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Making of the story・・・No.001 ありふれた丘
もともとは、どこにでもある、ありふれた丘があった。季節ごとに野花がゆれ、風に草がそよぐ。子供たちは、ただ転がり遊び、大人たちは通り過ぎる。そんな名もなき丘だった。
私は小さなころ、兄と一緒に丘へよく遊びに行った。
春先にはタンポポがジュータンのように広がり、夏には青い空と緑の草が重なり、その場所にいるだけで、落ち着いた。
けれどこの丘が、特別なことになることなど、誰も予想もしなかった。もちろん、私も・・・・・。
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ある日の事、丘の中央あたりに、一人の女性が現れ、長い髪を風に揺らし、手には、苗木と鋤を抱えていた。その姿はどこか神秘的で、まるで丘の一部のように自然に溶け込んでいた。
「誰だろう・・・・・」 私と兄は顔を見合わせた。
彼女は、黙々と土を耕し、小さな花を植えていく。
その手つきは、丁寧で命と対話しているようだった。
後に知ったのは、彼女の名前は、"マリエ・ル・シェリ"。
この日から丘は少しずつ変わり始めていくのだった。




