夢の超特急 こだま運用最後の旅立ち
2008年11月30日午後14時40分・・・。
俺は岡山駅21番のりばにいた。
定期運用最後の0系新幹線こだま659号に乗務するためだ。ホームにはすでに数え切れないほどの鉄道ファンが0系新幹線の姿をカメラに収めようと集まっていた。0系新幹線の先頭部が止まる位置では記念セレモニーが始まろうとしていた。
やがて車両基地のほうから0系定期運用最後となる0系R68編成こだま659号が警笛を鳴らしながら21番のりばにゆっくりと入線してきた。
いつも通りの白と青の団子っ鼻の巨体・・・
しかしそのいつも通りの風景が毎日見れるのも今日が最後だ。
記念セレモニーが始まり、運転士、車掌への花束贈呈が行われた後、俺は乗務員室に乗り込み、発車準備をすませる。
ホームの記念セレモニー会場ではテープカットが行われていた。
運転台の速度計のATC信号は×から速度30信号に切り替わったところだった。
やがて発車のベルが鳴り響き、「21番のりばから、こだま659号博多行きが発車します。お見送りの方は柵の内側までおさがりください」
と、アナウンスが流れた。
いよいよ発車の時が来てしまった。
ブザーと共にドアが閉まり、戸閉め知らせ灯とATCの速度70信号がほぼ同時に点灯した。
「戸閉め良し、信号70、岡山定発。」俺は確認喚呼をして、マスコンハンドルを動かした。
0系がゆっくりと動き出す。
そして14時51分、多くの鉄道ファンの眼差しの中、0系新幹線のこだまとしての博多への最後の旅が始まった。