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警視庁の魔女

 第十七話です。


 四条彩音、ゲスト出演!


 今回もよろしくお願いいたします!


17


 秋山結鶴は警視庁本部の十三階にある、公安部の取調室にいた。


 聴取をベテランの公安捜査官が行っているが、全て、黙秘で通していた。


「お前! ヤクザの子どものくせに偉そうに・・・・・・大学は退学にしてやるからな!」


「・・・・・・」


「お前! 聞いてんのかよ!」


「暴力ですか?」


 捜査官にあえて、挑発的な言動を取る。


「あぁ?」


「昇進に響きますよ。一般の大学生、しかも、無実の人間に警察官が退学処分に言及するとか? これ、録音されているの知っています?」


「お前、大人を舐めんなよ! 公妨(公務執行妨害の略)違反じゃねぇかよ! テメェは!」


 こいつはダメだ。


 権力に笠を着て、それを振りかざせば、人を靡くと思っている、三流警察官だ。


 公安部所属でこの程度の取調べしか出来ないというのは、警察の人材不足は深刻ということだろう。


 今の日本警察は能なしの体力バカしか入庁しないで、努力をしない。


 会長もそう言っていたかなぁ・・・・・・


 すると、取調室のドアが空く。


「何? どうした?」


 部下らしき、捜査官が耳打ちをする。


「本当か?」


「今、向かっています」


「そうか・・・・・・秋山君、話しがあるんだが」


 結鶴は無言を返事にする。


「ウチのさぁ、公安部参事官が直に君を聴取するそうだ。ありがたく、思えよ。一介の大学生に過ぎないのに参事官自らーー」


「君、彼は普通の学生じゃないよ」


 後ろから、スーツ姿の女がやって来た。


 参事官という役職を考えると、階級は警視正以上なので、年齢は五十を超えているとも思えるが、小綺麗で、三十代と言われても、見分けがつかない。


「参事官・・・・・・」


「君は権力に笠を着て、恫喝する程度しか、シラベ(取り調べの略)のセンスが無いのか?」


 言われたよ。


 ちょっと、骨のある奴かもしれない。


「・・・・・・申し訳ございません」


「下がって、無能な捜査官なんか、いらない」


 そう言うと、その無能な捜査官は悔しさを顔ににじませ、拳を強く握りしめながら、退室した。


「良いんですか? あぁいう粘着質なタイプは根に持ちますよ?」


「秋山結鶴君ね。私はあぁいう、無能な男性警察官をことごとく、葬り去って、ノンキャリアで参事官と言うのが、自慢でね。あの手の雑魚も私の権限で何とでもなるわ」


 ストレートに権力を口にしたな。


 だいぶ、ヤバい奴かもしれない、この参事官は


「四条彩音警視正です。君のことだから、警視庁の人事の情報は全て、頭に入っていると思うけどね」


 確か、女性ノンキャリアでありながら、公安部参事官になった警視正がいるとは聞いていたが・・・・・・確か、前の配属先は企画課の課長で、東京都公安委員会への根回しや総監の秘書係を行うところから、一年前に公安に戻って来たとは聞いたが・・・・・・


 その強引な捜査手法と現場主義の考えから、警視庁内部でも敵は多いとは聞いていたが、五か国語を話し、運動神経も高く、諜報機関や国内外の政府に与野党、反社会勢力や反体制組織、新興宗教や財界、医療業界にマスコミなどに幅広い、パイプを持っていると言われる、警視庁女性ノンキャリアの絶対的エースとは聞いていたが、それがこいつか・・・・・・


「ご活躍は少しだけ・・・・・・」


「一大学生にまで、伝わっているなんて、もう現場には戻れないわね」


 四条は「ふふっ」と言って、口を片方だけ曲げる。


 皮肉屋であることは確定。


 笑う時に口を片方だけ曲げるのは皮肉屋の証拠だと、人相学の本で読んだことがある。


「釈放」


 予想通りだ。


 警察上層部は俺のことを黙認する。


 その確信はあった。


「後で、使いを君のお兄さんのところに寄越す。私の役に立ってね」


 そう言って、四条は紙切れを寄越す。


「君のお父さんにも伝えてほしいけど、ここでは話せないな」


「何がしたいんです?」


「言ったでしょう? 使いを出すって?」


 四条が口を曲げて、洋絶に笑う。


 歳を取っているが、普通に美人だな・・・・・・


 故に怖さが増しているんだが。


「駐車場まで、ウチの班員を送るから、そのまま、帰っていいよ。まぁ、外にはマスコミが多くいて、君らの組の連中も待っているだろうけど、カメラに取られるね。まぁ、日本最大の暴力団に喧嘩を売る、骨太なマスコミは令和の世の中にはいないだろうけど・・・・・・怖い相手だからね、あなたたちは?」


 そして、取調室のドアが開く。


「行きなよ、面白いことを起こしてよ」


 そう四条が笑うが、結鶴は捜査員に促されて、取調室を出る。


「・・・・・・参事官があそこまで、取調相手に心を開いたという話は聞いたことが無いよ」


 先ほどとは違う、男の捜査官がそう言う。


「怖い人だと、思いますよ」


「そう感じることが出来る君は一般の大学生とは違って、本能的な恐怖を知っている。俺はヤクザは嫌いだが、君の本能や感性とやらは見込みがあると思い至った・・・・・・現役の捜査官の言動としては慎むべきだがね」


「・・・・・・そうでしょうね」


 そう言って、一階に降りて、外へと出る。


「裏口から出よう。マスコミが多すぎる」


 そう言って、裏口から出ると、真木組の組員達が黒塗りのベンツに腰掛けながら、タバコを吸っていた。


 結鶴を見ると、すぐに直立不動になり、タバコをしまった。


 そして、首を垂れる。


「若! ご苦労様です!」


「吸い殻は拾え、いくら、警察が嫌いでもな」


 結鶴はそう言った後に「使いを楽しみにしています」とだけ言った。


「秋山! 礼を言わないのか!」


 そう若手の捜査官が言うと、組員がその捜査官を睨み付けながら、近づいてきた。


「おい、お前ら・・・・・・デコスケに若が礼を言うなんて、あり得ねぇだろう! 何だ、お前ら、若の貴重な時間を問った挙句に感謝しろだ? ヤクザが警察に礼言う分けねぇだろう! 身の程を考えろ! クソガキがぁ!」


「んだと! てめぇ! ヤクザのくせに!」


 お互いの若い衆がつかみ合いの喧嘩に至る寸前の近距離の怒鳴り合いが行われていた。


「よせ、帰るぞ」


 結鶴がそう言うと、公安部側も「止めろ、こんなの無意味だ、引け」とだけ言った。


 そう言って、二人は舌打ちと同時に矛を収めた。


「行くぞ、将来の顧問弁護士殿と打合せだ、柴田はどうした」


「呼び出されました」


「会長か?」


「いえ・・・・・・その、イギリス人です」


 ネビル中佐か。


 MI6まで、関与するか。


 となると、ベイカーは無事だな。


 そうなってくると、かなり面白い展開になって来たな。


 結鶴は笑みを抑えられなかった。


「若・・・・・・楽しいですか?」


「楽しいねぇ、皆殺しだ」


 その後、車が走り出したが、組員たちは無言になった。


 続く。



 次回、第十八話 悪魔の取り引き。


 ヤクザと警察が悪魔の取り引きをするのです。


 乞うご期待!

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