659号は、14時51分、定刻に岡山を発車。
順調に山陽新幹線を各駅に停車しながらひたすら西へ向かって走っていた。
徳山で500系のぞみを待避。500系運用ののぞみも最近は本数が減り、余剰となった500系は16両から8両に短縮されてこだまに転用されている。いずれは500系も0系と同じ運命をたどるのだろう。人気のある車両ほど早く引退する・・・。
そう思った。その後も各駅に停車しながら西へ向かって走った。
途中の新山口では駅員や保守員が整列し、敬礼で見送った。そして最後の停車駅である小倉を出発。
泣いても笑ってもあと少しで終点の博多に到着してしまう。車内では案内放送が始まっていた。18時21分、0系新幹線最後のこだま659号は多く鉄道ファンに迎えられて博多駅14番のりばに到着した。俺は無事この列車を博多駅まで運転できたという安堵感と、もう引退してしまうという寂しさにかられながらも運転席を後にした。
ホームではセレモニーが行われている。
運転士と車掌への花束贈呈が行われた後、用意されていたパイプ椅子に座っていた。
その時、隣の13番のりばに2011年春からの九州新幹線直通用の新型車、N700系S1編成の試運転列車が入線してきた。
生まれゆくものあれば去りゆくものあり・・・
まさにその言葉通りの並びだった。やがて『いい日旅立ち』が流れ、0系新幹線は警笛を鳴らしながら巻き起こる拍手の中、夜の闇に消えて行った。
そして来たる12月のさよなら運転に向けてしばしの眠りにつくのだった。
おまけ
登場人物紹介
神崎 慶一
25歳
身長 179cm 体重 70kg
山陽新幹線運転士
1983年10月1日生まれ
姉が一人いる
性格
クールで真面目。
緊急時も冷静に対処する。
幼少時は泣き虫だった。
イタズラ好き