原宿銭湯ダッシュ
第十三話です。
ここから、アクションの布石・・・・・・
今日もよろしくお願いいたします!
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「若木組の事務所が爆破されたのは知っているな・・・・・・」
藤宮雄介がハラカドの地下にある銭湯の休憩室の椅子に座り、そう語る。
テーブルには山村乳業の便牛乳が置いてある。
「・・・・・・湯には入ったんですか?」
「東京の銭湯が隅っこに湯船があるのには驚いたがな・・・・・・湯は良いな。だが、お前と話す時点で気分は悪い」
そりゃあ、どうも・・・・・・
「京都も良い銭湯が多いですからね」
「銭湯談義はいい。京都府警の鑑識が拾った爆薬は一九六〇年代の学生運動で使われた代物らしい」
「革マル派か中核派ですか?」
佑介は牛乳をぐびっと飲み始める。
「会長は特殊部隊を韓国から呼び寄せて、左翼系テロリストのお爺ちゃんたちを殺すつもりだよ・・・・・・何で、こんな不毛な争いをしないといけない・・・・・・ヤクザと左翼が争っても意味は無いんだがな」苦虫を噛み潰したような表情を見せる。
となると、あの依頼か・・・・・・
「高田の暗殺事件が背景にあるんじゃないかと」
「それは・・・・・・依頼主は確か、民人党参院議員の小石川だったな」
「ウチの柴田は散々にあいつと秘書の悪口を言っていましたよ、人に殺しを依頼しといて、自分は雲隠れとかウ●コみたいな野郎だと」
「事実、自分で高田の会計問題を盛り上げておいて、自分の失言で追い込まれて、それをマスコミのせいにして、ノイローゼになったと思ったら、政敵が殺されたら、元気にカメラの前に出る、見え見えなバカな。あいつに険悪感を持つということには柴田に同意する」
佑介はそう言うと「ウチの会長は逆らう者には容赦しないから、お前も気を付けろ。恐らく、小石川が一千万円を渋って、お前を殺そうとしたが、何を考えているのか・・・・・・ウチと全面戦争をしようというバカが出てきたから、それを皆殺しにするプランを今、立てている」
「はぁ・・・・・・」
「左翼は地下に潜っている。部隊を送るにしても、見つからない・・・・・・試しにパレスチナのデモに出張っていたり、反戦デモに出る学生を手当たり次第に拉致をして、拷問すれば、出てくる可能性はあるかと・・・・・・俺たちはヤクザだからな」
佑介はそう静かに言い放った。
左翼は感情を抑えられない連中だが、組織として、構成員と言えど、一学生がリンチされたぐらいでは重要な層は動かないと思もうが、果たして、どうなるか・・・・・・
「本当にやるつもりですか? 学生をリンチするなんて?」
「脅しにはなるだろうなぁ・・・・・・民人党が悪いんだよ、俺たちが政権交代の時にあれだけ、組織票とか色んなことで助けてあげたのに左翼のお爺ちゃんたちを使って、俺たちを攻撃し出したんだ・・・・・・痛めつけても構わないだろう?」
それはウチを敵に回すということの怖さを忘れた、野党第一党が完全に悪いが・・・・・・
そもそも論として、民人党は現与党の自明党で上手くいかなかった議員や社会主義を掲げていた政党出身の議員の寄り合い所帯で労働組合の支援とマイノリティや昔で言ったら、差別の対象である、部落民や在日朝鮮人の票田があり、そこには当然ながら、ヤクザも一枚かんでいて、左翼系テロリストもいた。
本来であれば、広い意味で同族なのだが、自明党の分断工作で労働組合は与党寄りになったり、民人党から分裂した右寄りの人民党に流れたりなどがあり、左翼系テロリストは高齢化が進み、ヤクザも構成員が減っている始末で、しょせんはマイノリティでしかない、部落民や在日朝鮮人は元より、数が少ないので、それだけでは選挙には勝てない・・・・・・
民人党は正常な思考が保てないぐらいに追い込まれているのだろうか・・・・・・
だとしたら、ウチが引導を渡す役目になるか。
「とりあえず、デコスケ(ヤクザが使う、警察の隠語)に監視されているんだろう?」
「えぇ、今もいるから、こうして、お互い勉強しているふりをしているんでしょう」
勉強のふりをしながら、こうして、話していると、お互い、ただの大学生に見えるんだがな・・・・・・
「作戦決行の時は連絡は出来るか?」
「・・・・・・携帯も傍受されていますからね、事務所に行ったら、即、拘束ですね」
「・・・・・・俺は京都に帰れないじゃないか」
そう言って、佑介は三本目の牛乳に手を出す。
すると、結鶴のLINEが鳴り始める。
「切るの忘れたのか、会長相手だと殺されるぞ」
何で、切っていなかったんだ・・・・・・
佑介相手だからか?
そう思った時だった。
ベイカーからだ。
ーお風呂入って、牛乳とアイスを頂きました。話しが立て込んでいるようなので帰らせて頂きます。ー
これは怒らせたな・・・・・・
。とかを使っているもの。
「女か?」
「面倒ですね、先に帰っちゃいましたよ」
「女はそんなもんだよ・・・・・・おい、ちょっと待て、お前は襲撃されたんだよな?」
「・・・・・・あっ」
そう言えば、数日前には左翼系テロリストのお爺ちゃんたちに襲撃されたばかりだ。
ベイカーは・・・・・・まずい!
「お前、ぬるくなったな! 女が拉致されることを何故、計算に入れない!」
「いや・・・・・・すいません」
「お前、探しに行ってこい! 俺はここでくつろぐ!」
何気に気に入っているんだな。
「・・・・・・上京した収穫がここだけというのは会長に殺されるな。とにかく、お前は女を追え。堅気のお嬢さんがウチの監視下でジジイどもに殺されたなんて、シャレにならんぞ、行け!」
そう言われた後に、結鶴は立ち上がり、走り出した。
「あっ、結鶴さん! 今日はお風呂入んないんですか?」
顔なじみの若い女の番台さんが声をかける。
「急用だよ。彼女怒らせたから、追わないと」
「それは一大事ですよ! 血反吐を吐いても追ってくださいよ! そうしないと、帰るの許しませんよ!」
女の番台は腰に手を当てて、指を通路側に指す。
「さぁ、夕日に向かって、ダッシュです!」
まだ、昼なんだけどな・・・・・・
「ありがとう、今度は入るよ」
「ダッシュですよ!」
そう言って、結鶴はダッシュでエスカレーターを駆け上がる。
ベイカー・・・・・・無事でいてくれ。
時刻は午後二時一四分。
休日のハラカドの店内の買い物客を避けながら、走り続け、原宿の街へと出た。
混んでいる・・・・・・
そうは思ったが、構わず走り出した。
ベイカーがどこにいるかは分からないが・・・・・・
続く。
次回、第十四話 誘拐
鈴たん、大ピンチ!
乞うご期待!




