ヤクザと警察の蕎麦ディナー
第十一話です。
ひたすら、食事回です。
今日もよろしくお願いいたします!
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「君は監視対象だ」
平岡に連れられて、渋谷から足立区綾瀬の蕎麦屋に連れてこられた。
名前は立ち食い蕎麦酒処稜というところだが、何で、密談の場所が立ち食い蕎麦屋なんだ・・・・・・
話を聞かれたら、困るだろう。
そう思っていたが、隣にいる、神田令はゲソ天蕎麦をかき込む。
奢ってくれるとは言っていたが、警察の世話にはなりたくないので、自分で注文をした。
かき揚げ蕎麦とかき揚げ丼だ。
「・・・・・・大人しくしていれば、拘束とかはしないよ」
「気に入らないな、四六時中、お巡りさんと一緒なんて」
神田の蕎麦のすする音が店内に響く。
「はい、出汁巻き卵」
「あんた、この前からそればっかり、頼んでない?」
平岡がそう言うが、神田は「好きなんですよ、蕎麦屋の出汁巻き卵」とだけ言った。
「まぁ、会社との連絡や君のお父さんたちとは連絡は出来ないけど、普通には生活できるよ・・・・・・普通にね?」
平岡がそう言うと、店主が怯えた表情で「はい、かき揚げ蕎麦、かき揚げ丼は待ってね」と言って、蕎麦を出してくれた。
「結鶴君、それは美味いぞ、卒倒するなよ」
蕎麦ごときで大げさな・・・・・・
そう思いながら、汁を啜ると、驚くほどに美味かった。
濃い目の出汁が関東育ちの自分にはちょうどいい・・・・・・
蕎麦を啜り、かき揚げを食うが、汁を吸った、サクサクのかき揚げは間違いなく、天下一品だ。
はっきり言って、美味い。
「美味い・・・・・・」
思わず、そう言うと、神田がニンマリとしながら「なっ、言ったろ」と言い出した。
「とりあえず、夏休みはもう遠出はしないでしょう?」
平岡がそう言うと、結鶴は「教えない」とだけ言った。
「全く、反抗的・・・・・・」
そうは言うが、平岡は優しく微笑んでいた。
すると、神田は食券を買い始めた。
「大将、この子に」
「あっ、出汁巻き卵ね」
平岡がずっこける。
「結鶴君、俺のおごりだ」
「あんた・・・・・・自分の好みを押し付けんなよ! せめて、春菊天にしなさい!」
いや、その好みも渋いなぁ・・・・・・
「平岡さん、春菊天の良さが分かる歳じゃないでしょう」
「分かるよ! あれ、身体に良いことをしている気分になるもん!」
この人たちは単純にここに来たいだけじゃないか?
結鶴はそう思いながらも、蕎麦を啜り続けた。
「自分で頼みます、警察の世話になりたくないので」
「・・・・・・イケずだなぁ」
「神田、それは死語だよ」
そう言いながら、神田と平岡は言い合いをする。
ただ、ひたすら、蕎麦が美味かった。
続く。
次回、第十二話 自分勝手なデート
結鶴と鈴のデート回ですが、タイトルからして、どうなる?
乞うご期待!




