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三年後離縁予定の妻ですが夫が離してくれません。何故?  作者: もも


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よろしくお願いします

 水をせき止め始めて一ヶ月、お義父様が陛下に呼びだされた。

民衆が煩くなったためだろう。水がないと困るもの。もっと早く手を打たなかった国王陛下に不満が出ているのは当然だ。


溜め池はお義父様が阻害認証魔法をかけているので、役人が山に登っても気づかれない。水はかなり溜まっているそうだ。



「水が不足している。そなたの仕業か。国民が苦しんでおる。水を流してくれ」


「恐れながら申しあげます。以前王家が私共の家庭に口を出された時、息子夫婦の仲を壊すのはおやめくださいとお願いにあがりましたがお聞き届けくださいませんでした。やむを得ず対抗措置を取った我が家に咎があると仰せでしょうか?」



「いささか我儘だが可愛い妹なのでな、多少のことは叶えてやりたいと思ったのだ、許せ」



多少(・・)ですか…。分かりました。今後国のために水魔法は使うことはありません。職は辞させていただきます。では御前失礼します」

その瞬間姿を消した。


「ま、待て。近衛後を追え、追うのだ」




近衛は後を追ったが勿論公爵を見つけることは出来なかった。




謁見の間にいた貴族たちの殆どはまざまざと愚王ぶりを見せつけられ落胆で顔を歪めていた。




一瞬で転移魔法を使い帰って来た公爵は

「こんな国出て行くぞ!」

と言い放ち、以前から纏めてあった荷物を馬車に積み込むと、二つ先の帝国に出発した。


帝国とは以前から懇意にしていたそうで、話をしたら引き受けると言ってくださったそうだ。


家族と近しい者が転移魔法で船まで移動した。

馬車でも行けるが船のほうが早い。



護衛たちは馬で追いかけて来た。ジョンとメリーも一緒だ。

見つかるといけないので阻害認証魔法が公爵家四人には掛けられている。


使用人達は後から追いかけて来て貰う手筈になっている。爵位は遠縁の貴族に譲る手筈が付いていた。屋敷の中にある井戸は滾々と水が湧くようになっている。









 港が繁栄してて良かった。ノーフォーク伯爵家が所有している豪華客船が私達を待っていた。




 客室は高級ホテルのように豪華だった。広い室内は二つの寝室と浴室とトイレがある。揺れはほとんど感じない。私達はそれぞれに別れ落ち着くことにした。私とオリバー様が一室。両隣はメリーとジョン。二人共凄腕なので安心が出来る。




 あの時から準備はしていた。使用人で付いて来たい者と残る者を分け、お金は海外に移動させ高価なアクセサリーは身に着けたり鞄に入れてあった。



これで一刻も早く港から離れれば助かる。皆が船に乗り込みほっとした頃、港に近づく大きな足音が聞こえてきた。

騎士団長率いる国軍だった。攻撃を受ければひとたまりもない。これまでかと覚悟を決めた。





「お待ちください。どうか水を、水をお願いします。このままでは国民の生命が危うい」

騎士団長のよく通る声が聞こえてきた。


思うことがあるのは王家で他の人を恨んではいない。


お義父様が使い魔の小鳥を飛ばし「了承した。但し条件がある。王の退位と第二王女の厳重な幽閉。それを守れば元通りにしよう。それまでは以前の半分の水は流そう」


きりっとした馬上の男はくしゃっと顔を歪めて騎士の礼をした。


「必ず伝えます。王国を見捨てないでください」




 私たちを乗せた船は滑るように港を離れた。攻撃はしようと思えば出来ただろう。しかし見送ってくれただけだった。

陛下と第二王女が何をしたのかよく分かっている人達で良かった。



嬉しそうに笑われていた王妃様と可愛らしい王女様と王子様の顔が浮かび涙で滲んだ。




「泣くのはおやめ。向こうが理不尽なことを仕掛けてきたのだ」

オリバー様がハンカチで涙を拭ってくれた。


「そうですね。王妃様方がお元気でいてくださることを祈りたいと思います」


(あの下着では陛下を籠絡出来なかったの?シスコンに負けたの? 無念!!

もっとセクシーな物を作らねば)という心の声はしまっておいた。オリバー様には知られたくない。恥ずかし過ぎる。


「一番に守らないといけない者を忘れるからだ。きっとお元気でいてくださるだろう」







お茶を淹れて貰い一口飲むと大きく息を吐いた。


「油断は禁物だ。部屋から出る時は私かメリーとジョンを連れておいてくれ。

性格の悪い女だ。何を仕掛けてくるかわからない。用心に越したことはない」


「わかりましたわ」





実家の商会は早い段階で拠点を私たちと同じ帝国に移動していた。大商会が来るとあって皇帝は諸手をあげて喜んでくださった。国の経済が潤うものね。







 少しずつ水が増えたのが民衆にも分かるようになった。天災だったのかと思いかけたが、一向に元には戻らない。不安と苛立ちは再び王宮に向かっていた。


貴族は水の心配のない領地へ急ぎ帰って行った。第二の王都と呼ばれる辺境の地へ移り住む者も増えた。徐々に王都は寂れていった。














読んでいただき、ありがとうございます。お楽しみいただけたら嬉しいです。

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