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三年後離縁予定の妻ですが夫が離してくれません。何故?  作者: もも


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よろしくお願いします

 「宰相と騎士団長が退位するように国王を説得しているそうだ」


「退位されたら次の陛下はどなたがなられるの?」


「王子様は五歳だから成人されるまでは王弟様だろう。学者肌で穏やかな性格の方だとは聞いている」


「常識のある方だといいわね」



もはや原作とは違っている。ここは思っていた世界ではないのかも知れない。ヒロインがあれだったし。


期間限定で地位を楽しんでやろうという目論見は消えたが、平和であれば言うことはない。










 そう思っていた時もありました。でも今私は殺されそうになっている。黒ずくめの男に。

キラリと光ったナイフが首に当てられている。

偶然振り向いたら殺し屋と目が合ったのだ。向こうも殺気に気が付かれるとは思っていなかったと思う。



私はメリーを連れて船にある劇場に来ていた。海を見るばかりなのも飽きていたから。

開始前にお花摘みに来ていた。メリーには中の様子を見て貰うつもりだった。彼女がやられるとは思わなかった。


ジャックは扉の外で待っている。

多分殺し屋に気づいてはいるが手が出せない状態だ。


「悪いな。直ぐ終わらせるから」

感情のない低い声で言われた。



「終わらせないでよ、お金なら出すわ。侍女は何処へやったの?私が大金持ちって知っているでしょう?

今の値段の三倍は出せるわ。それにちゃんと払ってもらえるのか確かめたの?あの国潰れかけているわよ」


「面白い女だ。自分の危険より俺が貰うお金の心配をするなんてな。侍女さんはそこでお休み中だ。死んじゃあいないよ」


顎で指したところは個室だった。


「あなた凄腕なのね。でいくら払えばこっちに寝返ってくれるの?あ~愛国心なの?あれには無駄だと思うわよ」


「仕事だ。仕事。愛国心?気持ちの悪い事言うな」


「取り引きしましょう。報酬は三倍。現金で払うわ。このまま無事に客室に帰してくれれば払ってあげる」


「捕まるのが分かっているのにのこのこ行くかよ。そんなに間抜けじゃねえ。

そうだな。地下に降りる階段の一番下の隅に置いてくれればいい。金が無ければもう一度あんたを狙うだけだ。それともあんたの義両親にするか?旦那は連れて来いだとよ」



「依頼者って狂ってるわねえ、水が出なくなっているというのに。変態だわ」


「話はこれで終わりだ。あんた肝が据わっていて面白い女だな。話せて楽しかったぜ」


「連絡を取りたくなったらどうすればいいの?」


「殺りたい奴がいるんだな。気が向いたら連絡先は教えるがまだ信用はしてねえ」


「そうよね、凄腕の殺し屋さん。またね」


「変な女だな」


と言うと殺し屋はすっと消えた。


わあ~何?今の。前世のドラマで見た忍者みたい。


気絶させられ朦朧としていたメリーを起こすとジャックと一緒に部屋に戻り、事の次第を聞いて青ざめたオリバー様に報告してお金を用意した。



 ずっしりとした金の入った袋は重たかった。これを取りに来るところが見たかったけど我慢した。怒ったら殺される可能性が大きい。リスクは避けたい。

彼を味方にしたいけど、無理かな?話が通じるって大事なのに。




 それにしても異常な執着心だ。断られたことがないから悔しいのかしら。きっと惨殺して来いと命令したんだろう。その熱心さを他で生かせばいいものを残念だ。生き残ったオリバー様はきっと奴隷にするつもりだ。ひぃ〜っ!怖!。



陛下がやってくれないのなら、さっきの殺し屋に依頼して消してもらおうかな?平和な人生大事。


こうなった元凶はあれだもの。仕方なくない?殺られる前にやってしまわないと。


でも貴族とはいえこんなこととは無縁の人生を送ってきた。いざとなったら本当に行動に移せるのか、後で後悔しないのか考えてしまう。手を汚すのはやはり怖い。




私がぐずぐずしている間にオリバー様が依頼をした。




 あの国の崩壊は国王の退位(第一離宮に幽閉)、第二王女の暗殺という処刑で歩みを止めた。王弟様が動いたようだ。殺し屋もね。


国王を諫めきれなかった王妃様は第二離宮に退かれ、幼い王子様と王女様と共に過ごされることになった。



 人々を苦しめていた日常が終わり、まるで祝うかのように静かに雨が降り始めた。山に降り始めた雨は川となり人たちの側へ恵みをもたらし始めたのだ。



私達があの国を出て一週間後のことだった。





「漸くけりが付いた。もっと早くこうするのだった」

オリバー様が昏い目をして言った。


「犠牲は最小限に抑えられたのだ。良かったと思おうではないか」

苦い物を噛み締めたような顔でお義父様が仰った。



「私が目を付けられなければ、慣れ親しんだ屋敷から離れなくて良かったのだと思うと悔しいのです。せっかく復興していた産業も見届けられなくて残念でたまりません」


「ご心配には及びませんわ。数人の職人が遅れて来てくれる手はずになっております。漁師の方々はこちらの国の港に海鮮を卸してくれることになっております。お義父様とオリバー様は皇帝陛下にその許可をいただいて来てくださいませ」


「何と気がつく嫁殿だ。ありがたい」


気づくと皆が涙ぐんでいた。





 皇帝陛下は私達一家を厚遇してくださり侯爵の位を与えてくださった。屋敷は港町がある場所だった。敷地は広く前世の町くらいの大きさだ。



実家のノーフォーク伯爵家と私の商会は拠点を帝都に移し順調に上げを伸ばしていった。







読んでいただきまして、ありがとうございます。次回で完結です。楽しんでくだされば嬉しいです。

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